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異口同音の箴言 (朝令暮改の発想―仕事の壁を突破する95の直言(鈴木敏文))

2009-05-11 21:59:50 | 本と雑誌

 本書で紹介されている数多くのアドバイスの中には、鈴木氏ならではといった独創的な切り口のものもあれば、世に氾濫する多くのビジネス本で言われている指摘もあります。

 後者に属する指摘は、どんな企業でもみられる共通的な問題点であり、また、そうである所以は、現実には簡単には是正することができない現実を映し出しています。

 たとえば「自責と他責」について。

 不調の原因を他責に求めるのは世の常です。

 
(p25より引用) ものが売れないのは、まだ表面に表れず顕在化していない消費者のニーズを掘り起こすような新しい商品やサービスを提供できていない自分たちに責任がある。にもかかわらず、「不景気のせい」にすることで自分たちを納得させていたのです。

 
 「他責」に流れるのは、「自己の成果」を客観的に評価できていない、また、しようとしない姿勢にひとつの原因があります。
 そして、そういう姿勢は、しばしば経験豊富なプロやベテランと言われるタイプに見られがちです。

 
(p67より引用) 経験豊富な人にかぎって、よく、「わたしの経験では・・・」といった話し方をしますが、これはたいてい、「わたしにとってやりやすいやり方は・・・」とか、「わたしが正しいと思うやり方は・・・」という意味で使われるのです。

 
 そしてうまくいかなければ、「顧客のせい」とか「特殊事情のため」というのです。

 
(p68より引用) プロといわれる人ほど間違いを犯しやすい面も実はあるのです。プロは自分の過去の経験やそれをとおして蓄積した専門的知識を過信し、自分をとらえ直すという視点をなかなか持てないからです。

 
 芸の世界でも、一流の人は決して「芸を極めた」とは言わないものです。
 「まだまだ修行が足りません」「毎日が稽古です」といって、学び続ける姿勢を持ち続けています。

 
(p70より引用) 真のプロフェッショナルとは、過去の経験をその都度否定的に問い直すことのできる人です。

 
 さて、最後に話題を大きく変えましょう。

 昨今、消費者行動を対象にした議論において「行動経済学」的な論考が多く見られるようになっています。
 鈴木氏も「消費は『経済学』ではなく、『心理学』で考えなければならない」と語っています。

 
(p104より引用) 価値のある商品でも、置き場が違うと価値の伝わり方がまったく異なり、買われ方に差が出てしまうのです。

 
 全く同じ商品でも、売り場を替えると売れ行きも変わる例は枚挙に暇ありません。
 「コストパフォーマンスの良いお買い得商品」か「単なる安売りバーゲン品」か。商品の位置づけや価値を顧客に伝える具体的な方法のひとつが、「どの売り場におくか」ということだというのです。

 顧客の購買心理を常に考えて商品の発注や陳列を行う、そういうきめ細かなPDCAの実践が、変化への挑戦をし続けるという一つの具体的な姿勢の表れです。
 
 

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価格:¥ 1,470(税込)
発売日:2008-01

 
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