OMOI-KOMI - 我流の作法 -

For Ordinary Business People

代表的日本人(内村 鑑三)-西郷隆盛-

2006-01-15 12:31:06 | 本と雑誌

 日清戦争のころ、内村鑑三が日本文化を西洋社会に紹介するために記した代表作です。

 著作の中では、5人の人物が様々な分野における「代表的日本人」として選ばれています。その一番手が「新日本の創設者」としての西郷隆盛です。

 特にこの章は、全著作をとおしても、かなりナショナリズム的な書きぶりになっています。が、ここでは、現代でも通じる(ある意味では西郷でなくても語りそうな)箴言をご紹介します。

(p42より引用) 機会には二種ある。求めずに訪れる機会と我々の作る機会とである。世間でふつうにいう機会は前者である。しかし真の機会は、時勢に応じ理にかなって我々の行動するときに訪れるものである。大事なときには、機会は我々が作り出さなければならない。

 信念をもって動くべきときには動く、立つべきときには立つということです。
 倒幕運動、征韓論、西南戦争と、その時々で西郷を動かしたものは様々ですが、彼は立ち上がりました。

(p47より引用) (左伝を引いて)けちな農夫は種を惜しんで蒔き、座して秋の収穫を待つ。もたらされるものは餓死のみである。良い農夫は良い種を蒔き、全力をつくして育てる。穀物は百倍の実りをもたらし、農夫の収穫はあり余る。ただ集めることを図るものは、収穫することを知るだけで、植え育てることを知らない。賢者は植え育てることに精をだすので、収穫は求めなくても訪れる。
 徳に励む者には、財は求めなくても生じる。したがって、世の人が損と呼ぶものは損ではなく、得と呼ぶものは得ではない。いにしえの聖人は、民を恵み、与えることを得とみて、民から取ることを損とみた。今は、まるで反対だ。

 「敬天愛人」を座右の銘とした西郷は、「徳」の人でした。
 勝海舟は、「氷川清話」の中で「おれは、今迄に天下で恐ろしいものを二人見た」といい、その一人は横井小楠、今一人が西郷でした。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ワークライフバランス in パ... | トップ | 代表的日本人(内村 鑑三)-... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
m-funです。ご無沙汰しています。 (m-fun)
2006-01-15 22:08:14
m-funです。ご無沙汰しています。
この「代表的日本人」はまだ読んだことがないのですが、西郷隆盛は確かに「徳」の人だと私も思います。昔の歴史の授業からは賊軍の大将くらいのイメージしかなかったのですが、それとは違う人物として西郷に興味を持ったのは、学生時代に司馬遼太郎の「翔ぶが如く」を読んでからです。その後「西郷南洲遺訓」を読んで更に興味が増しました。ちなみに私が座右の書としているのは、この遺訓とマルクス・アウレリウスの「自省録」で、仕事などで落ち込んだときに読むと元気づけてくれます。
返信する
m-fun様 (思案中)
2006-01-15 23:41:07
m-fun様
 コメントありがとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
 西郷隆盛は、私ですらすごいなと思う人たちが、すごいと言っているのだから、本当にすごい人だったのだと思います。
 特に西郷ファンというわけではありませんが、私も2年間の九州勤務(熊本)があり、その折には、「ここがあの田原坂か」と思って通った記憶があります。
 ご紹介いただいた「西郷南洲遺訓」と「自省録」はまだ読んでいないので、私の今後の予定リストにいれたいと思います。
返信する

コメントを投稿

本と雑誌」カテゴリの最新記事