今回から、3回シリーズで【子どもの発達と親の関わりを考える】と題して、岩田さんにお聞きしました。第1回目は~小学校・低学年の子どもの発達の特徴と、親の関わり方を考える~がテーマです。
1年生になったら~♪と、小学校生活を楽しみにしている園児たちの様子は微笑ましいものです。小学生になると、親と一緒の登園からひとりでの登校に変わります。徒歩通学になるでしょうから体力が必要です。学校につくと時間割にそって勉強をします。切り替えと集中力が必要になります。家に帰ると宿題もします。そして毎日、必要な物を連絡帳に自分で記入して道具をそろえます。自分のことを自分でする割合がグッと増えます。こどもにとってそれはうれしく誇らしことである一方、不安も感じるでしょう。
持ち物が他の人と違ったらどうしよう、忘れ物をしてしまったけどどうしよう、給食を残すと注意されないだろうかと親にすれば小さなことですが、子どもにとってはとても大きな不安です。そういった不安が続いたり強くなったりすると登校をしぶったり、イライラしたりすることもあります。
発達心理学的7~8歳は「幼児期」と「学童期」の境目です。そう考えると親に「もう小学生だから、このくらいできるでしょ」とみられると、こどもはちょっと苦しいと思います。環境の大きな変化もある時期ですから、なおさらです。幼児期は、自分中心でモノをみるという特徴があります。そのため、他の人からの見え方に考えが及ばず、みんなも自分と同じように思っていると考える傾向があります。そして、発達のスピードには個人差があることも考慮すると、幼児期と学童期の境目の低学年のこどもの中には、不安を親に説明するだけの情報をもっていないこともあります。それを念頭において、こどもが不安がっているときは彼らの言い分をしっかり聞いてみましょう。話を重ねる中で他の人の見え方に気づけたり、言葉にならない不安の正体がはっきりしたりするでしょう。そして次にどうしたらいいか、何ができるかを一緒に考えることができます。