Learning Tomato (旧「eラーニングかもしれないBlog」)

大学教育を中心に不定期に書いています。

vol246:「Learner Centricな人体実験」番外編~給付金の申請~

2007年10月18日 | Learner Centricな人体実験
無事に大学院を修了しLearner Centricな人体実験は一応完了しました。そして最後に番外編としてご褒美が残されていました。それは「教育訓練給付制度」の申請で給付金20万円をいただくことです。

実は、教育事業に携わる身でありながら、自分でこの制度を使うのは初めてだったので、申請手続には色々戸惑ってしまいました。しかし、女房に内緒で20万円のへそくりができるのは小躍りしたくなるような小市民的な幸せでもあり、この10月から制度か改定され、支給の上限が10万円に減額してしまったことを考えると、ラッキー感も倍増しました。ということで今回のメルマガは、教育訓練給付制度の歴史と申請のポイントについてお伝えします。

教育訓練給付制度の歴史
申請の実際に入る前に、この制度の概要と歴史について皆さんにお伝えしたいと思います。

この制度は、1989年に「高年労働者等受講奨励金制度」として開始されました。当初の制度は50歳以上の雇用保険に加入している在職社員に対し、教育訓練に費やしたお金を修了時に半額(上限10万円)支援してあげようというものでした。50歳以上という年齢制限からも分かるように、この制度は元々高齢者の再就職を支援するための能力開発支援という位置づけで発足しました。

その後1990年に中高年労働者受講奨励金制度と名前が変わり、45歳以上の中年にも愛の手が差し伸べられるようになりました。しかし45~49歳は受講料の1/4しか補助はでませんでした。

1993年になると、中高年齢労働者等受講奨励金制度と、ビミョーに制度の名称が変更され、40歳以上であれば年齢に関係なく5割の補助(上限10万円)が支給されるようになりました。

制度が劇的に変わったのは1998年です。今までの高年とか中高年という前置きがなくなり、教育訓練給付金制度(2001年より教育訓練給付制度)となりました。年齢の定めがなくなり、雇用保険の被保険者であった期間が通算5年以上であれば、在職社員だけでなく、失業1年以内の人も制度の対象となりました。

さらに驚くべきことに支給率が受講料の8割(上限20万円、2001年からは30万円)と大幅アップしました。しかし、その太っ腹ぶりが仇となり、各地で不正受給する教育業者が出たり、おそらく雇用保険の財源自体が逼迫してきたり等の理由からか?制度自体の縮小がはじまりました。

2003年より、雇用保険の被保険者期間が3~5年の人は2割(上限10万円)、5年以上の人は4割(上限20万円)と支給率が半減しました。さらに、指定コース受講料の最低額の設定、教育事業者毎の指定講座数の制限の設定等が行なわれました。

さらに2007年10月より、雇用保険の被保険者期間による支給率の差はなくなり一律教育訓練経費の2割(上限10万円)となってしまいました。

以上がこの制度の18年間の歴史です。マイナーな制度なので、制度の歴史をまとめた資料がほとんどなく、本学の通信研修ガイドの過去18年間のバックナンバーをひっくり返してまとめてみました。内容に不備等ございましたらご指摘お待ちしております。ちなみにeラーニングの講座に関しては、現在48講座が本制度の対象講座となっております。
【中央職業能力開発協会の検索サイト】
http://www.kyufu.javada.or.jp/kensaku/T_K_kouza

申請手続きのポイント
続きまして手続き上のポイントについてお伝えいたします。

1)手続きは1ヶ月以内
修了後、手続きを1ヶ月以内に終わらせないと一銭ももらえません。以後に説明するような段取りがあるので、なるべく早めに手続きに向けて動く必要があります。これが申請で最も重要なポイントです。

2)最寄のハローワークで平日に申請する
手続きはお住まいの所轄のハローワークで行います。最近は土曜日も営業しているハローワークが普通のようですが、土曜日は職業相談のみで、教育訓練給付制度の申請はやっていない可能性が大なので確認してみてください。平日でも午前中は混んでいるので夕方に出頭するのがよいと思います。私は5時ごろ行ったらガラガラでした。

なおオンライン申請はおろか、郵送での申請も、海外出張とか病気等の理由がない限り認められていません。出頭が原則のようです。

東日本のハローワーク一覧
http://saturdayhw.fc2web.com/east/index.html西日本のハローワーク一覧
http://saturdayhw.fc2web.com/west/index.html

3)申請時に必要なもの
申請時に必要なものは以下の6点になります。

(1)教育訓練給付金支給申請書
修了式後に教育機関からもらえます。
必要事項を記入して持参しましょう。

(2)教育訓練修了証明書
これも教育機関からもらえます。

(3)領収書
私の場合は修了式後に大学の事務局からいただきましたが、教育機関によっては、学費を振込む際の領収書等を保管しておく必要があるかもしれませんので確認しておきましょう。

(4)本人・住所確認書類
官公署が発行する証明書です。具体的には、
・運転免許証
・国民健康保険被保険者証
・雇用保険受給資格者証
・住民票の写し
・印鑑証明書のいずれかです(コピー不可)

なお、同じ保険証でも、国民健康保険被保険者証以外は国が発行したものでないので不可となります。またパスポートは住所がないからNG。まあ運転免許証が無難なところですね。

(5)雇用保険被保険者証のコピー
これが一番悩みました。お恥ずかしい話、最初は一体なんだか分からず、私学共済の保険証を持っていけばOKかと思っいてほどの愚か者です。色々と調べてみたら現物はこんなものという事が分かりました。
(下記URL参照)
http://hihokensyahyou.livedoor.biz/

うう、一度も見たことがない。
もしかしたら入職時に貰って紛失してしまったのかもしれない。
再発行に時間がかかったらどうしよう・・・と悩んでいたら
「会社によっては人事が保管している場合もあります」
ととあるBlogに書いてありました。さっそく問い合わせてみたら人事部で保管しており、すぐコピーをもらうことができました。なお雇用保険被保険者証に記載されている雇用保険被保険者番号が、(1)の書類を記入する際に必要となります。

(6)振込先銀行の通帳
実はここが一番苦労したところです。私が女房から独立して持っている金融口座(つまり隠し口座)は郵便局と新生銀行のオンラインバンクの2つでした。しかし2007年9月の段階ではなぜか郵便局の口座は教育訓練給付金の振込先として利用できませんでした(もう民営化されたから使えるようになったのかなあ?)。また申請時に通帳を見せる必要があるため、通帳の存在しないオンラインバンクでは色々と面倒な事が起きそうな予感。かといって給料の振込先口座を利用したら20万円が女房に剥奪されてしまうので、それだけは避けたい。

ということで、郵送の申込みで口座開設ができるスルガ銀行で新たに口座を作った後に申請に行きました。なぜ郵便局が不可なのか、新生銀行のようなオンライン銀行の場合はどうするのか?等疑問に思われた方は、ぜひご自身で確認してみてください。

(7)印鑑
念のため持っていったら必要となりました。窓口で「教育訓練経費確認書」という書類を書くことになり、そこに捺印する必要があったためです。ちなみに「教育訓練経費確認書」は、「会社から自己啓発援助とかいって、学費の一部の補助をうけてないだろうねえ?」等の質問に対して回答する書類です。

家族対策
家族には在学中色々と苦労をかけたので、給付金の中からプレゼントを買ってあげました。しかし給付金支給額がばれてしまうと「20万円も貰ったのにこんな安いプレゼントでごまかすつもり」とののしられ、逆効果になりかねないので工夫が必要です。筆者の場合、新制度になって減額され支給金額が10万円だったということにし、その中から女房にはネックレスを、娘にはスチールベッドを買ってあげることで後の追及を逃れました。本メルマガの読者で私の女房を知っている人は絶対にばらさないように。

今後の教育訓練給付制度
アメリカではペル奨学金をはじめとした、給付型の奨学金制度が充実しています。しかし多くの人が利用できる給付型の奨学金制度は、日本では教育訓練給付制度ぐらいしか存在しません。しかも年々支給額は減少の一途を辿るばかり。高齢化社会を迎え、生涯学習の必要性が叫ばれる中、個人の学習に対する国の補助を真剣に考えて欲しい訳で、個人的には、再生会議で話題になる「教育バウチャー制度」というのを、ぜひ大人向けに導入して欲しいと願っているのでした。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿