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佐賀大学病院放射線科アンオフィシャルブログ ~さがの読影室から~

放射線科医の日常や、診療紹介、推薦図書などをご紹介します。問い合わせ先等、詳しくはカテゴリー「はじめに」をご覧下さい。

第1回 Definition Symposium つづき

2009年08月31日 22時13分52秒 | 研究会・学会
 実はほとんど冠動脈CTには係わっていないのですが、今回のセッションで一番勉強になったのは「冠動脈Ⅰ」 三浦 俊郎 先生(山口大学)でした。

 主に、再構成に最適な位相の選び方とその理由についての講演で、基礎データを元にした非常に論理的かつ明快なものでした。

 内容としてはDual Doppler echocardiographyを用いて、心機能を解析し(収縮能だけでなく、拡張能)、心静止時間(等容性収縮期、等容性拡張期、拡張中期)との関係を調査し、再構成に最適な時相を求める、というものでした。理解できた範囲では。

 通常、拡張中期が心静止時間が長く再構成に適しているが、心拍数の増加と共に、この相は短縮していく。しかも、心拍数が遅くても心機能が悪い場合には、拡張中期の時間が短縮することがある。これが、通常の64列スライス以前のCTで画像再構成が失敗する原因のひとつであったようです。ここで、他の心静止が得られる時相で再構成しては?というアイデアも出ますが、等容性収縮期は勿論、等容性拡張期IRTも持続時間が短く(数字忘れました…)、これまでは有効に使うことができなかったということです。
 しかし、Definitionになり、時間分解能の向上(83ms)が得られるようになり、このIRTでも画像再構成が可能になった、ということです。

 これまでCT室で見ている限りでは(もう数ヶ月前の話ですが)、時相の選択は目視でブレのない画像を選んで再構成している印象だったので、論理的に説明していただけると、なるほど!という感じです。

 現在、被爆低減のために心電図同期でmAs値を変動させているので、前もって心機能を評価しておいてもらい、最適な時相で最も良い画質が得られる撮り方を計画する、という方法も考えられるのかな、などと思いました。

 冠動脈プラークイメージングおよび、心筋パフュージョンのセッションも非常に興味深く聞くことが出来ましたが、「すぐに臨床応用!」とまではいけないかな…という印象でした。あの画像やデータはそれぞれ経験のある先生、施設ならでは成果のものなのかもしれません。逆に、頑張れば新しい知見を見つけることが出来る分野でもあるのでしょうが…
 パフュージョンで出ていた、ノイズリダクションフィルタについては、期待しています。

 Dual Energy Imagingについてはまた今度(ちょっと別件で忙しくなるので、書けたらです…)。

第1回Definition symposiumに参加

2009年08月30日 23時18分56秒 | 研究会・学会
 この土曜日は、品川で第1回Definition symposiumに参加してきました。

 以前から何度か取り上げているSIEMENS社製Dual Source CTのDefinitionについてのシンポジウムです。
 当院でも、稼働後すでに9ヶ月ほど経っていますが、DSCTという新しい機械が他施設でどのように使われているのか、そして新しい知見が得られているのかを勉強できれば、と思って参加してきました。

 品川のホテルパシフィック東京で行われたのですが、会場は満員でした(300名ほどいらっしゃったんじゃないかな?)。放射線科医だけではなくて、循環器科医や放射線技師さんも参加されているようでした。

 今回、一番驚いたのは、スペシャルレポートとして最新機種のDefinition Flashの紹介でした。
 かなりスゴイ機械のようです。単に多列化されたというだけではなく、時間分解能の向上、心臓CTにおける驚異の(誇張でなく)被曝量低減、そしてDual energy CTの性能向上があるようです。
 う~ん、この短期間にここまで改善されるものなのか…と。

 現行のDefinitionに関しての内容については、また後日とりあげてみようと思うのですが、ちょっとアイデアも浮かんだので伏せてしまったらゴメンナサイ。

 では、選挙にもいって疲れたのでこの辺りで。

2009.08.27 壮行会翌日

2009年08月27日 20時33分17秒 | オフタイム
 昨夜は、来月からK館へ移動となるKくんの壮行会でした。技師さん、看護師さんも集まってくれて、盛大に行われました。

 今年放射線科2年目のKくんは、大学には欠かせない存在になっていて、Dr.Kとして(??)次々に未読影を捌いてくれていました。一時、治療部にローテーションしていた時の読影がキツかったことを思い出します…

 K館では、IVRをはじめ、大学であまり経験できなかった手技関係を勉強できると思います。また、大学よりも各科の垣根が低いので、良くコミュニケーションをとると放射線科医としてのやりがいも感じられることと思います。

 読影も、早いだけでなくてしっかりと書いてくれているので(guri先生も言ってます)、こっそり勉強しているんだろうなと思います。
 次に一緒に働ける機会がいつになるかわかりませんが、楽しみにしています。

 では、来週いっぱい頑張ろうね。

 そして初幹事の梶ぽん、お疲れ様でした。

2009.08.25 夏の終わり

2009年08月25日 22時20分39秒 | オフタイム
 昨夜はヨメの当直に、コドモの夜泣きが重なり、一日ぼーっとしていました。

 明け方にはひんやりとした風が網戸から流れ込んできて、ふと外を見ると、日出前の少し赤く染まった空がとても透き通っていました。

 コドモを連れての帰りがけ、いつの間にか日が短くなっていて、クルマの外はとてもまぶしい金色の夕焼け空でした。

 この夏の終わりを感じた一日でした。

VR reconstructed images of kinds of ....

2009年08月24日 22時25分05秒 | オフタイム
 久しぶりにたくさんのコメントを頂き、ありがとうございました

 さて、前回の解答です。完璧にあてられてしまいました。
 
 正解はこちらです。



 ちなみに、包丁でカットすると(ウソです)



 こんな感じです。作成は、AZE virtual place 雷神です。ナスの描出にとても苦労しました(CT値が低すぎて、読み込んでくれない?)。

 もし消化管内に、あるいは腹腔内にフリーでこのようなものがあれば、診断が難しい場合もあるかもしれません。特に、ウリ科はCT値が極めて低いものがあるので、注意が必要と考えます。その他、リスク野菜の所見などをご存じでしたら、教えていただけたら幸いです。

 ちなみに、ファントムは撮像後に無事、ナースに引き取られていきました。

2009.08.23 imaging findings of kinds of ...

2009年08月23日 17時21分43秒 | オフタイム
 タイトルが合っているかはわかりません。ごめんなさい。

 急性腹症のCTを読影するとき、ひょっとしたら為になるかもしれないもの達のCT所見です。
 先日、話題になったので(佐賀県内の話ではありません。とりあえず)急遽、ファントム撮影をしてみました。

 まず通常の腹部の表示条件(WW=450, WL=60)


 
 どうでしょうか?
 急性腹症では、当然air windowでも観察するので、条件を変更してみます(WW=1500, WL=-500)



 なんと、右端に(向かって左)新たな物体が出現しました。左端の物体内にも構造が確認されるようになります。
 
 次に、MPR表示してみます。

   

 右端の物体(向かって左です、念のため)は、軸位断ではまるで消化管内の残渣のように見えませんか?

 さて、これらは一体何でしょうか?
 時間をかけて作ったVR像は、もったいつけて明日公開予定です。お楽しみに。

2009.08.22 MRI勉強 わからないところ 読み取り傾斜磁場

2009年08月22日 22時22分39秒 | オンタイム
 とても蒸し暑い一日でした。昼間は土砂降りもあり…異常気象なのでしょうか。

 認定医、専門医試験の先生方、お疲れ様でした。


 さて、最近マイブームのMRIの勉強の話題です。実は、こんなデタラメかもしれない記事をwebに載せてしまうのは「どうなのかな?」とも思っているのです。
 ただ、わからないところを書き出すのは、自分のためになりそうだし、もしかしたら同じようにMRIの勉強で悩んでいる方にも「あぁ、この程度でもなんとかやっていけているんだ」と励みになればとも思うので。

 そして、ご意見なども頂けたら良いなぁと…

 で、今回は読み取り傾斜磁場の話です。ひとまず、位相エンコードは省略して話を進めます。

 読み取り傾斜磁場は、周波数エンコード傾斜磁場と同じようです。SE法では、スライス選択用のバンド幅を持った90°RF波により、スライス内のプロトンを励起して、1/2TE時間のタイミングで180°反転パルスをかけます。TE時間後にスピンエコーが出ますが、このタイミングに合わせてサンプリング時間だけx軸方向に読み取り傾斜磁場をかけます。そうすると、x軸方向の傾斜磁場の分だけ信号の位相がずれるので、位相のずれから逆に、位置情報が得られる、と。

 わからないところは、「スピンエコー発生に対する傾斜磁場の影響」です。

 本に書いてあるように、単一の周波数からの信号、例えば余弦関数で表されるような信号であれば傾斜磁場によってずれた位相を考えるのは簡単です。
 スピンエコーは、T2緩和に従ってバラけたスピンが180°反転パルスにより再度収束することで得られる信号です(合ってます?)。この時、傾斜磁場などが与えられると、どんな事が起きるのでしょうか。リフォーカスが上手くいかないのでは?

 ここまで書きながら、手を止めて、再度考え直してみました。突然話の流れが変わります。ごめんなさい。
 ちょっと、アイデアが浮かんできました。
 
 それぞれの傾斜磁場に沿って(例えば、中心から+1Hz/cm,0,-1Hz/cm)、回転座標系の位相がずれる(中心から+1,0,-1:ラーモア方程式 ω=γB0、この場合読み取り傾斜磁場が関係すると思いますが、計算がよくわかりません)。そうすると、それぞれの座標系では同じようにリフォーカスが行われ、位相のずれたスピンエコーが発生する。

 この考え方はいかがでしょうか?

 何せ、回転座標系というものが、よく理解できていないので(物理選択ではないので、という言い訳)このような考え方ができるのかがわかりません。

 とりあえず、読影には困らないので放っておいても良いのかもしれませんが位相エンコードも含め、空間エンコードをちゃんと理解するのにクリアすべき課題かなぁ?と思うので、ちょっと引っかかっています。

 ご意見いただければ幸いです。

 ちなみに、グラディエントエコーであればディフェーズ用の傾斜磁場を、リフェーズ用の傾斜磁場でエコーを発生させるので、ディフェーズ及びリフェーズの時に影響するT2*緩和の影響が(SEと違って)残り、x軸方向に印加することで空間エンコードも出来る、というのがもう一つ思いついた考え方です。

 では、思ったより記事を書くのに時間がかかってしまったので、今回はこの辺りで。

2009.08.20

2009年08月20日 22時20分43秒 | オフタイム
 あれよあれよという間に、8月も2/3が終わってしまいました。つい最近、1/3が終わってしまった、と書いていた気がするのですが…

 明日からは放射線科認定医、専門医の試験が始まります。ウチからも受験者がいます。頑張ってきてください

 順調にいけば、来年は僕の番です。あっという間に試験前だ!などというようなことにならないようにしなきゃ。

2009.08.19 90°RFパルスについて

2009年08月19日 21時34分13秒 | オンタイム
 ただいま当直中です。
 
 さて、先日よりうだうだと90°パルスについて書いていたのですが、今朝重いペンを上げて図を引いてみてショックを受けました。

 もともと図形問題がとても苦手だったのですが、まさかこの程度の話だったとは…
 小学生でもできたかも、と思ってブログで公開したことを後悔してしまいました。

 反省を込めて、図を出してみます。更に間違っていたら教えてください。



 図が見づらくなるので、x'軸は省いています。赤とオレンジの実線と、二重線の角度はそれぞれ90°です。

 つまり、90°パルスによって縦磁化成分がxy平面に倒れる、というのはこのことではないでしょうか?

 この後、それぞれの横磁化成分の大きさからFID信号を出しつつ、T2*に従ってディフェーズしたものを、1/2TE時間後に180°パルスあるいは傾斜磁場を用いてリフェーズさせ、1/2TE時間後にエコーを得るのだ、と(T2コントラスト、あるいはT2*コントラストを強調する/しない)。

 で、任意のTR時間をおいて縦緩和をおこして、T1コントラスト強調する/しない。

 この辺りまでが、コンベンショナルなスピンエコー、グラディエントエコーの原理だと思います。実際の撮像では、スライス選択、周波数エンコード、位相エンコードの話が必要となりますが、こちらはまだ理解が十分でなく、よくわからないところもピックアップできていないので、いずれ何か書けたらなと思います。
 でも、k空間の説明も同時にしないといけないからなぁ…図は無理でしょう。
 以前ご紹介した、株式会社 日立メディコのページが非常に良かったので、興味のある方は是非ご覧下さい。なんだかわかったような気になります。

 昨日書いたハーンエコー、誘発エコー、定常状態についてはまだよく理解できていません。ただ、ここまでは良いかな…という感じがしてしまっています。コントラストがとても難しいので。読影するには必須かもしれませんが、何せ診断にはコンベンショナルなシーケンスを使用することが主なので。MPRAGEや、FLASHくらいは3T装置(MAGNETOM Trio SIEMENS)で使うので、知っておきたいところですが。

 では今日はこの辺りで。

2009.08.18

2009年08月18日 22時41分47秒 | オフタイム
 朝晩はほんとうに涼しくなってきましたが、日中はまだまだ暑い日が続いています。ただ、ほとんど読影室から出ることがないので、実感はありませんが。今日は廊下からちらっと見えた空が、とてもキレイだったのが印象的でした。

 夏休み体制ですが、あまりCT,MRIの件数はいつもと変わらず、普段通りの一日でした。特に、コレといった話題もないのが残念です。

 MRIの勉強も停滞中。先日の記事でアレコレ書いたのですが、角度の書き方がどうも悪いみたいです。全て、xy平面に対しての角度のつもりで書いています。フリップ角は、z軸に対しての表示のようなので、その辺りが混乱のもとになっているかもしれません。とりあえずは、90°パルスはその時の縦磁化成分をそのままの大きさで横磁化成分にする、と考えて進んでみようかと思います。ハーンエコーや、マルチエコーの勉強で、壁に当たったときにもう一度考えてみよう…

 本日は、この辺りで。