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人間の関係 (五木 寛之)

2008-08-09 10:53:06 | 本と雑誌

 最近また、時々、五木寛之氏の本を手に取るようになりました。
 このBlogでも、「新・風に吹かれて」「知の休日」「蓮如」等をご紹介しています。
 今回の本「人間の関係」は、五木氏の最近の書き下ろしエッセイです。

 その中の「格差社会にどう生きるか」の章に記されたフレーズです。
 最近よく話題にのぼる「格差」と「文化遺産」「歴史遺産」との関係についての五木氏らしい考え方が窺えます。

 
(p67より引用) 権力の格差、そして富の格差、その二つの格差のなかから歴史に残る遺産は生まれたのです。・・・だからといって、文句をつける気はありません。
 ただ、文化といい、歴史の遺産といい、なにかいかにもありがたく、貴重なもののように思われる遺産が、富の偏在と、権力の集中からしか生れなかったという皮肉な事実を直視しようというだけです。

 
 そういった事実を踏まえ、「格差社会」の進展に対する立ち位置を、五木氏自らこう語ります。

 
(p73より引用) 格差はむかしからありました。いまもあるし、さらに大きくなっていく気配があります。
 格差に泣く人もでてくるでしょう。それによって苦しむ人たちもふえてくるにちがいありません。そんな人びとを平然と無視し、それを人間社会の原理だと冷たく突きはなすような立場には立ちたくない。単純にそう思うだけです。

 
 私事になりますが、この本を読み進んでいくなかで、ひとつの大きな驚きがありました。
 この本の中で五木氏が紹介しているエピソードのまさにその場に、私もいたのでした。私が初めて五木氏の講演を生で聞いたときのことです。

 
(p197より引用) この入学式の話のなかで、ぼくが言いたかったのは、たった一つのことでした。人間はいいかげんで、愚かしい存在だが、それでも信じられるところもあるよ、と、いうことです。

 
 30年という年月を経て、あのときの五木氏の話の意味を再確認したことになります。
 
 

人間の関係 人間の関係
価格:¥ 1,155(税込)
発売日:2007-11

 
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