いかにも “ありがちなタイトル” の本ですね。
「たぶんこんなことが書いてあるんだろうなぁ」と予想しながら手に取ってみた本です。
「はじめに」のパートで、著者は、本書を著すに至った問題意識をこう記しています。
(p4より引用) 多くの定年対策本やセミナーで語られていることは、あまり正しくないことが多いのです。その理由は、実際に「定年」を経験したことのない人や、定年の経験はあってもかなり昔のことだったりする人が語っているからです。
さらに悪いことに、それらの言説は、どちらかと言えば「不安を煽る」タイプのものが多いということです。
ところが私自身の体験から言えば、定年は、迎えるまでは不安は大きいものの、実際に経験してみると、それほど心配する必要はないことがよくわかります。むしろ、そうした不安に煽られて、間違った行動を起こす方がよほど危険なことだと思います。
こう語る著者の自らの経験を踏まえた数々のアドバイスの中から、なるほどと思えるものをいくつか書き留めておきましょう。
まずは、「第3章 夫婦で旅行なんて行かなくてもいい」の章では。
(p115より引用) 大事なことは、自分、あるいは自分たちにとって、何が一番快適なのかを考えることです。「夫婦で共通の趣味を持つ」ということが大事なのではなく、楽しい生活を送ることが目的なのですから、そのためにはどうするのが一番いいかを考えればいいのです。
定年対策本や定年対策セミナーの講師等が言うような、ステレオタイプで表面的なことに惑わされることのないよう、気を付けましょう。
そう、「本質的な目的」の共有は不可欠ですが、そのための「手段」はそれぞれの考えを尊重すべきです。
そして、「趣味がなくても一向に平気!」の章から、定年前後での“真逆の生活パターン”のススメ。
(p184より引用) 定年後は、このように現役時代とは発想や生活スタイルを変え、「時間でお金を買う」(=時間を消費することでお金の無駄な支出を無くす) ことも必要です。そんな気付きを見つけることで、新しい楽しみを得られるのではないかと思います。
お金を出してサービスを買うでのではなく、時間をかけて自分で調べてあれこれ工夫をしてみる、これも楽しみのひとつになるかもしれませんね。
もうひとつ「時間」に関わるアドバイス。
(p200より引用) 私は、定年後に大切なのは「効率」ではなくて「効果」だと思います。効率的でなくても一向にかまわないので、より心の満足を得られる効果を求めていくべきなのです。
仕事ではないのですから、心の楽しみを得るのに“コストパフォーマンス”を追求するのは、いかにも無粋ですね。
さて、本書を読み終えての感想です。
私の今は、まさにこの本の“ど真ん中のターゲット層”になります。その立場で言えば、著者の説くところは、肌感覚として無理なくスッとはいってきましたね。
「・・・ねばならない」という思考のスタートは全否定する、そのかわり「自身の責任でしっかりと自立する」ということ。
ただ、60歳過ぎて、それを改めて自覚し直すというのも、いかにも情けないですね、もちろん、私のことですが・・・。
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