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佐賀大学病院放射線科アンオフィシャルブログ ~さがの読影室から~

放射線科医の日常や、診療紹介、推薦図書などをご紹介します。問い合わせ先等、詳しくはカテゴリー「はじめに」をご覧下さい。

2008.09.18 佐賀胃懇話会

2008年09月19日 00時15分48秒 | 消化管カンファレンス
 台風が近づいているせいか、蒸し暑い日が続きます。
 前回の胃懇話会の記事(2007.07.17)を見ると、前回も、台風が近づいている中での開催でした。

 大学に帰ってきて、消化管から少し離れてしまったのですが、せっかくK館で勉強させていただいたことを忘れないように参加してきました。

 最初の2例は、発赤調の浅い陥凹性病変で、深達度診断が困難だった症例を提示されていました。いずれも基礎的な事項なのでしょうけれど、個人的にディスカッションを聞いてイメージがふくらんで、良い勉強になったので走り書きします。

 ・陥凹内隆起について。
 生検後変化、炎症などに伴った過形成変化、Ⅱa病変、sm病変の吹き出し、過形成変化の上に癌が重なっている場合などの、様々な病態で表現される。表面の形態を詳細に観察することで、深達度を考察できる。特に、学んだ事項としては、sm病変が直接吹き出してきた場合には、表面の微細な構造が通常の癌の表面(当然、粘膜の模様も)を呈さないということでした。

 ・壁の変形や、ヒダの形態からの深達度診断。
 前庭部では、筋層が厚いために伸展させても粘膜がルースでたるみがあるときには、観察上、病変の伸展が不良に見える場合がある。また、体上部小彎では逆に筋層が薄く、過伸展により深達度を浅めに評価してしまうことがある(このため、同部では一つ深目に評価するという鉄則?があるようです)。
 また、ようやくヒダの集中についても、潰瘍瘢痕による1点集中型のタイプと、smに達したために起こるdesmoplastic changeからの集中のいずれかをイメージして読影していくことがわかってきた様な気になりました。もちろん、それでも難しい症例があることもわかりますが…。

 3症例目は、通常観察のみでは範囲の同定が非常に困難だったⅡa症例。酢酸(ミツカン酢3倍希釈を推奨されていました)+インジゴ(青色2号!?)の染色で、非常に明瞭になりました。ウラワザ的な「食品」の使い方があるようですね。ちなみに、MRI(MRCP)ではブルーベリージュースを使うという話を読んだ記憶があるのですが、実際に臨床で使っている施設ってあるんでしょうかね??

 それにしても、普段モノトーンの世界に暮らしているので、とても華やいだスライドが楽しかったです

Ⅱc T2?

2008年01月21日 22時45分58秒 | 消化管カンファレンス
 本日の消化管カンファレンスは、上部消化管7例が出されました。

 今回は胃前庭部の進行癌症例が多くだされていました。幽門狭窄を来たしていたためにガストログラフィンが使用されていました。アップル・コア様の所見を呈するものはCTでも壁肥厚が目立ち、画像の成り立ちがよくわかりました。

 また、胃体部小弯側にⅡc様の粘膜面が削げ落ちた所見を呈し、比較的境界のはっきりした立ち上がりがみられた症例も出されていました。側面像で台状変形を来たしており、壁肥厚が示唆されました。Ⅱc T2と呼ばれるような形態で(正確な記載は後ほど確認して訂正します)、自分では見たことのない形態だったので勉強になりました。

 消化管造影検査の目的のひとつには、進達度診断があります。今回ような典型的な壁肥厚例を経験することで、目的に適った写真をとることができるようになるのではないかと思いました。

粘膜下腫瘍の形態をとる癌

2007年12月18日 08時02分52秒 | 消化管カンファレンス

消化器カンファレンス追加
 粘膜下腫瘍の形態を有する上皮性悪性腫瘍の病理として 

  1)充実性未分化癌(髄様癌)やその他分化の癌でも周囲にリンパ球浸潤を伴ったもの、 
  2)癌周囲に線維化の強いもの、 
  3)粘液癌、 
  4)粘膜下の異所腺からの発生癌、
  5)カルチノイドが挙げられます。

  胃と腸2003 vol38 No11 を参照ください。
 なお、12/1に福岡であった九州胃と腸大会で私にあたった症例がこんなのでした。答えは悪性リンパ腫(RLHという病理医もおられました)。
 当たったかって?もちろん。by MIZ


消化器カンファ [ピロステ 他]

2007年12月17日 21時49分57秒 | 消化管カンファレンス
こんばんは、新人のhiraiです。消化管のローテートをしています。
今日は今年最後の消化器カンファでした。
内訳は胃癌3例、炎症性腸疾患1例、大腸癌2例です。

1例目は嘔吐がひどく、内視鏡で前庭部の全周性2型隆起を認めた症例。いわゆるピロステ :pyloric stenosis の状態です。ピロステというと乳児に見られる肥厚性幽門狭窄症が有名ですが、少なくとも僕の研修医のときは胃癌による幽門狭窄にも使っていた表現です。ピロステ=高度通過障害=めっちゃ嘔吐(乳児の噴水状嘔吐)、そんな連想ゲーム。そんなところにバリウムをいれても、おそらく流れきれずに溜まってしまうことが予想されます。なので粘膜面の評価は難しくなりますが、ガストログラフィンという水溶性の造影剤で撮影。残念ながら私は不在でしたが、派手な画像です。
狭窄は見たまんまですが、中身がムチン(粘液)なのか線維化なのか、というのが話題になりました。内視鏡では固く、粘液の貯留というよりスキルス様であったとのことですが、造影CTでは比較的遅い層でも染まりが乏しく、ムチンが多い?といった話。緊満すればmucinousでも固いのかな、なんて思いながら聞いておりました。生検の結果が待たれます。hirako先生も言われていますが、病理で予後も変われば治療方針も大きく左右されるわけで、だから粘液癌とか印環細胞癌とか未分化癌とか、組織型と転帰のデータ蓄積が医学の進歩には欠かせないのです。

2例目は3型進行胃癌ですが病変の辺縁の一部が粘膜下腫瘍様になだらかで、透視上でバリウムをはじく範囲と内視鏡で見える病変の範囲が一致しません。手術するとなるとどこまで切るのかが問題になりますから、EUS(超音波内視鏡)でも評価が必要でしょう、という話。問題の境界線はバリウムをはわせてもすぐに剥がれてしまうようなところでしたから、インジゴを撒いてつけたコントラストとは少し相違があるかもしれません。なんかそんな話がテキストに撮ってました。余談ですが、昔の人は切り取った標本に刷毛でバリウムを塗って写真に撮ったりとか工夫していたらしいです。

3例目の残胃癌も派手な所見の画像です。それはそれとして、癌取り扱い規約では術後再建した胃の癌について、手術の理由(良性病変か悪性病変か)と経過年数を記載するようになっているので情報が必要、という話。どんな癌をどんな風に切除したらこんな経過で再発した、といった情報の蓄積も、これまた医学の進歩に不可欠なのです。

注腸では治療後のUC疑診例、結腸癌2例。S状結腸癌で盲腸に亜有茎性のポリープが併存していた症例では、そこからも生検で高分化癌が。で、内視鏡で見てみるとポリープの根部にLST(laterally spreading tumor:側方発育型腫瘍) likeな病変が。LSTからIsp型ポリープが果たしてでるのかしら、それとも衝突癌?という話。そこから外科的に一期的に切るのか、分割EMRでも行けるのかが決まるわけで、だからより詳細な所見が必要なわけで、聞きながら日頃の検査の重みというやつを思い返した次第でした。

異所性胃粘膜

2007年11月26日 17時14分33秒 | 消化管カンファレンス
 連休中お仕事のかた、お疲れさまでした。
 休み明けから、曇り空です。

 本日のGIカンファレンス

 ・十二指腸1症例
 ・胃3症例

 でした。

 参考症例として、異所性胃粘膜の写真をティーチングファイルから。十二指腸内に多結節性の隆起性病変が、とびとびにみられます。典型的な異所性胃粘膜の写真です。一見泡の様に見えてしまいました
 やっぱり透視下で動的な観察が重要なのでしょうか。

 

本日の消化管カンファ

2007年11月19日 17時24分31秒 | 消化管カンファレンス
 今朝は車のフロントガラスに霜がついていました。放射冷却ですね。
 本日は消化管カンファレンス(GIカンファレンス)でした。
 
 佐賀大学病院では、月曜日に消化器内科のDr.をまじえてカンファレンスを行っています。胃透視や、小腸造影、注腸検査の画像を提示して、消化器のDr.が行った内視鏡や超音波内視鏡(EUS)の所見とを対比します。治療まで行われていれば、病所見も参照します。
 
 今週の症例は、

   食道:1例
   胃:5例
   小腸:1例
   大腸:1例

 でした。
 
 胃についてはわりと非典型的な未分化なものが多く、透視所見とGIS(胃カメラ)所見の対照が勉強になりました。先週の講演のような典型画像とはちょっと違っていたので、学生さんには難しかったでしょうか?