2012年1月18日(水)
実は、昨年末に岡秀衝撃ニュースが先生から告げられていた
『包丁会は閉校する!今作成中の物が完成したら、サヨナラ~理由、高血圧のため薬を飲んでいるけど、キツイから~』
先生の体調不良なら無理は言えない
手のかかる我がまま生徒たちの夜間の指導は身に堪えるのだろう
そんな訳で、今夜の生徒はたった2人
その彼もこの日完成したので、とうとう自分一人になってしまった
さて、焼き入れは他の商品とともに一緒に施され、済んでいた。
先ずは歪み取り。
金属は熱を加えると、鍛造で変形した分子構造がある程度元に戻ろうとする性質がある。この性質が強くなると、形状記憶合金になるが、鋸でも少し歪みがでる。
平面な金床の上で叩いて、少しずつ矯正していく曲げ尺(金属定規)を使って、凸凹を見つけて、縦横のわずかな隙間をフラットにしていく。
『よし、鋸の研ぎ方を教える~鋸の厚みは、手前が厚く刃先が薄く~さらに、刃は厚くミネは薄くせんといかん』
『へーっそうなんですか、そんなにして作ってあるんですか』
『市販品の機械で作るのはそんな手間はかけてない厚さは一緒 手前は厚くないと折れやすい。刃先に向かってだんだん薄くするのは、抵抗を少なくするため~刃で切る隙間よりもミネを薄くしないと抵抗がかかって動かせん。』
『なるほどですね』
『砥石での研ぎ方は、刃にかからないようにミネ側を重点的に、斜めに研いでいく刃を細めたらイカンバイ』
ここで、もっと早く載せるべきだった、改良刃鋸の特徴を説明パネルを載せますので、改良刃の働きをご覧ください。
さて、平らな板の上に乗せ、荒砥石で言われたとうりに研いでいく。
焼き入れで着いた黒い酸化鉄の膜が削れていく
ところが窪みのところには砥石面が当たらず、なかなか研げない
『先生、この黒く残る所は凹だから、裏から叩きだして平面にしたらと思うのですが~』
『まだ早いそれが無くなるくらいまで研がないと先は薄くならん~楽しようと思ってるど~』
『いやそんな・・・・頑張ります』
それから必死で研いだ。自宅に持ち帰って風呂場でも研いだ
裏表をトータル4時間くらいかけて、必死コいて研いだ
2012年1月20日(金)~21日(土)
もはや残された生徒は一人なので、先生は言った『もう包丁会ではないから、水曜日には関係なく、作業が進んだらいつでも持って来なさい』
という訳で、金曜日の仕事帰りに歪み取りに寄った
先生は鋸の両端を持つと、力を加え逆U字に曲げた
『ホラ、曲がりの頂点は何処にある取っ手側にあるど、これが刃先側に頂点が来ないと、先が細まっていると言えない~まだまだやな~』
『ヒエーッ先生、お店の手づくりノコはみんなこんなに研いでいるんですか』
『誰がコギャンこつするね~砥石でするなら値段を5倍にせんと引き合わん これも機械で研いでやってもよかばってん、そっじゃ勉強にならんどさあ、頑張って』
『はい~頑張ります』
その夜も、次の朝も、台所でひたすら研いだ
昔の鋸職人の大変さを思いながら~ホントにひたすら研いだ
暖房を持っていない部屋だが、汗をかきだした
砥石の角度はこんな感じ~刃先が薄くなるように、ミネが薄くなるように、刃は研がない~おかげで、凹の酸化鉄は取れ全体的に光出した
土曜日の午前中に再び歪み取りに行った
『ど~れ、うまく曲がるかな~』
『うん、良かばい、ホラ、曲がりの頂点が先の方に移ったろ』
そう言って歪み取りにかかった。
この道具は、歪み取り(鎚)というそうで、鎚面は直線的面で、両側が縦と横の関係になっている
これを手の中でクルッとひっくり返しながら----クルッ| | | |と叩いていく
『鎚は普通の金槌みたいな丸い平面じゃいけないんですかなんか効率が悪いような~』
『丸い平面じゃ、金属を延ばしてしまい収拾のつかんゴツなる、線の面だけんよかバッテン角で当てると傷になるけん難しかとバイ』
歪みの矯正が出来た
『今度は、サンドペーパーの80番からナイフづくりと同じように、顔が映るようになったら、また持って来なさい、また歪みをとるから注意は指先で研がない事 平面なゴム板を当てて平面に磨く事』
住まいに帰り、コタツの上で約2時間~80-150-240-500-680-800-1000-1500-2000番と上げていった
ここで、ノギスを使って測定した結果、手元=1.45mm 中央=1.15mm 刃先=0.55mmと判明した。
ノギスの使い方はこちら(アニメーション動画で分かりやすいです)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%82%AE%E3%82%B9
鏡とはいかないが、美男子の顔は映った
ツルツル面に水を落とすと、水玉が転がるまでになった
日曜日にまた岡秀に持ち込んだ~次はいよいよヤスリで仕上げの目立て、取っ手の取り付けで、完成となるつもり~また、報告します
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