いつも利用している図書館の新着本リストで目についたので手に取ってみました。
東大入試の世界史の論述問題は、様々な国や地域を舞台にした政治史・経済史・社会史・文化史等のジャンルを横断的に関連付けて理解していないと対応できない “ユニークな切り口の提示” が特徴的です。
本書は、その東大入試の問題を材料に、“世界史を俯瞰的・横断的に理解するための思考法” を解説したものとの触れ込みですが、なかなか “魔法の杖” のような「具体的な思考法」を示すのは難しいですね。
東大世界史の論述問題は、あるテーマを設定し、ある程度の空間的・時間的スパンにおける “流れ(=変化)” を論じさせるものが多いようで、それに対応する思考パターンとして、著者は、「変化前」→「変化の要因」→「変化後」を考えるというフレームを提示しています。
そして、そのパーツを、時間軸や空間軸上にある別のエンティティとの間での「相似」や「相違」という切り口で綜合して全体の論述をまとめていくというステップです。
しかし、40~50年経っても「東大入試の世界史の論述問題」の基軸(基本的な出題意図・価値観)は変わりませんね。問題を読むだけでもワクワク感を抱きます。
記憶をたどると、はるか昔も、時折、(空間軸的には)中南米や東南アジアあたりが出題対象とされることがあったのですが、なかなかそこまでカバーできていなくて悩ましく感じたものです。それでも、当時は、(時間軸的には)今日ほど「近・現代史」のトピックを問うことは少なかったと思います。
ただ、考えてみると、当時からもう “半世紀” という時間が過ぎているのですから、「私の感覚での近現代」が「歴史」として入試問題に登場しても不思議ではないのでしょうね。ちょっとショックです・・・。