一人の時間

いつの間にか、夜が早くなった。
この間、ススキがきれいだと思っていたのに、
もう、街にも紅葉が降りてきている。




今日の風は冷たかった。

時々行ってしまうナフコの大きな店を出ると、
急に海が見たくなった。
一日中雨が降ったり止んだりの天気、
それなのに、どうしても海が見たい。
いつもは通り過ぎてしまう『赤坂海岸』の交差点を左折すると、
湖月堂の工場がある。
そこの隣に駐車場があった。
２つの運動場があり、
ただ海が見えるだけのなんてことのない公園で、人影もなかった。
時間はもうすぐ5時になる。
早くしないと夜が駆け足でやってくる。



見上げると公園の街灯に灯りがふっと燈った。

公園を足早に抜けて海へ出た。



波が打ち寄せる。
風と波しぶきが、冬を想像させる。
私の寂しさや迷いを吹き飛ばすかのような強い風。
潮風が私をすきっとさせる。


いつの間にか忍び寄る夜の気配を押して
我が家へと車を走らせた。