「わずか6人をたどるだけで、世界中の任意の2人は結び付けられる」、思っているよりずっと世界は狭い・・・。
こういった状況を解き明かす「スモールワールド・ネットワーク」という概念の解説書です。
生態系のような因果関係が複雑に絡まる事象も、その根本原因は、共通に見られる特徴的なネットワーク構造にあるという考え方です。
そのキーになる構造が「スモールワールド・ネットワーク」です。この特殊なネットワーク構造の肝は、近接点をつなげたクラスターの中に時おり混在している「遠くに延びた『弱い絆』」です。
この点について、ジョンズ・ホプキンズ大学に勤務していたグラノヴェターはこう語っています。
(p67より引用) 社会という織り物では、なじみの薄い知人どうしの橋渡しをする絆が非常に大きな重要性をもっているということだ。弱い絆なしでは、コミュニティは無数の孤立したバラバラの小集団になってしまうだろう。
同じような構成イメージを、コーネル大学の数学者ワッツとストロガッツは「規則性とランダムさの混在」と表わしました。
(p78より引用) 社会のネットワークを正しく作るには、ともかくも一つのネットワーク内に規則性とランダムさとが独特の混在の仕方をして含まれていなければならないだろうという点で一致した。
こういった「スモールワールド・ネットワーク」は、私たちの身近なあらゆるところで現出しています。
もっとも身近な?ところでは、「脳」内のニューロンのつながりがそうです。
(p100より引用) スモールワールドのパターンは、脳のさまざまな機能部位を互いに数段階の隔たりのところに位置させることで、ネットワーク全体が一つの緊密なまとまりをもった単一体になるのを確実なものにしている。
また、自律的に拡大していくインターネットの構造も「スモールワールド・ネットワーク」といえます。
ただ、この場合は、初期のネットワーク科学で取り扱われていた構造、すなわち「規則性とランダムさの適度な混在」とはちょっと異なるもののようです。
(p134より引用) インターネットもワールド・ワイド・ウェブも、ワッツとストロガッツのパターンにはまったく当てはまらないが、別のやり方-少数の要素が莫大な数のリンクをもつこと-でスモールワールドを実現している。言いかえると、ネットワークをスモールワールド化する方法は一つではないということである。
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