佐賀大学病院放射線科アンオフィシャルブログ ~さがの読影室から~

放射線科医の日常や、診療紹介、推薦図書などをご紹介します。問い合わせ先等、詳しくはカテゴリー「はじめに」をご覧下さい。

五分咲きの夜桜

2008年03月31日 23時47分00秒 | オフタイム
 とりあえず、大学勤務も今日で終了です。
 二年間ご指導下さった先生方、技師さん、看護師さん、ありがとうございました。

 この数日で、桜の花がいっせいに開いてきました。
 もともと北海道の出身で、それから大学は沖縄に渡ったので、この時期の桜の良さというのを社会人になるまで知りませんでした。3月の終わりから4月にかけて、日々、まわりの風景が変わっていく様は本当にドラマチックです。しかも、そんな花が咲き誇るのも一瞬の間で、その日に見た景色は、その時だけしか見ることが出来ないのだというのを思い知らされます。
 
 

 毎年、桜を写真に撮ってみたいと思っていましたが、いつも撮ろうと思っているうちに葉桜になってしまっていました。今回、初の桜の写真です。夜桜が初の写真というのはやっぱり無茶だったようで、白熱灯の下で桜が風に揺れるのもありましたが、いまいちピント、色温度を合わせることができませんでした。まぁ、記録が大事ということで。

 写真というのは、photographの訳語だけれども、正しい訳(真実を写す)ではないという話を聞いたことがあります。光を写して像を結ぶのが、本来の意味だったような気がします。Radiographも、放射線を使って(あるいは、核磁気共鳴や超音波)像を結びますが、photograph同様に、広い意味で一瞬の真実を写そうとします。写真の撮り方で、真実がみえにくくなることもあるし、写真の読み方で真実に近づくこともできる。とても、面白い学問(&art)ではないでしょうか。僕が放射線科を選んだのは、このような魅力を感じたからだと思います。

 つい、長々と書いてしまいました。今、数年ぶりの一人暮らしで、しかも異動前日の夜だからかな?明日読んだら結構はずかしいかも。
 
 HP関連の記事移転で、しばらくは関連記事をアップしていく予定ですが、このようなオフタイム記事を書くことは、当分ないかもしれません。ロクでもない記事も多数書いてしまいましたが、お付き合い下さって、ありがとうございました。新しく、大学に来るDr.たちがまた、日々の診療などについて書いてくれると思います。

 ではまた。 mune
 
 

旅立ちと始まり

2008年03月31日 22時07分48秒 | オフタイム
今日は3月最後の日。これまでこのブログをメインに支えてくれていた、mune君とgri先生、そして今日までは新人と言う言葉が許されたsyngo君が大学を後にし、出張先の病院へと旅立って行きます。yamaken先生も(学内ですが)大学院生として新たな一歩。

こうやって人が入れ替わり、新しい空気が生まれ、新たな役割が出来て、いろんな人がいろんな形で仕事をしていくのが、「人材派遣センター大学」のひとつの特徴ではないかと思います。まさにこれが普通の姿なのですが、何だか今日は彼らの旅立ちを前に、本当に寂しい気分になってしまいました。私はこの半年、本当に実力不相応な仕事をしていて、何度も根をあげそうに(実際あげていたかも)なりましたが、gri先生、mune君にどれだけ助けてもらったかわかりません。半公式ブログに書いてすみませんが、心からお礼を言いたいです。

さて、明日は大学復帰Drが2人、新人3人、東京から新たに仲間に加わる専門医前のDrが1人、新たに登場。そして、待望の神経放射線専門Dr.も来られます。このブログの執筆者もきっと増えて、にぎやかになることと思います。皆さん、請うご期待

核医学検査と、その他の検査の違いについて

2008年03月31日 06時56分52秒 | ホームページ 核医学部門
4.CT、MRI、超音波などの検査とどこが違うの??

→病気を治療するためには、悪い部分のかたちや大きさ、機能を知ることが大切です。
 CT、MRI、超音波はおもに臓器や病変のかたちや大きさなどを調べます。
 核医学検査はくすりがどのような速さで、どこにどれだけ集まってくるか調べることで、おもに臓器の働き具合(機能)を調べます。また核医学検査は病気の状態を、かたちの異常が現れるまえに知ることもできます。

  これらの検査を組み合わせることにより治療の方針を決めたり、効果的な治療が行われているかを判断することができるのです。  **参考資料:日本核医学会、日本核医学技術学会(株)日本アイソトープ協会

ホームページ更新進捗状況

2008年03月30日 23時21分02秒 | オフタイム
 朝から夕までつづく、春の雨でした。
 カメラを持たずに出かけていたので、雫の光る咲きかけの桜の写真はとれませんでした。残念。

 先日、ホームページ更新宣言をしたのですが、結局年度内の更新はきわめて困難(というか、不可能)となってしまいました。有言不実行ごめんなさい。
 先ほど、HPの依頼書のようなものができました。しかし、途中でどうしても埋められない穴が発見され、bun先生には明日までという原稿を急遽依頼してしまいました。ごめんなさい。

 明日は大学最後の出勤日です(といっても、解雇されてますが)。HP用に残りの写真を撮って、フォルダにまとめてA嬢に渡して、HP関連の仕事は終わりの予定です。放射線科HPと、この半オフィシャルブログはリンクしながら構成していく予定なので完成はまだまだ先になりそうですが。

 とりあえずのHP公開は来月中頃でしょうか。どうぞお楽しみに。

再構成画像について-4 Curved Multi Planer Reconstructionとは

2008年03月30日 08時04分00秒 | ホームページ 再構成画像について
Curved Multi Planer Reconstruction(CPR)


 MPRの一種で、蛇行した面や局面に沿って断面を再構成する方法のことです。
 ミミズのように3次元的に曲がりくねったものをプレスして平面状に投影したようなものです。

   

左の画像は単純なMPRで作成した冠状断像、右は左の頚動脈に沿ってCPRを作成したものですが、左の画像では左頚動脈が一部しか見えていないのに対し、右の画像では頚動脈全体が描出されています。

再構成画像について-3 Multi Planer Reconstruction (MPR)とは

2008年03月29日 08時42分23秒 | ホームページ 再構成画像について
Multi Planer Reconstruction(MPR)

 直訳すると多断面再構成となります。多数のスライスから別の様々な断面を切り出す方法です。



上の画像が基本となる横断像(元画像)です。下の2枚が多数の横断像を元に、異なる断面を作成したものです。



 様々な断面から観察することにより病変の形態や位置の把握が用意になります。
特にボリュームレンダリングでの描出が困難な病変の観察によく使っています。

2008.03.28 初投稿

2008年03月28日 13時40分43秒 | オフタイム
以前外国人に聞かれたことがある。

われわれはオーマイガッド!という言葉があるが、君達日本人は何と言うのか?
私は絶句した。イスラム教徒がオーマイアッラー!と言うのを聞いたことがなければ、ヒンズー教徒がオーマイシバ神!と言うのも聞いたことがない。
ところで先日Nじり先生に言われた“来月からニューロの読影を集中的にしましょう“という一言にわが身を雷に打たれた様な衝撃を受けた。
今まで脳はブラックボックスであり、神の領域なので不可侵の分野と決め付けていたのだ。

脳に深くたずさわるニューロ専門の読影医をはじめ、脳外科や精神科の医師たちは神と契約を交わした特別な医師たちであり、生半可に脳にかかわると神の怒りに触れるのだと信じてきたからだ。畏敬の念を示しつつ恐る恐る勉強を始めると、当たり前ではあるが脳みそのしわの一つ一つに名前がある。神のみぞ知ると思いたくなる細かい解剖や複雑な機能に絶望する。同時に神を冒涜するかの如き今までの自分の不勉強を嘆き、叫びたくなる。

オーマイブッダ!

by M0T0

核医学検査の手順について

2008年03月28日 07時43分23秒 | ホームページ 核医学部門
3.核医学検査ってどういう手順でおこなわれるの??
→放射性医薬品の有効期限は極めて短いため、検査予定日に届いたくすりをその日のうちに使わなくてはいけません。多くは静脈から注射されますが、カプセルを飲んでもらったり、ガスを吸入してもらうこともあります。

届いたジェネレータ

 放射性医薬品と、ミルキングしたての99m-テクネシウム

撮影は専用ベッドで横になっているあいだに行われ、投与された直後に開始される場合や、1~3時間後、または1日後、2~3日後に開始する検査もあります。撮影時間は10分~30分ほどです。

 当院のSPECT装置

検査結果は核医学の専門医が診断するので、結果説明は後日になる場合がほとんどです。

 **参考資料:日本核医学会、日本核医学技術学会
(株)日本アイソトープ協会

「急性腹症のCT」

2008年03月27日 17時33分49秒 | 独断!放射線科医の推薦図書
syngoです。

急性腹症は放射線科医も避けては通れません。撮像の指示から読影まで短時間での的確な判断が要求され、放射線科医の力量が試されるのではないと思われます。

今回ご紹介する図書は実際に勉強会に使用した本で、昨日で1周り終了しました。
夜遅くまで色々と御指導下さったMIZ先生、guri先生、mune先生本当にどうもありがとうございました。最初は知らないこと、わからないことだらけでしたが、お陰様でかなり賢くなれたはずです。これからも自分なりに勉強が必要でしょうが、学んだことを今後の診療に活かしていきたいと思います。

前置きが長くなりましたが、図書の簡単な紹介です。
徳州会の先生が編集されたもので、文字通り急性腹症のCT画像が約400症例紹介されております。個人的に驚いたことですが、虫垂炎の30症例から始まっております。common diseaseからrare caseまで幅広く掲載されており、臨床経過から手術所見、病理所見と非常に良くまとまっています。それでも全てを網羅しているというわけではありませんが、一言に「急性腹症」といっても多くの病態・病因が存在しうるということを思い知らされます。

元ネタになっていると思われるHPはこちらです。頑張って解答してみましょう。www.qqct.jp/

再構成画像について-2 ボリュームレンダリングとは

2008年03月27日 06時59分51秒 | ホームページ 再構成画像について
 ボリュームレンダリング(VR)とはVolume法を用いて画像を三次元に構成する方法です。といっても分かりにくいと思いますので実際の画像(腹部のCTとそれを元にした腹部動脈のVR像)をお見せしながら説明したいと思います。



 通常のCT画像とは左の画像のように身体を横断面で切ったように撮影されています。この画像をみると分かるようにCT画像というのは白黒の濃淡で表示されています。この白黒の強さはCT値と言う客観的な数値で表せます。ボリュームレンダリングでは、各画像のCT値に応じて様々な色づけをし、連続した多数の画像を重ね合わせて表示しています。

 右の画像では、血管や骨、腎臓などが写っており、これらは左の画像では白い部分(CT値が高い部分)に相当し、逆に黒い部分は写らないように処理されています。反対に黒い部分のみに色づけをするといった処理も可能です。
 
 日常臨床でよく3D CTと言われているのがこの処理方法です。病変を立体的に表現できるので手術前のシミュレーションや患者さんへの説明などに有用と思われます。