令和2年度「第2回きらきら塾」が9月8日に中央市民センターで開講されました。
テーマは『子どもとの関わり方~子どもも親も幸せな子育て~』
講師は秋田公立美術大学 教授 野々口 浩幸さんをお迎えしました。
今回は、子どもの「幸せ感」を育むために、家庭生活の中での子どもとの関わり方について、お話をしていただきました。
はじめに、子どもの幸福な人生のために大事なことは「子どもが『親から愛された記憶』をもてるか…実はこれこそが今回のテーマの結論です」と野々口さん。
つづけて「なぜなら、生まれてから10歳位までの記憶が生き方に大きな影響をもたらし、その記憶が今の自分をつくり、これからの自分をつくっていくからです。」と言葉を強めました。
また、次の4つの因子を満たすことで幸せ感がより高くなるといいます。
①やってみよう!(自己実現と成長の因子:自己効力感)
…目指す目標を持ち、学習・成長していること
②ありがとう!(つながりと感謝の因子:自己有用感)
…いろいろな人とのつながり、人に感謝すること・親切にすること
③なんとかなる!(前向きと楽観の因子:レジリエンス・逆境力)
…失敗したときに立ち直る力、前向きに物事をとらえること
④ありのままに!(独立とあなたらしさの因子:自己肯定感)
…自分は価値のある、ありのままの自分を受け入れることができること
これらの4つの因子をバランスよく意識していくことが幸せにつながるということだそうです。
しかし、日本の子どもは④の「自己肯定感」が低いといいます。
生まれつきの気質、幼少期の親との関係、成長・発達においての体験が自己肯定感に影響を与えます。そこで、自己肯定感を育む5つのポイントを教えていただきました。
①愛される体験…自分のいいところも悪いところも無条件で愛してくれる
②ほめられる体験…自分は評価に値する人間
③共感される体験…気持ちをわかってもらえる
④感謝される体験…自分は人の役に立てる人間だ
⑤自信となる達成感・成就感が得られる体験…自分もできるんだ
ただしほめる行為には注意が必要です。
ほめることは評価なので、子どもはほめられることを目的とし、評価ばかり気にするようになります。
そこで、おすすめするのが「勇気づけの言葉がけ」です。
「勇気づけ」とは、欠点を指摘するのではなく、個人としての成長や、できていることを認めてあげること。
子どもの気持ちを理解し寄り添うことが大切です。
「いい子だね」より「ありがとう」、これは自己肯定感を高めるために効果的な「魔法の言葉」だということです。
さらに、自己肯定感を育むためには「愛着形成」、人との結びつきが重要。
これにより幸せホルモンである「オキシトシン」が分泌され、共感力が高まり、相手に対して寛大になるという効果があります。
「オキシトシン」は子どもの頃に十分なスキンシップをとっておくと、その効果は一生続くのだそうです。
子どもの幸せのために大事なこと、それは「叱られても怒られても、子どもには親に大切にされた記憶を残してあげること」「自分の生き方は子どもの頃の記憶に大きく影響を受けていて、幸せな人生を過ごすかどうかは、その記憶によって見えてくるものだ」という野々口さんの熱心なお話が印象的でした。
親の在り方、幸せの原点、子どもの幸福な人生のために親として何ができるか、また何を大切にするかなど、普段の生活の中での子どもとの関わり方をあらためて考える貴重な時間となりました。
参加者の声(一部抜粋)
「ありがとう」のことばを意識してどんどん使ってみます。
子どもをほめすぎず、勇気づけの子育てでそういう言葉をかけたいです。
「ほめる」よりも「勇気づけの言葉がけ」がもっとも大事だということがわかりました。帰宅後から早速実践していきたいです。
親から愛された記憶。今日から実践できる声がけ。
思い出す記憶が変わると、これからの自分が変わるということ。こんな風に考えたことがなかったので、ステキだなぁと思いました。
愛された記憶を残すことの大切さ。
子どもに対する考え方をもう一度優しく接することにつとめていきたいと感じることができた。とても楽しいお話を聞くことができてよかったです。
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