子どもとの関わりを考える最後は「中学生の発達の特徴と親の関わり方を考える」について、岩田先生にお聞きしています。
思春期のこころは忙しい。中学生になった途端、大人へのカウントダウンが急に始まる気がしませんか。受験というラスボスを意識するせいかもしれません。自分の将来をリアルに考える場面が多くなるからです。でも、自分が何をしたいかがわからず、焦りや不安を覚えます。また、自立も求められます。それは自分で考え自分で決めていくことですが現実的には大人の助けが必要で、その矛盾に居心地の悪さを感じ反発も少なくない時期です。周囲の反応にも敏感になり、自分がどう見られているのかということに関心も高くなります。
ところで、映画「耳をすませば」を知っていますか。本好きの中学生の少女、雫が進路を考えているところに、バイオリンづくりの職人を目指す少年があらわれます。少年は自分にその見込みがあることを親に証明するためにこれから修業に行くというのです。少年の夢に突き進む姿に惹かれた雫は、自分も何かを見つけようと模索し、物語を書くことに挑戦します。しかし、納得のいく仕上がりにならず、雫は自分の未熟さを痛感します。落ち込んでいる雫に「はじめから完璧なんか期待しちゃいけない」「何かを作ることは、自分の中の原石をゆっくりと時間をかけて磨いていくことだ」と教えてくれた人がいたおかげで、雫はもっと良いものを書くために高校に行って勉強をがんばろう、自分の原石を磨く決意を新たにするという話です。
人と自分を比べて落ち込む、自分の能力のなさに落ち込む、周りが自分よりも秀でているように見える、周りに置いていかれるような焦りや不安と中学生のあるあるが詰まっています。子どもに何を聞いても「特になにもない」「普通」ばかりで、何を考えているのかわからず、親は心配になることもありますが、親の想像以上に子どもは自分のことを考えていることを改めて感じさせられます。お子さんが自分の原石をじっくり磨いていけるように、保護者のみなさんも根気強く応援しましょう。
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