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絶対価値 (朝令暮改の発想―仕事の壁を突破する95の直言(鈴木敏文))

2009-05-10 21:23:38 | 本と雑誌

 経営戦略を考えるにあたっては、いろいろなフレームワークが提示されていて、その中には必ず「競合」を対象とする議論があります。
 競合との「相対優位」を追求するのが競争の本質だという有力な考え方もありますが、鈴木氏は、その論には組みしません。

 
(p45より引用) 競争社会にいると、わたしたちはとかく他社と比較した相対的な価値に目が奪われがちです。しかし、売り手として本当に目指すべきは絶対的な価値の追求です。・・・相対価値の比較は本来、買い手である顧客がすることであって、売り手側がすることではないのです。

 
 鈴木氏が経営において最も重視する「絶対価値」の根源は「顧客のニーズ」です。
 「顧客のニーズ(=絶対価値)」の追求を目指してすべての企業活動を推進するのです。

 
(p48より引用) 「われわれの競争相手は競合他社ではない。真の競争相手は目まぐるしく変化する顧客のニーズそのものである

 
 経営を競争相手との戦いと捉えると、競合が増えることは「勝利へのリスク要因」です。
 しかし、鈴木氏の考えは異なります。「絶対価値」を追求していれば「競合はチャンス」となるというのです。

 
(p51より引用) 常に絶対を追求して、明確に自己差別化されていれば、「競合相手の出現は逆にチャンスになる」という意識を持つことができるようになり、どんな競合が出現しても、成長を続けることができるのです。

 
 「絶対価値」を「顧客のニーズ」だと定義すると、「顧客」をどう位置づけ、どう意味づけるかという基本認識が重要になります。

 「顧客」は自己の何らかのニーズを、商品やサービスの購入を通して具現化します。

 
(p55より引用) 顧客は期待以上の価値を感じて初めて満足する。その期待度は一定ではなくどんどん増幅し、・・・売り手が同じレベルのまま続けていくだけでは顧客はやがて離れていくでしょう。

 
 「顧客の満足を満たすためにはどうすればいいか」を考え続けるのです。
 このときの立ち位置について、鈴木氏はこう語ります。

 
(p58より引用) 今の時代にわれわれが追求しなければならないのは、「顧客のために」ではなく、常に「顧客の立場」で考えることです。「顧客のために」と考えるのと「顧客の立場」で考えるのとでは、一見同じようでいて、大きな違いがあります。

 
 この指摘は、非常に重要な「視座の転換」だと思います。

 
(p58より引用) 第一に、わたしたちが「顧客のために」と考えるときは、たいていの場合、自分の過去の経験をもとに、「顧客はこんなものを求めているはずだ」「顧客とはこういうものだ」という売り手からの思い込みや決めつけがあります。

 
 「顧客のために」との考え方は、まだまだ「売り手」の立場からの発想に立っているとの指摘です。

 
(p61より引用) 「顧客のために」と考える発想のもう一つの問題点は、「顧客のために」といいながら、自分たちのできる範囲内や、いまある制度や仕組みの範囲内で考えたり、行っているにすぎないケースが多いことです。

 
 「顧客の立場」に視座を移すことによって、はじめて「顧客目線」のニーズやウォンツに気づくことができるのです。
 
 

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