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官府語 (氷川清話(勝 海舟))

2005-08-22 23:13:07 | 本と雑誌

(p223より引用) 昔、幕府が、種々の規則を出す時には、人民に分り易い文字を、成るべく用ゐるやうにして、掛りの人は、始終この事に心掛けて居た。しかるに、今はその反対で、成るべくむつかしい文字を用ゐるやうになつて、なかなか通常の人には分らない。・・・日本にもこれからは、次第に官府語が、出来るだらうヨ。

 指導するためには、相手に対して、何をするのか、どうしてそうするのかを理解させなくてはなりません。相手が理解してはじめてその規則は自発的に守られるようになるのです。
 したがって、規則は相手に理解されるように(理解させようという気持ちをもって)示されなくてはなりません。

 相手を理由なく(何らかの力(権力・圧力・暴力等)で)服従させるのであれば、相手の理解は不要です。そうなると規則は相手に分かりにくいものであっても全く問題なくなります。相手に理解されなくても、規則を示す側だけの都合でいいのですから。

 分かりにくい言葉の使用は、相手の軽視・無視の姿勢に繋がるものです。
 「日本にもこれからは、次第に官府語が、出来るだらうヨ」との海舟の予言は、政府の民衆軽視の風潮への警鐘でもあります。

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