佐賀大学病院放射線科アンオフィシャルブログ ~さがの読影室から~

放射線科医の日常や、診療紹介、推薦図書などをご紹介します。問い合わせ先等、詳しくはカテゴリー「はじめに」をご覧下さい。

とある研究会 その3

2008年09月29日 22時26分22秒 | オフタイム
 先日はkuma先生がレビューしてくれたので、引き続いて僕の方から書かせていただきます。
(すみません、kumaによる大幅な削除が入っています。)

・多房性のリング状増強病変→肉芽腫性疾患による脳膿瘍
辺縁に強い浮腫を伴った、基本通りの病変。SLEに合併する脳膿瘍の病原体で最多のものは・・・。みなさん、調べてみてください。治療方針にも関係するので、画像による病原体の推定が有用かもしれません。

・大脳のT2延長病変を見た場合、low grade glioma likelyであれば、2ヶ月ごとのフォローアップが推奨されるようです(glioblastomaは急速増大することがあるため)。非特異的な白質病変との鑑別は、やはり難しいようですが。

・小脳のglioblastomaは症例報告級に珍しい。

・MRIおよび、MRA(3D-TOF法)ではアーチファクトなどのために評価が難しくなることがある。造影CT(CTA)が有用。

 講演を聴いているときは、わかった気になるのですがやっぱり日が経つと、メモを見ながらでも怪しいところがでてきますね不十分な記事になってしまっているので、どうぞ追加コメントをお願いします。

とある研究会2

2008年09月28日 10時14分50秒 | 研究会・学会
kumaです。とあるところまで私が尊敬するS先生の講演を聴講しに行ってきました。
参加者は約80名ほどで、K大学の研修医や学生もきてました。
佐賀からは、私、okaji先生、mune君とKen.M先生の4名で高速をかっとばして参加してきました。
そのほかにも、佐賀の関連病院からは高木病院から2名、田主丸中央病院から1名きていました。

では、簡単に大事だなと思ったことを箇条書きにしますね。

1.画像所見が一元的なのか、2元的なのかを考えること。

2.小児がんの予後改善に伴い、2次がん発生が5-10%に認められるそうです。2次癌は、脳、骨、頭頸部に出やすい。AMLでおきやすい。5歳以下での放射線治療歴は2次発がんのリスクが高い。2次性AMLは1次癌発生後、5年以内にでやすい。という、ポイントを話されていました。

3.悪性リンパ腫は普通は均一に濃染するが、免疫不全状態だとリング状に濃染する。悪性リンパ腫は急速増大することがある。悪性リンパ腫は皮質より、脳室よりにでやすい(皮質の肥厚の有無をチェック)。

4.妄想することも大事!(S先生の場合は見事なまでのプロファイリングと思いましたが。)

以上です。詳細にメモってはいたのですが、諸般の事情により割愛させていただきました。

S先生の講演は非常にテンポがよく、診断のポイントを的確に話されるので、聴講後は自分がかしこくなった気がします。また、今回は講演の前にS先生から「kumaちゃんに1題、問題をあてるわ!」とふられていたので、非常に集中して講演を聴けました。実際には、S先生から問題をふられることはなかったので、講演が終わったあとには非常にほっとした気持ちになりました。

診断ができる人の講演をきくと、その人の思考回路に触れることができ、今後の自分の画像診断において参考になることだらけです。みなさんも、日常業務が忙しいかもしれませんが、ぜひ、積極的に研究会・学会には参加しましょうね!

2008.09.27 立神P

2008年09月27日 19時37分36秒 | 波乗りなど
 昨日からつづく、さわやかな秋の一日。
 午前中、唐津の病院で仕事だったので、その前に立神Pで1ラウンドしてきました。

 からっとした涼しい風ですが、やはり北東風で、立神はオンショアのビュービュー波数も多く、そこそこハードなコンディションでした。

 

 鳥も風に舞う朝焼け。

 

 サイズは胸~肩セット頭くらい。潮が悪く、ちょっと止まっていた時間帯もありましたが、何本か良いのが乗れました。比較的パワーのある波は久しぶりだったので、結構楽しめました。

 

とある研究会 その1

2008年09月26日 23時30分58秒 | 研究会・学会
  佐賀の近くのとあるところで、あのK大学のS先生の講演を聴きに行きました。まだ未読影が残っていましたが、どうしても聴きたかったので、そのまま出てしまいました。残って読影してもらったスタッフのために、できる範囲で勉強した内容をご報告します。

 タイトルは「たかがリング状増強病変、されど…~脳膿瘍を中心に~」です。

 まず、いくつかある脳膿瘍の画像所見の中から、S先生が重視されている所見をまとめます。


 ・多房性のリング状娘病変の存在

 ・拡散強調画像での高信号
 :トキソプラズマでは、DWIで高信号を呈さない場合がある。
 :ADC値が低下しない場合;治療後に多い→治療効果判定に有用
 :転移、放射線壊死との鑑別が難しいことがある。

 ・T1WIで、いわゆる被膜の一層内側に高信号域を認めることがある。
 :他部位の膿瘍でも、同様の所見を呈する場合がある→guri先生が卵巣膿瘍の症例を報告してました。

 ・周辺の浮腫が非常に強い。

 今回はここまで。
 次回予告。
 貴重な症例を供覧していただいたので、S先生がどのように読んだのか、理解できた範囲でレビューしてみます。

2008.09.25 抄読会 FLAIR像で見られるくも膜下腔の高信号

2008年09月25日 08時22分59秒 | 抄読会
 大学に帰ってきてから初めての抄読会でした。ちょっと、ラクをしてpictorial essayから選んでしまいました。やっぱりまずかったみたいです。

 内容は、結構おもしろかったのでご紹介します。

 AJR: 189, October 2007 913-921
 Stephan L. Stuckey et al.
 Hyperintensity in the Subarachnoid Space on FLAIR MRI

 まずは、病的な状態で見られる場合の原因


・くも膜下出血:CTではアーチファクトとの鑑別が難しい部位に有用

・髄膜炎:造影後FLAIR像では、造影後T1WIより有用

・癌性髄膜炎

・Leotomeningeal Melanosis:メラニンのT1短縮効果による

・脂肪を含有する腫瘍:脂肪腫や、dermoidの破裂

・Acute stroke:血栓そのものの描出、あるいは、末梢で流速の低下した血管の描
出。

・もやもや病:いわゆるIVY sign。

・くも膜下腔でのCSFに対する血管(血液)の割合の増加:腫瘍による容積効果などで、CSF spaceが圧排されるような場合など。

・造影剤:病的な状態で、経静脈的に投与された造影剤がくも膜下腔に漏出して、残存する場合。



 そして、アーチファクトが原因となるもの


・酸素投与の影響:100%酸素吸入で見られたが、50%酸素では見られなかったとの報告あり。

・CSFの拍動:頭蓋底や、橋前槽、小脳橋角槽で見られることが多い。CSFのflow
が落ちる円蓋部では見られにくい。

・血管の拍動:位相エンコード方向に見られる。眼球運動も同様のアーチファクトの原因となりうる。

・磁化率アーチファクト

・動きによるアーチファクト

 このような内容でした。各画像は、論文をご覧下さい。

2008.09.23 秋分の日

2008年09月23日 20時27分51秒 | オフタイム
 秋分の日ではありましたが、じっとりと暑い一日でした。

 久しぶりに、のんびりと休日を過ごしました。家の中でゴロゴロしながら、子どもと遊んだり昼寝したり。

 夕方から、家族三人で散歩に出かけました。道ばたでは、向日葵が終わりかけで、彼岸花が咲き始めていました。意外と日の入りが早くなっていて、あっという間に暗くなってきました。

 夕飯のメインディッシュは、今年初のさんまの塩焼きにしました。残念ながら、生さんまは売り切れで塩さんまでしたが、なかなか美味しく食べられました。いつも処理に困ってしまう、大根おろしの残りの大根を使い切ってしまおうと思ったので、ブリのあら炊きと、大根の皮と油揚げの炒め煮をついでに作ってりました。味噌汁は面倒だったので、昆布茶を使って、わかめのお吸い物を用意しました。
 やっぱり、一汁三菜を用意できるくらい、余裕があるといいですよね。

 秋分の日に因んで、デザートは、おはぎ。さすがにここまでは、作れませんので、スーパーのおはぎを食べました。
 おはぎと、ぼた餅の違いについて興味のある方は、以下のリンクを見てください。
ウィキペディア ぼたもち
電子辞書・辞書・事典
 今回のおはぎは、半殺しの粒あんでした。

頭蓋底解剖 眼窩からのVIEW

2008年09月21日 07時49分35秒 | オリジナル解剖アトラス
 前回頭蓋底解剖 頭蓋底の主な経路に引き続き、3Dで確認できる構造を眼窩から見てみました。

 左眼窩です。前回上手く描出できなかった、視神経管を正面視できるように少し角度をつけてあります。上眼窩裂と視神経管は、optic structにより分けられています。



 更に右方に角度を付けて、眼窩外側をカットし、下眼窩裂から翼口蓋窩の連続を示しています。



 各経路の内容物と、交通は前回記事を参照してください。
 ここでは、眼窩を構成する骨を書きます。

<眼窩の構成骨>

・上壁前方:前頭骨
  後方:蝶形骨小翼

・外側壁前方:頬骨
   後方:蝶形骨大翼

・下壁大部分:上顎骨眼窩面
   後方の一部:口蓋骨眼窩突起

・内側壁:篩骨眼窩板、涙骨、蝶形骨 


 上眼窩裂および、翼口蓋窩については多数の重要な内容物が含まれているので、もう少し書き込んで行ければいいなと思っています。それぞれの構造事態も複雑で面白いので、その辺りが伝わるような絵が出来るように頑張ってみます。

 参考図書も前回同様、高橋昭喜編 脳MRI1.正常解剖 です。

2008.09.20 立神P

2008年09月20日 13時56分37秒 | 波乗りなど
 台風一過。というほど、台風の影響はありませんでしたが、少し波があったので海に行ってきました。

 5時に起床したものの、運転だるいなぁ(海まで約1時間)と思っていたところ子どもが泣き出したため、目が覚めてしまって5時30分頃に出発しました。
 9月も半ばを過ぎて、夜明けがだんだん遅くなっていますが、6時前にはすっかり明るくなっています。6時半過ぎに海に着いた頃には、もう数名が海に入っていました。

 今回の波は、風波で、サイズも膝~腰、セット腹といったところ。基本的にあまり続かないタルめの波でしたが、たまにショルダーの張ってくる波があり、何本かインサイドまで当てたりカットバックしながら乗れました。クラゲにもあまり刺されなかったし、満足のいく波乗りが出来ました。

 波が小さくなってきたので、9時過ぎに上がって写真を撮りました。

 



 キッズサーファーがいたので、写真を撮りたかったのですが、カメラの充電を忘れていたので、すぐにバッテリー切れ。撮れたのはこの2枚のみせっかく晴れていたので、良い写真が撮れそうだったのに… 今日は時計も家に忘れるし、準備が不十分でした。

2008.09.18 佐賀胃懇話会

2008年09月19日 00時15分48秒 | 消化管カンファレンス
 台風が近づいているせいか、蒸し暑い日が続きます。
 前回の胃懇話会の記事(2007.07.17)を見ると、前回も、台風が近づいている中での開催でした。

 大学に帰ってきて、消化管から少し離れてしまったのですが、せっかくK館で勉強させていただいたことを忘れないように参加してきました。

 最初の2例は、発赤調の浅い陥凹性病変で、深達度診断が困難だった症例を提示されていました。いずれも基礎的な事項なのでしょうけれど、個人的にディスカッションを聞いてイメージがふくらんで、良い勉強になったので走り書きします。

 ・陥凹内隆起について。
 生検後変化、炎症などに伴った過形成変化、Ⅱa病変、sm病変の吹き出し、過形成変化の上に癌が重なっている場合などの、様々な病態で表現される。表面の形態を詳細に観察することで、深達度を考察できる。特に、学んだ事項としては、sm病変が直接吹き出してきた場合には、表面の微細な構造が通常の癌の表面(当然、粘膜の模様も)を呈さないということでした。

 ・壁の変形や、ヒダの形態からの深達度診断。
 前庭部では、筋層が厚いために伸展させても粘膜がルースでたるみがあるときには、観察上、病変の伸展が不良に見える場合がある。また、体上部小彎では逆に筋層が薄く、過伸展により深達度を浅めに評価してしまうことがある(このため、同部では一つ深目に評価するという鉄則?があるようです)。
 また、ようやくヒダの集中についても、潰瘍瘢痕による1点集中型のタイプと、smに達したために起こるdesmoplastic changeからの集中のいずれかをイメージして読影していくことがわかってきた様な気になりました。もちろん、それでも難しい症例があることもわかりますが…。

 3症例目は、通常観察のみでは範囲の同定が非常に困難だったⅡa症例。酢酸(ミツカン酢3倍希釈を推奨されていました)+インジゴ(青色2号!?)の染色で、非常に明瞭になりました。ウラワザ的な「食品」の使い方があるようですね。ちなみに、MRI(MRCP)ではブルーベリージュースを使うという話を読んだ記憶があるのですが、実際に臨床で使っている施設ってあるんでしょうかね??

 それにしても、普段モノトーンの世界に暮らしているので、とても華やいだスライドが楽しかったです

認定医試験 脳神経走行に関する解剖

2008年09月17日 22時50分29秒 | オンタイム
 また、認定医試験ネタ?という感じもありますが、決してネタに困っての所行ではありません(ということにしておきます)。頭蓋底の解剖に関連するということでこの問題をピックアップしてみました。
 過去問でも、少なくともこの数年は必ず出題されているようです。

 問題44.誤っている組み合わせはどれか。1つ選べ。

 a. 動眼神経  …上眼窩裂
 b. 顔面神経  …茎乳突孔
 c. 副神経   …頚静脈孔
 d. 舌下神経  …卵円孔
 e. 三叉神経第2枝…正円孔
 
 各孔については、前回のブログ頭蓋底解剖 頭蓋底の主な経路にほぼ書いてあるとおりです。

 解答 d 舌下神経は、舌下神経管を通過します。
 
 茎乳突孔については記載していなかったのですが、顔面神経管の出口です。ここを通過した顔面神経は、耳下腺神経叢を作った後に顔面表情筋へ分布します。
 顔面神経の走行はやや複雑ですが、今年から取り始めたT2 reverse画像が非常にキレイなので、それを含めてそのうち、記事をアップしようと思います。