【子どもの発達と親の関わりを考える】と題して3回シリーズで岩田先生にお聞きしています。
第2回目は~小学校・中学年の子どもの発達の特徴と、親の関わり方を考える~です。
「9歳の壁」というフレーズ、聞いたことありませんか。子どもの考え方が具体的思考から抽象的思考に変わっていく中で「壁」と感じるというものです。分数や少数で算数の理解スピードが落ちるのはそのためです。その「壁」は勉強だけでなく生活にもあります。
この時期の子どもたちはギャングエイジといわれ、気の合う仲間で集まるようになります。行動範囲も広がり、今までに聞いたことのない友達とも遊ぶようになり、仲間同士を呼び捨てで呼び合うようにもなります。親や先生など周りにいる大人よりも自分のそばにいる仲間からの影響を強く受け、時間を守らなかったり嘘をついたりと親への反抗的な部分もちらつきますが、協調性や社会性を学ぶ機会にもなっています。ただ、周りを見る力がつくことで、他人と自分を比較し自信がなくなって卑屈になり、相手に素っ気ない態度をとったり、陰口を言ったりすることもありえます。こういった危なっかしさもありますが子ども同士で知恵を出し合って対処する力も育っていきます。「壁」は子どもにとって成長するチャンスを秘めている時期です。
最近は、習い事などで放課後に集まることが難しく、遊ぶ時間がたっぷりある子どもは多くありません。また、ひとりで過ごすことが好きな子どももいます。
親にできることは、子どもが友達と一緒に過ごしたいと思ったときに仲間づくりができる環境調整をすることです。子どもから素っ気ない反応が返ってきても「今日は何していたの?」と気にかけているメッセージを送り続け、困ったときに助けを求めやすくすることです。そして子ども自身が自分の良さを再確認できるように、子どものがんばりや良さを折に触れて伝え、子どもが仲間との豊かな体験を積めるように後押ししましょう。