金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

キプロスを振り払う米国住宅価格の上昇

2013年03月27日 | 投資

昨日(3月26日)米国でS&P500は再び史上最高値まであと2ポイントのところまで迫った。相場を引っ張ったのは、予想を上回り好調だった2月の耐久消費財受注と住宅価格の上昇だった。2月の耐久消費財受注は市場予想の3.9%を上回る5.7%(過去5ヶ月で最高)で、好調の要因は民間航空機受注の急増だった。

私がもっと注目しているのは、全米主要20都市圏でS&Pケース・シラー指数が1月に前年比8.1%上昇したことだ。一番上昇したのはフェニックスでなんと前年比23.2%の上昇だ。

ダウ・ジョーンズによると、今年の初めには多くのアナリスト達は今年の住宅価格の上昇は昨年よりも緩やかだと予想していた。(私もシラー教授のそのようなコメントをブログで紹介したことがあった)

しかし住宅在庫の減少、景気上昇、低金利の持続、投資家の高い需要などにより、強気の見方をするアナリストが増えている。

モルガン・スタンレーのエコノミストは住宅価格の上昇見通しを年初の4-6%から6-8%に引き上げた。

活況を帯びている米国住宅市場。雇用の停滞、金利の上昇、消費者信頼感の低下などのリスクは内包しているが、目下のところ在庫不足(既存住宅で担保割れから売るに売れない物件が多いことも要因の一つ)が需給を引き締めている。

住宅市場の改善は消費者信頼感の向上と消費拡大につながる。欧州に高まる不透明感を米国の住宅市場が救っているというのが昨今の状況だ。

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キプロス危機で失われた二つの信頼

2013年03月26日 | 金融

昨日ライキ銀行の解体と大口預金者の預金没収により一時的に解決したと思われたキプロス危機。日本株などアジアの株は上昇したが、欧米のセッションに入って下落した。メディアが伝えるところでは、ユーロ財務相会議の議長を務めたオランダのダイセルブルーム蔵相の「キプロスの銀行再編はユーロにおける前例となるべき」という主旨の発言に反応して売られたということだ。

今回のキプロス危機で少なくとも二つの信頼が失われた、と私は考えている。

一つは今回は回避されたけれど、預金保険でカバーされる少額預金ですら、Bail in(預金者課税、事実上の預金カット)される可能性があると預金者が考え始め、銀行預金に対する信頼が揺らぎ始めた。

キプロス政府は今週の木曜日まで銀行閉鎖の続行を決定。ATMからの引き出しは1日100ユーロまでと制限されている。このような状況では企業特にに日々の資金繰りに余裕のないところは集金もままならず不安感を募らせているだろう。

個人預金者だって銀行が再開すれば再びの凍結を恐れて預金の引き出しに押し寄せることが想像される。このような騒ぎを防ぐにはキャピタルコントロール(資本移動規制)を課す必要があるだろう。だがニューヨーク・タイムズによると地元銀行はキャピタルコントロールに対して全くの準備不足だ。またどのようなキャピタルコントロールが課せられるかも不明だ。

キプロスでは金融システムに対する信頼の根幹をなす「流動性」というか、銀行に預けている自分の金を自由に使えないという金融のもっとも基本機能に対する信頼が失われつつある。

もう一つはユーロ圏の中の北と南の信頼関係だ。ドイツやオランダなどが、債務危機に苦しむ南の諸国に対して、金融機関救済は北の諸国の税金による救済ではなく、自国の預金者の預金を一部なりともカットして救済するべきだと主張し始めた時、南北の信頼基盤はゆるぎ始めた。

短期的にはユーロ離脱の危機が遠のいたといわれるキプロス。だがキプロス救済ドラマの第一幕は二つの信頼の喪失で幕を閉じ、第二幕の幕開けを待っている・・・・

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キプロス救済策、ようやく合意。大口預金のbeil inで。

2013年03月25日 | 金融

12時間近いユーロ圏17カ国の蔵相会議の後、キプロス救済策が合意に至った。ファイナンシャル・タイムズによると、キプロス第2位のライキ銀行を閉鎖し、10万ユーロを超える大口預金を「バッドバンク」に入れるというもの。つまりバッドバンクに入る42億ユーロはwipe outされる(無価値になる)のである。

1週間前の合意事項とは異なり、10万ユーロ以下の小口預金は救済され、ライキ銀行とバンクオブキプロスの大口預金がwipe outされる。これは大口預金者によるbeil inである。大口預金者がどれくらい損失を被るかはまだ計算されていないが、関係者によるとIMFが先週見積もった20%の損失を大きく超えそうだ。

この最終的な合意案は、先週IMFとドイツが主張した提案と近いものだが、IMF・ドイツの主張ではライキ銀行・バンクオブキプロスとも清算することになっていたが、キプロス政府の強い希望によりバンクオブキプロスは残すことになった。キプロスにとって銀行業は主要産業だから、最大手銀行は残すということだろうが、今回相当な損失を被る海外の大口預金者は懲りずにまたキプロスの銀行を使うのだろうか?素朴な疑問であるが。

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キプロス、大口預金者20%課税でまとまるか?

2013年03月25日 | 金融

週末にブラッセルに飛んで、トロイカ(EU、ECB、IMF)とキプロスの銀行救済策を協議したアナスタシアディス大統領。ロイターやNYTによると、大統領がキプロスの政治家達に説明した合意案は「キプロス最大の銀行・キプロス銀行の10万ユーロを超える大口預金者に20%の課税、それ以外の銀行の大口預金者に4%の課税というものだ。だがそれで議会がまとまるかどうかは分からない。

キプロスの先行き不安から今朝(25日)のシドニー市場ではユーロが対米ドルで0.2%下落した。今日までに出処はどこでもいいから58億ドルの資金捻出を示せ、というのがドイツなど債権者の主張だ。

仮にキプロスの銀行が破綻しても、金融危機が伝染するリスクは低いと判断しているが、金融市場に関わっている人には落ち着かない一日になりそうだ。

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Nexus7、PC接続不具合はUSBケーブルの問題だった

2013年03月24日 | デジタル・インターネット

サイクリングに出かける時、音楽はバックパックに入れたNexus7からイヤホンで聞くことにしている。スマホに較べて電池がはるかに長く持つからだ。CDからNexus7のHDに音楽を書き込むには、一旦パソコンにMP3形式で取り込んで、USBケーブルでパソコンからNexus7に転送している。

先日久しぶりに音楽を転送しようと思い、Nexus7付属のUSBケーブルでパソコンと接続してみたが、パソコンがNexus7をデバイスとして認識しないのである。Nexus7の「設定」から「電池」の状況を見ると充電中になっている。PCから電気の供給は受けているが情報のやり取りはできないという状況だ。

インターネットで解決策を探してみたが、うまくいかない。色々試した結果ひょっとすると付属のUSBケーブルが何らかの理由で不具合を起こしているのではないか?と思い、カメラ(SonyのNex6)のUSBケーブルでつないでみると、何と接続ができた!

Nexus7connection

タブレットなどのデバイスとPCの接続がうまくいかない場合は、USBケーブルに不具合があることもある、と実感した。

それにしてもPCと他の電子機器の接続というのは、中々安定しないものである。上の写真はNex6で撮り、WiFiでPCに転送したものだ。今日は転送に成功したが、転送できないこともある。家庭内の無線LANというのも気難しいものである。

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