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逆境の善用・順境の警戒 (修養(新渡戸 稲造))

2006-02-19 14:21:21 | 本と雑誌

 新渡戸氏はよく「善用」という言葉を用います。
 「善用」を辞書で引くと「よい方に使うこと。うまく使うこと。」とありますが、新渡戸氏の伝えたい気持ちはそれだけの意味ではないと思います。
 あらゆることがらを「善意に応用する」という「新渡戸流ポジティブシンキングの勧め」なのです。

(p265より引用) 境遇を善用し、見るもの聞くもの、あらゆる経験を利用して、向上の道具にする心がけがあれば、境遇そのものもこれを替えることができると思う。

 他方、順境の時の戒めについても触れています。(このあたりは、最近「他山の石」とすべき事件も起こっています。)

(p370より引用) 順境の人の警戒すべき危険
 一.順境の人は傲慢になりやすい
 二.順境の人は職業を怠りやすい
 三.順境の人は恩を忘れやすい
 四.順境の人は不平家となりやすい
 五.順境の人は調子に乗りやすい

 このような「新渡戸流ポジティブシンキング」の根底には「順逆は心の持ち様次第」との考えがあります。

(p342より引用) 逆境に陥ったならば、逆境そのものを善用して、我が精神の修養に供するがよい。・・・境遇の順逆はこれを善用する人の心がけ一つで、いかようにもなる・・・

(p365より引用) 梅雨の時期は霖雨連日、洗濯業者にははなはだ不幸な、いわば逆行時代であるが、百姓には最も幸福な、いわば順境時代である。人の幸不幸とか、境遇の順逆などは、各自の立場によって違う。境遇そのものに順とか逆とかの性質が、絶対的に付随しておるものではないと思う。

 そして、逆境を善用するとは、「自らが変わる」ことでもあります。

(p366より引用) 順境は前にも述べたごとく、自分と周囲との関係である。ゆえに周囲を変えることができぬとしても、自分の立場を変えれば、逆境もこれを順境に転じ得ることがしばしばある。しかるに、我々凡人は、自分の位地を変えることを考えないで、外部の状態やら、他人を変えることのみを考える。しかして、外部を変えることができぬ時は、天がせっかく順境を与えても、それを逆境視する者が多い。

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