平尾誠二さんにちなんだ著作は以前も何冊か読んでいます。
本書は、平尾さんによる過去の著作6冊の中で語られた心に刺さる言葉を紹介したものですが、それぞれの章の冒頭に掲げられた羽生善治さん・岡田武史さん・山中伸弥さん・山口良治さん・佐渡裕さん・土田雅人さん・・・、平尾さん所縁の方々による寄稿で改めて平尾さんの“人となり”を思い抱くことができました。
加えて、長年平尾さんを撮り続けた岡村啓嗣氏の写真とのコラボレーションとして構成されているのが特徴的ですね。数々の写真は、文章とはまた別の感慨を呼び起こします。
さて、改めて本書で再会した平尾さんの、とりわけ彼らしい言葉を書き留めておきます。
(p68より引用)
伝統の継承とは、
以前からあるものに否定形をつけて、
新しいものを創造すること、
破壊から新たな創造を生み出すこと
もうひとつ “「個」と「組織」”に関する平尾さんの信念。
(p209より引用) 強いチームの根幹をなすのは、強い「個」である。個を個として自立させその能力を最大限に引き上げなければ,強い組織はつくれない。組織を強くするためには、まず個を強くすることだ。・・・
個々の選手のキャパシティが広がれば、そこへ新しい知識や戦術を引き込むことができる。そうなったとき、チームとしてのキャパシティはさらに広がり、もう一段高い領城に我々は登ることができる。
「個」が強くならなければ、強い「組織」などつくれるはずがない、まさに私も完全に同意する平尾さんの考え方です。
そして最後は、“One for all, all for one”。
私も間違って理解していましたが、このフレーズ、「ひとりはみんなのために、みんなはひとつのために」なんですね。
最終目標は、“みんなでボールをつないでひとつのトライを取る”こと。確かに、その解釈の方が圧倒的にしっくりと納得できます。