経験者であるこどもたちの生の声です。
case1 不登校
◎学校に行きたくない
私は、小学校までは普通の生活をしていました。「マイペースだね」と言われることはあったけど、人間関係に悩んだことは一度もありませんでした。でも、引っ越してきて、入学式に出たとき、「やばい」って初めて思いました。まわりはみんな小学校の時の友達と固まっている感じ。そのときは無理して、自分から話しかけてみましたが、どこか距離を感じていたのを覚えています。当時は、周りと「仲良くする」ことばかり考えていました。そのうち眠れない日が続くようになりました。頭の中が眠れない不安でいっぱいになって、朝もきつくて最悪でした。
部活一色の夏休みが終わりかけのころ、家族で旅行に行ってもうすぐ帰るというとき、涙が止まらなくなりました。そのころから、「学校に行くのは嫌だ」と本気で思い始めてたんだと思います。2学期になって、学校を休みました。それでも1週間ぐらいしたらまた行くつもりでした。でも、3日4日休んだとき、親が先生に伝えた私の状態を、先生が生徒みんなに伝えました。「みんなに知られた」と思ったとき、行く気力が消えてしまいました。
その後、みんなが手紙をくれて、話したこともない子が家によく来るようになりました。それはみんなの優しさだったのかもしれない。でも、そんな状態から仲良くなって楽しい環境をつくるなんて想像もできませんでした。内心は嫌で嫌で仕方なくて、申し訳なさと疲れで、限界だと思いました。「家に来てもらうのは辛い」と親を通じて伝えてもらってやっと気が楽になりました。でも、みんなの気持ちに答えられない自分はすごく卑怯で小さい人間だという気がしました。その後は、何も考えずにパソコンの前に座って、考えることからも逃げていました。食べる気持ちがなくなって10キロくらいやせました。
中学の卒業式は一人でしました。卒業証書をもらうだけだと思っていたのに、校長室にみんなが集まってくれて、校長先生がかけてくれた言葉に、感謝の気持ちがいっぱいになり涙が止まりませんでした。
中学を卒業してからは、高卒認定の試験を受けるための勉強とバイトを始めました。なんでも自分のことを話してくれるフリースクールの年上の女の子とバイト先の若い女性の店長は、私の憧れの的でした。
バイトでは、最初は、接客の笑顔がうまくできなかったけれど、早く帰りたいから、夜の閉店作業は誰にも負けませんでした。半年以上たったときに、やっと笑うのもうまくできるようになりました。フリースクールのバザーなどの行事も「自分でも力になっているんだ」と嬉しい気持ちになるので、いつも参加しました。高卒認定の試験は3回に分けて合格しました。そのころから、いろんな人を知りたいという気持ちが強くなっていきました。
今、同世代の友達との関わりが増えてきて、だんだん自分が「ふつう」の人間に戻ってきている気がします。同時に、高校で頑張っている人たちも見えてきました。フリースクールで過ごした私は、辛いことから逃げて楽ばかりしていたような気がして、薄っぺらで卑怯な人間だと思って自己嫌悪でいっぱいになりました。初めて、自分のことを話して泣いたら、先生が「今は悩めばいいよ」と言ってくれて、すごく気が楽になりました。自分なりに成長してきたからこそ振り返って「後悔」できるようになったのだと思います。そう思うと、心配もお金の迷惑もかけた親やまわりの人に感謝の気持ちでいっぱいになります。
学校に行ける人は行けるし、私のように、無理な人は無理だと思います。もし、無理だったら、正解はひとつってことは絶対無いから、また別の道を選べばいいと思います。もちろん頑張って通い続けるのもありです。辛くても、悩むときは悩んだ方がいいし、何も考えたくないときは、ゆっくり休めばいいと思います。結局誰がどう言おうと自分が納得できるのがいちばんです。(18歳 )
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