(p158より引用) 立場によって拘束された見かたの限界ということを明らかにする。そして、その限界を示すことで、その前提のまちがいを論じていくのです。
たとえば、ある人が「大学を卒業しても定職についていない若者が多い」と言ったとします。そのときこの人の頭の中には、たとえば、
- 「大学を卒業すると働くのが当然だ」 とか
- 「定職についていないのは悪いことだ」 とか
- 「そういう若者が増えることは問題だ」 とか
という「考えの基本となる前提(=世界観)」が存在しています。その前提(=世界観)に則ってそういう台詞を発しているのです。
したがって、先入観にとらわれない根本的な議論をするためには、それぞれの当事者の世界観の是非にまで遡る必要があります。
議論の相手のそもそもの世界観を意識し、その違いを把握することがスタートラインになるのです。
そのことは「議論」の場合だけでなく、ごくふつうのコミュニケーションの際にも大事です。
もちろんふつうのコミュニケーションの場合は、相手の世界観を論ずる(非難したり否定したりする)必要はありません。世界観の違いの認識したうえで、それを踏まえたやりとりができれば十分だと思います。