「孫子」が出典となって人口に膾炙しているフレーズは結構あります。
最も有名なのは「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」でしょうか。
まず、「謀攻篇第三」に以下のように登場します。
(p41より引用) 彼知知己者 百戦不殆
故に勝を知るに五あり。戦うべきと戦うべからざるとを知る者は勝つ。衆寡の用を識る者は勝つ。上下の欲を同じうする者は勝つ。虞を以て不虞を待つ。将の能にして君の御せざる者は勝つ。此の五者は勝を知るの道なり。故に曰わく、彼れを知りて己を知れば、百戦して殆うからず。彼れを知らずして己を知れば、一勝一敗す。彼れを知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず殆うし。
また、「地形篇第十」でもほぼ同じ言い回しが見られます。
(p115より引用) 彼知知己 勝乃不殆
彼れを知りて己を知れば、勝 乃ち殆うからず。
「孫子」の兵法によれば、戦いに勝つ秘訣は「勝てる戦いしかしない」ので必ず勝つということです。
したがって、勝てる戦いかどうかを事前に見切ることが肝となります。ここに、「情報収集・分析」が最重視されるのです。たとえば、以下のような実践的な示唆が全編のあちらこちらに見られます。
(p103より引用) 杖きて立つ者は飢うるなり。汲みて先ず飲む者は渇するなり。利を見て進まざる者は労るるなり。・・・
さらに、「孫子」では、最後の篇を「用間篇」として独立させて、間諜による活動、すなわち情報操作の重要性を説くことに充てています。
もうひとつ「孫子」といえば、武田信玄の軍旗に書かれた「風林火山」も有名です。(次回のNHKの大河ドラマは「風林火山」らしいですね。こちらの方が馴染みが深いかもしれません。)
(p77より引用) 其疾如風 其徐如林 侵掠如火 不動如山・・・此軍争之法也 (軍争篇第七)
m-funです。
昔学生の頃孫子を読み、友人と飲んだときなどに「勝てないとわかっていても戦わないといけないときはどうすんだ?」等の孫子を批判するような議論をしたことがあります(酔った勢いで意味不明のことも多かったようですが)。しかしその後社会に出て、何度か孫子を読み、この本から学ぶことは多かったです。
また、「読書力」で電子書籍についての記載がありましたが、やはり何といっても“紙”がいいですね。特に私は装丁にこだわる悪い癖があり、内容如何よりも装丁でつい買ってしまうことがあります。ただ、エコロジカルなことを考えれば、電子書籍の方が良いのかもしれません。
いつもコメントありがとうございます。
内容が充実していて装丁も立派な本は、本棚に置いていても自己満足に浸れます。
また、学生のとき読んだ文庫本などは、やはりその頃の記憶と重なって、「本」でなくては代え難いものがありますね。