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自由 (自由をいかに守るか‐ハイエクを読み直す(渡部昇一))

2008-05-24 13:43:54 | 本と雑誌

Hitler  本書も、先に読んだ「日本史から見た日本人」と同じくセミナーの課題図書としていただいたので読んだものです。

 恥ずかしながら本書に触れるまでは、ハイエクという人は知りませんでした。
 辞典の受け売りですが、ハイエク(Friedrich August von Hayek 1899~1992)は、オーストリアの経済学者で、1974年ノーベル経済学賞を受賞しています。自由市場経済の擁護し、その著書「隷従への道」(1944)は当時のベストセラーになったといいます。

 本書は、渡部昇一氏によるハイエクの主著「隷従への道」の解説本です。
 渡部氏は若い頃、英語も独語も解することからハイエクの通訳もされ、身近にハイエクの考え方・発言に触れた経歴をお持ちです。

 ハイエクは、第二次大戦に至るドイツ等の姿を見、戦後のイギリスの行く末を憂いて「隷従への道」を著したといいます。もちろん、そこで否定されているのは「個人の自由」が抑圧された「全体主義」です。

 ハイエクは「自由」に最高の価値を置き、その保障のために「経済的自由」を強く主張しました。

 
(p37より引用) 「経済的自由なくして個人的自由も政治的自由もない」・・・これはヨーロッパ連合をつくる思想的もとになった団体であるモンペルラン・ソサエティのスローガンでしたが、社会主義政権は個人の経済的な自由を奪おうとするものであり、経済の主体を政府が握れば個人的な自由も政治的な自由もなくなるということを、ハイエクが日本に来たときにも主張してやみませんでした。

 
 ハイエクの「自由」重視の考え方は、渡部氏が紹介する以下のエピソードでも明らかです。

 
(p121より引用) ハイエクの講演で非常に印象深かったことの一つとして、 「自由と民主主義を並べるけれども、どちらが重要かといえば、間違いなく自由のほうが重要です」とおっしゃったことがありました。極端なことをいえば、民主主義がなくても自由があればいい、ということになります。

 
 ここでの「民主主義」は「平等」と言い換えてもいいようです。

 また、ハイエクは自由の保障のため、「経済的目的と政治的目的の分離」を求めます。

 
(p223より引用) 経済的目的と政治的目的の分離が個人の自由を保障するという考え方は、ハイエクの一番のキーノートです。それは、政治的に偉くなくてもお金が儲けられるという制度です。ところが、かつてのソ連や今の中国を見ると、政治的権力がなければ富もありません。つまり、社会主義では政治的権力と富が一致する体制なのです。一方、自由主義社会は公的な地位のない人でも地主であり得るし、会社の社長でもある得るわけです。

 
 政治的権力による経済の統制には強く反対しています。
 まさにそれは「全体主義」への道に通じるからです。
 

自由をいかに守るか―ハイエクを読み直す (PHP新書 492) 自由をいかに守るか―ハイエクを読み直す (PHP新書 492)
価格:¥ 840(税込)
発売日:2007-11

 


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