佐賀大学病院放射線科アンオフィシャルブログ ~さがの読影室から~

放射線科医の日常や、診療紹介、推薦図書などをご紹介します。問い合わせ先等、詳しくはカテゴリー「はじめに」をご覧下さい。

2011.03.31

2011年03月31日 22時16分56秒 | オフタイム
今年度も今日で終わり。
まだ一年は1/3ですが、色んなことがありました。

帰りがけに写真を何枚か撮影。

2011.03.31


4月異動ではないのでもう一つ実感が湧きませんが、異動される先生方が挨拶に来られると(僕のところではなく、院長のところです)、ちょっと寂しくなります。
色んな大学から来た先生たちと仕事ができる環境なので、たくさん勉強させてもらいました。

個人的に振り返ると、今年度はMRIと写真、筋トレの勉強に励んだ一年でした。
最近思うのはエントロピー増大について。物理は全くの素人なのですが、誤解を恐れずに言えば、日々の臨床で増大するエントロピーは何らかの形で放出しないのではいけないか?ということです。
もし非平衡開放系に存在するのであれば、特に問題ないようですが、そうではない場合、意識的にエントロピーを排出しなければ熱平衡が達成され、エントロピーの生成が止み、駆動力が絶えてしまうというのです。

今、我々はどのような系に存在しているのか。駆動力を保つためには何をすれば良いのか。

こういう風に、ある種の基本概念を拡大解釈することの危険性はわかっているつもりですが、いかがでしょうか?

ちなみにエントロピーについて、考えさせられたのはこの本が原因です。
流体力学の入門書を読みだして、ナヴィエ・ストークス式にゴツンとぶつかって手にとりました。

非線形科学 (集英社新書 408G)
クリエーター情報なし
集英社


あと2週間あまりで、なんとかエントロピーを排出できるように頑張らなければ。

年度末にわけのわからない話をかいてすみません。

2011.03.29

2011年03月29日 22時04分04秒 | オフタイム
今日は研修日。
午後からは一時的に大雨が降っていました。
そのせいか、ベンチプレスで首を痛めてしまいました…
しばらくキツそうです。

大学では、被災地へ医療支援に行かれていた先生にお会いしました。
色々お聞きしたのですが、まずは無事で何よりです。
お疲れさまでした!

2011.03.27

2011年03月27日 23時42分20秒 | オフタイム
昨日は、結婚披露宴に参加してきました。

2011.03.26


新郎、新婦は今回の式を行っても良いものかどうか、迷われたそうです。それでも、これまでの感謝の気持ちを形にしたいと、式を挙げてくれました。勇気のいる決断だったと思います。

この日は、桜があちらこちらで咲き始めた春らしい一日でした。披露宴に出席することで、幸せのおすそ分けを頂いて、元気になれました。

ほんの少しでも、どこかに還すことができたらいいな。

2011.03.18

2011年03月18日 17時29分25秒 | オンタイム
日本核医学会 放射性医学総合研究所より、2011.03.17時点における「安定ヨウ素剤による甲状腺の保護処置 の必要性」についての文書が公開されます。
転載の許可をいただいたので、以下に掲載します。

*いただいたメールをほぼそのまま使用していますので、若干見づらいかもしれません。申し訳ありませんが、フォントや下線を勝手にしようすると文意が誤って伝わることも考えられましたので…


 被災者の皆様、とくにお子さんをお持ちの被災者の皆様へ

 現状では安定ヨウ素剤による甲状腺の保護処置は不要です 

 東北関東大震災で被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の方々に心からお悔やみ申し上げます。また、被災地域の一日も早い復興をお祈りいたします。
 被ばくが懸念される地域にお住まいの皆様には、東北関東地方地震に伴う福島 原子力発電所事故による放射能漏れに由来する健康への影響をご心配のことと存じます。特にお子様をお持ちの親御さんは、子供達の被ばくを心配され、安定ヨウ素剤による甲状腺の保護処置が必要ではなかろうかとご不安に駆られることと思います。
 しかし、現時点での大気・土壌汚染状況から判断し、今の段階では小児の安定ヨウ素剤による甲状腺保護処置は不要です。むしろ危険なことがありますので、避けてください。
ただし、今後の状況変化によっては必要となることもありますので、政府発表・関連自治体発表・東京電力発表・報道情報などを十分に注視されますようお願い申し上げます。

1.甲状腺はヨウ素を取り込んで甲状腺ホルモンを作る組織で、人間は食物からヨウ素を消化、吸収し、甲状腺はこれを取り込んで働いています。食物中に十分なヨウ素があれば、甲状腺はある程度ヨウ素で満たされた状態になります。逆に食事中にあまりヨウ素がない生活をしていると、甲状腺はヨウ素欠乏状態になり、ヨウ素の吸収が上がります。通常のヨウ素は放射能を持っていませんが、なかには放射能を含むもの(放射性ヨウ素I-131)があり、これが食物を通じて大量に取り込まれると甲状腺に悪影響を与えることがあります。このため、多くの皆さんはご心配になっておられることと思います。

2.チェルノブイリでの事故後に東欧諸国で小児を中心とした甲状腺癌の増加が見られましたが、その主な原因はミルク等に含まれていた放射性ヨウ素による体内からの被ばく(内部被ばく)であったことが分かっています。たしかにチェルノブイリ事故では、大規模な被ばく発生後4日目に、ポーランドが国を挙げて安定ヨウ素剤を全ポーランドの小児の90%に一回だけ配布いたしました。そうしなかった隣国のウクライナやベラルーシでは小児の甲状腺癌が増加したのに対して、結果的にポーランドでは甲状腺癌増加は認められませんでした。しかし、
 1)内陸国のウクライナやベラルーシは食物や土壌中のヨードが少なく、もともと国民的にヨード欠乏状態であったのに対し、ポーランドは海沿いの国でさほどヨード欠乏状態ではなく、
 2)ポーランドは国内での牛乳を禁止して、すべて輸入粉ミルクに変えたという処置も行っています。
 これらの多くの処置がかみ合い、結果としてポーランドでは甲状腺癌の増加がなかったのであって、必ずしも一回だけの安定ヨウ素剤の投与が効果を現したわけではないと考えられています。

3.食物中、土壌中のヨウ素量の多い日本では、通常の食生活を行うことで十分にヨウ素を摂取できており、自然と甲状腺は安定ヨウ素で満たされています。ごく少量の放射性ヨウ素が簡単に健康に影響するほど吸収されることはありません。
 むやみに安定ヨウ素剤を服用する必要はありません。
 また、ヨウ素の入ったうがい剤や消毒剤を飲むことは危険です。
 乳児の場合には成長障害を引き起こす危険もあります。また、アレルギーなどで命の危険を来す場合もあります。

4.牛乳やその他の食物に含まれる放射性ヨウ素の濃度が上がるには、長期間に多量の放射性ヨウ素が土壌に広まり、これを吸収した植物やそれを食べた牛などが身体の中で濃縮していき、これを人間が食べることで起こりますので、 現在の状況ではすぐに危険性があるものではありません。

5.安定ヨウ素剤の投与は、一度に多量の放射性ヨウ素の被ばくを受けた40才未満の方に対して、一度だけ安定ヨウ素剤を飲んで貰って、その後被ばく地から待避していただくことが前提です。現状で一度だけ安定ヨウ素剤を飲んでいただいても、むしろ甲状腺機能が不安定になり、リバウンドで一定期間後に放射性ヨウ素の吸収を高めてしまうことさえ起こりかねません。もし今後、さらに大規模な被ばくなどが起こったときには、かえって甲状腺を危険にさらすこともありえます。

6.国際放射線防護委員会ICRPから勧告されている安全な甲状腺への放射能の基準は甲状腺線量0.020Gy以下とされており、この線量以下では小児に甲状腺癌 が増加することはないとされています(ICRP Pub94)(なお、チェルノブイリ 事故後に測定されたウクライナ、ベラルーシでの甲状腺線量は桁違いに高く、平均0.15-3.10Gy程度と報告されています)。この安全な線量0.020Gyは、計算すると、体内に約3 μCi程度の放射性ヨウ素が入ることに相当します。これは 通常使われる放射能を検出するサーベイメーターで甲状腺に約700万cpm(一分間に700万回のカウントを計測)となり、非常に高い数字です。

7.しかしながら、現状では地域住民の方々の放射能汚染のサーベイの結果は、ほとんどの方が汚染なし(つまりほとんどカウントなし)の結果と報道されていますので、甲状腺に悪影響を与えるほどの体内汚染が起こっているとは考えられません。

8.被ばくが懸念される地域では確かに雨や雪に放射線が微量検出されてきていますが、この放射能は体外からの微量な被ばくを示すだけで、安全な範囲内です。食物・飲用水としてきわめて大量に取り込まない限り、体内への被ばくは心配ないものと思われます。

9.福島市内の上水道中の放射性ヨウ素などの濃度が若干増加したと報道されていますが、通常の飲用に問題がないとされる規制よりも下の値です。

10.なお、放射性ヨウ素による甲状腺癌発がんの危険性は40才未満、とくに放射線に敏感な小児に高く、それ以上の方では危険性はほとんどありません。

大変な状況が続きますが、ともかく落ち着いて、政府発表・関連自治体発表などに従ってください。よろしくお願いします。


日本核医学会 
放射性医学総合研究所
(2011/3/17)


2011.03.17

2011年03月17日 22時43分23秒 | オンタイム
ご存知の方も多いと思いますが、日本放射線科専門医会(JCR)より東北地方太平洋沖地震へのサポート活動が開始されようとしています。

・被災地の方が必要とされていることの把握、
・被災地以外の方へボランティアの応募、どのようなサポートが可能かの募集

など、連絡先などが明記されています。

詳細は以下のリンクを御覧ください。

日本放射線科専門医会・医会(JCR)

全くの余談になりますが…
現在、放射線測定装置のニーズが高まっているようです。
院内での管理を徹底する必要があるかもしれないですね…という話が出ていました。

2011.03.15

2011年03月15日 22時11分14秒 | オンタイム
東北地方太平洋沖地震に被災された方々に心からお見舞い申し上げます。
また、現地および福島原発において想像もつかない大変な危険を伴った過酷な状況の中、作業に当たられている方々に心から感謝いたします。

遠隔地に居住する、一放射線科医として何ができるのかを考えていました。
そして、せめて当ブログを閲覧された方に現時点で確認できた、科学的知見に基づいていると考えられる情報を提供できれば…と思いました。

なお、このブログは佐賀大学放射線科の名前が入っていますが、公式のHPではありません。組織としてではなく、個人から情報を発信することの危険性は十分に存じ上げているつもりです。しかし、双方向性を有する媒体であるので、ご指導をいただければ適宜訂正を加えることも可能であると考えています。

既にご存じの方も多いと思いますが、学会等から発せられている情報へのリンクを下記に貼ります。

日本放射線医学会から本日、提言された
日本放射線医学会 緊急被ばくの事態への放射線科医としての対応について

 放射線科医としての対応、とありますが特に診断には直接対応することが少ないのが現状かもしれません。臨床現場へこういった専門知識を伝えることこそ、Dr's Drと呼ばれる放射線科医の役割かもしれません。また、放射線技師の方々も放射線の専門家として期待されていることだと思います。
 このことは、被災地よりも広い範囲で貢献できることではないでしょうか。

(*全く、個人的なことですがこのHP内容は、昼から大学へ行って初めて知りました。メールが届いていたそうですが、登録していないとアクセスするのが非常に困難な情報です。マスメディアを通じてでも、様々な医療機関に呼びかけて良い情報だと思うのですが…)

独立行政法人放射線医学総合研究所から、市民の方からの質問に回答する形での「お知らせ」
独立行政法人放射線医学総合研究所「お知らせ」

また、非常に繋がりにくい状態のようですが、
一般社団法人サイエンス・メディア・センター
に原発に関するQ&Aまとめが随時更新されています(東京大学理学系研究科・早野龍五教授のツイッターを元に有志の方が編集されています)。なお現在、多くの質問が寄せられており身分を明かして解答いただける「放射線医学の専門家」の協力が求められていました。

今日は大学へ行ってきたのですが、循環器学会、超音波学会などでは学会を挙げて出来ることを模索しているという話を聞きました。被災地において予想される、診療情報や物資が不足した中での当該領域に関して緊急的な治療指針などの提言なども含まれるかもしれないとのことです。学会が示したものがあれば、専門外のDr.でも判断しやすくなるかもしれません。
何が求められていて、何ができるのかということは現場にいる個人が考えられることだと思います。先生は「学会なんて思ったよりも小さなもの。下からでも提案することが大事なのだ」と言われていました。

放射線科に携わる者として何ができるのか、更に考えていければと思います。

2011.03.12

2011年03月12日 21時50分08秒 | オフタイム
昨日から、東日本を中心として未だに全容すら明らかになっていないほどの甚大な被害が出ています。
被災者の方々にお見舞い申し上げます。

東北大学の先生には以前、当ブログにコメント・ご指導いただいたこともあるのですが…
ご無事にされているでしょうか。

僕の友人も1名、災害派遣として宮城に向かっているそうです。
家族で仲良くさせてもらっているので、心配でもありますが、体調には十分気を付けてきてください。

放射線科医として、発信すべき情報があるとは思うのですが、放射線生物学についてはあまりに不勉強であったので、この場で何かを書くことができません。

現時点ではICRP2007年勧告
The 2007 Recommendations of the International Commission on Radiological Protection
に従って考えるのが標準かもしれません。

国際放射線防護委員会(ICRP)2007年勧告(Pub.103)の国内制度等への取入れに係る審議状況について

こちらのPDFファイルも添付いたします。

2011.03.09

2011年03月09日 22時08分02秒 | オフタイム
関連病院勉強会。
だったのですが、家の都合で出席できず。

おとなしく、コドモと二人で夕ごはんを食べていました。

帰りがけに「何が食べたい?」というと「ちゅるちゅる(麺類です…)!」というので、主食はパスタに決定。

スーパーで春キャベツと釜あげシラスが安かったので、油揚げを細かく刻んだものを入れた和風寄りのパスタを作りました。

春キャベツは十分柔らかいのですが、油揚げとクタクタに炒め煮にして、新鮮なシラスは風味が飛ばないようにかつ全体に行き渡るように和えてから、固めに茹で上げたパスタを入れてソースを吸わせるのがコツ。
…かな?
コドモがいるので、にんにくと鷹の爪は入れていないのですが、ベースのオイルをペペロンチーノにして、チョロっと醤油を垂らしても美味しいです。

最近、春のものが店頭に並び始めましたね。
この時期からは、菜の花やアサリなど美味しい食材が安く出回ってくるので買い物にいくのもちょっと楽しくなってきます。

2011.03.08

2011年03月08日 23時37分51秒 | オンタイム
諸事情により寝不足です…

が、昼から研修日。アクティブ・レストを兼ねてトレーニングをした後に大学へ行ってきました。

研究に関してはまだまだ、足場を作っている段階ですが、いろんな文献を読むと多方面から色々なアプローチがされてきているのがわかります。と同時に、どれほど脆弱な地面の上に建物を建てようとしていたのかを思い知らされます。

生体工学系からの論文も多少読んでみたのですが、理論や数式がサッパリで大変です。
なんとか、どのような手法で何を解析しようとしているのか、ということだけは掴めるように頑張っていますが…

今日の解析では、撮像断面に対する傾斜磁場のかけ方の差から起こる解析ソフトウェアのエラーとその対処法がわかり、先週の最後に浮かんだアイデアを試したところ少数ながらも面白い結果がでたことが収穫でした。

証明出来れば面白いのですが、理論的な裏付けができない…。ここまでの論文では触れられていない点なので、正しい推論なのかが不明です。某大学の工学系の方と上手くコンタクトが取れると良いのですが。