佐賀大学病院放射線科アンオフィシャルブログ ~さがの読影室から~

放射線科医の日常や、診療紹介、推薦図書などをご紹介します。問い合わせ先等、詳しくはカテゴリー「はじめに」をご覧下さい。

2010.03.31

2010年03月31日 20時07分22秒 | オンタイム
大学間の人事交流??で長崎から来てくれていたO君も今日でお別れです。
ちょっと文章を書いてもらいました。

こんにちは、荻原です。3ヶ月間お世話になりました。
鈴木先生の「いつかブログにのせてもらうから」といった言葉をパーティージョークと思ってましたけど、どうやら本気らしいということで、今回初参加させていただきました。

3か月も終わってみるとあっという間でした。
いろんなデューティーワークを免除された(任せられなかった?)ため、勉強と長崎からの往復に費やすことができ、大変充実して過ごすことができました。
そのために鈴木先生をはじめ、若手の先生などに業務のしわ寄せがきていたと思います。すみませんでした。
また、昼休み時間に先生方が時間を割いて、その日の救急のレクチャーをしていただき、とても勉強になりました。
4/1にさっそく大学当直をするらしいので、3ヶ月間の勉強の成果を生かしたいと思います。


何か商品紹介するように言われた気がするので2つほど…

佐賀に来てから燻製を始めました。
奥さんのお父さんがお手製の燻製器で生焼けのものをよくふるまっていたので、ちゃんとしたのを作ってみようということでやってみました。
なんの知識もなく、とりあえず

THERMOS 保温燻製器 イージースモーカー ブラック RPD-13 BK

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を買ってみました。
たぶんカスタマーレビューにもあると思いますけど、全く煙が出ず、家でも問題なく本格的な燻製が作れます。
小さめですけど家庭用としては十分だと思います。燻製本来の保存食としての能力はたぶんないですけど…

あとお花見シーズンということで、

イワタニ 炉ばた大将 炙家(あぶりや) 【カセットガス式 網焼き・串焼き専用器】 CB-RBT-A

イワタニ

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を購入し、長崎大学近くの立山公園というところに先週末花見に行ってきました。
「公園内火気厳禁!」
と書いてあった気がしましたけど、いろいろ準備もしてたので後には引けず決行!
これも小さく、せいぜい2~3人用というところですが、火力もまずまずで、十分楽しめました。
結構安いですし気になる方は、ぜひ買ってみてください。寒い日の花見なんかでは、周りから羨望と非難の目で見られます。おすすめです。


これからも学会などでまたお会いすることも多いと思います。とりあえず4/17に何かの胸部の学会で僕も発表するらしいので、いらっしゃる方がいましたらよろしくお願いします。
それでは短い間でしたけど本当にありがとうございました。


佐賀に来られた当初は、だいぶ猫を被っており「まじめな子だねぇ」などとうわさをされていたのですが、徐々に化けの皮がはがれてきました。
なかなか面白いキャラで、一部のヒトは大いに楽しんでおりました。
しかし、実際にまじめなところもあり、読影ではとても放射線科1年目と思えない知識と、鋭い眼で驚かされました。
胸部の道へ進むということでしたので、今後がとても楽しみです。

お疲れ様でした!

2010.03.30

2010年03月30日 22時32分07秒 | オフタイム
ただいま、当直中です。
大学最後の当直です。

ここまでは比較的、平穏です。
昨日はコドモと2人だったのですが、初めて夜泣きせずに過ごすことが出来ました。
ちょっと寝返りの時にフニャフニャ言ってたくらいです。
成長したなぁ…

コドモはスクスクと成長していますが、それと同じくらい僕も成長できるとよいのに、と思います。

今年一年は、ぽっかり大きな穴があいてしまった胸部診断に放り込まれ?拙いレポートを書いていきました。術前カンファレンスに出席し、臨床の先生のご意見を聞きつつ、フィードバックを受けながら勉強することが出来たのは、大きな収穫でした。
4月からはスペシャリストが復帰するので、胸部診断のレベルは一気に上がるでしょう。

来年度は一般病院です。専門医の試験も待っています。
さて、どんな一年になることやら。


2010.03船釣り

2010年03月28日 22時57分28秒 | 船釣り、魚料理など 
 久々の船釣り。
 異動前、最後の釣りです。

 朝は5時に集合し、日の出少し前に出航。途中、風向きが予報と変わっていて、波が立っていたり、雨に降られたり。しかし、船長の読み通り昼前後から天候は回復。ただ、風は強くいつもの沖合のポイントまではいけませんでした。

 中潮ながら、潮の流れも微妙で、水温が低いこととあいまってサカナがつれない…

 しかし、○島で風に耐える中、副船長?が得意のイトヨリダイをヒット!



 そしてN先生が粘って鯛を上げたポイントで、今回はDくんがヒット!



 なんと、鯛カブラでヤズを釣り上げていました。ブリの若魚です。

 え?僕?今回、初めてボウズでした

 そして写真の色合いが微妙なのは、ホワイトバランスを白熱灯にしたままだったから…普段使わないカメラだからといって、初歩的なミスをしてしまいました。なんとか補正しようと努力したのですが、結局このありさま。

 そんなこんなで反省することの多い釣りだったのですが、久しぶりの海風は気持ちよく、海岸沿いの桜(海からじゃないと見られないんじゃないかな…)もキレイで、楽しい釣行でした。船長、ありがとうございました!これからもヨロシクお願いします。

 ちなみに、いただいたアラカブは、前回失敗した煮付けをリベンジ。結構、上手くいったのですが、「オサカナ!オサカナ!」と喜んでいたコドモは先に寝てしまって食べさせてあげることができませんでした。

 ちょっと眠く、動詞の多い、読みづらい文章になってしまい申し訳ありません。

 

2009年度壮行会

2010年03月27日 22時24分38秒 | オフタイム
 昨日は3月いっぱいで大学から移動になるDr.の壮行会でした。僕も送られる側なのですが…
 治療のI先生は一足早く旅立たねばならず、参加できませんでした。忘年会の芸とか、忘年会の芸とか、統計とか、非常にお世話になったので、残念でした。



 場所は、昭和の香りを色濃く残す通りの一角。



 毎週のように飲んでいるので、リバウンドしかけています。やばい…




 どうも医局内で禁煙が流行りそうです。



 ここまでが二次会。なんと三次会まで参加してしまい、帰宅は三時過ぎ。今日は朝からキツかったです…

 幹事のN先生、ありがとうございました!

2010.03月抄読会 その2

2010年03月26日 18時23分09秒 | 抄読会
 とりあえず、もう1本の論文です。
 4月からはフィリップスユーザーになるので…こんなアプリケーションがあるのかはわかりませんが。

 最近、抄読会のまとめというよりは、単なる訳になってしまっています。どんどん長くなるばかり。でも、読んでいるとどれも大事に思えてきてしまって…もっと慣れたらエッセンスを抽出できるようになると思うのですが。

 他でも役に立つかな?と思ったのは、パラレルイメージングでのSNRの計り方です。詳しい方法をご存じに方いらっしゃいましたら、こっそりメールをお願いします。

Radiology2008:249:493-500
Sven Plein et al.
k-Space and Time Sensitivity Encoding-accelerated Myocardial Perfusion MR Imaging at 3.0 T: Comparison with 1.5T
○背景
心臓MRIのアプリケーションにおいて、心筋パフュージョンのようにSNRにより制限されるような方法は、高磁場の利点が得られると考えられる[1-9]。過去の報告でも、3Tと1.5Tを比較して、SNRや増強効果、診断能が改善したとされている[1,2,5]。
ファーストパス灌流MRIの挑戦は、モーションアーチファクトを減らすためにデータ取得時間を短くすること、カバーする心臓の範囲を広げることにある。SENSEのような、特別なアンダーサンプリング技術はデータ取得の速度を上げるが、SNRを犠牲にする。この現象は2D撮像法においては2倍のアクセラレーションで著明に増加するとされる[10,11]。
k-t SENSEのように空間と時間の相関を利用したアンダーサンプリング技術は、更にデータ取得時間を短縮することが出来うる[12-15]。k-t SENSEは、対象物からのトレーニングデータにより再構成時の時間的なバンド幅を適正化することによりSENSEと比べ、SNRがよいとされている(?)。
高磁場はある程度SNRの損失を補うことが出来るので、空間的、空間時間的なアンダーサンプリング技術を3T MRIの灌流MRIに用いることは魅力的である。
本研究では、3Tでのk-t SENSEを用いた高時間空間分解能心筋灌流MRIおよび通常分解能MRIを1.5T装置での前者撮像法を比較する。
○方法
・被験者
2006年1月~12月にプロスペクティブに集められた51例
14例:健常ボランティア
33例:患者のうち、検査が完遂できたもの
●パルスシーケンス
k-t SENSEはsaturation-recovery gradient echo pulse sequenceと組み合わせて使用。パラメータは[14]に準ずる。傾斜磁場の差および、取得ウィンドウを一定にするために1.5Tと3Tではin-plane空間分解能が異なるように設定されている(1.5×1.5 vs
1.3×1.3mm)。
通常分解能(2.5×2.5mm)の灌流MRも同様に撮られているが、2倍の(twofold)SENSE accelerationを用いている。
●灌流MRI
装置:1.5T、3Tともにフィリップス社製Achievaでコイルはそれぞれ5エレメント、6エレメントを使用。
撮像断面は、左室短軸を4スライス。
造影剤はガドビストを0.1mmol/kg、パワーインジェクターで5ml/sec、20ml生理食塩水で後押し。
・ボランティア撮像
安静時の画像を1.5と3T別の日に撮像。また3Tでの安静時灌流twofold SENSEを撮像。
SNRを計測するために、ノイズマップを作成(方法よくわからない…0フリップ角での無信号画像?)。
SNRは平均の絶対信号強度と、心筋においたROIでのそのチャンネルのノイズSDの比?
更に、ボクセイルサイズも合わせて機種間で比較した。
・患者群撮像
表1
それぞれの装置でアデノシン負荷灌流MRIが撮像された(順不同)。それぞれの撮像は冠動脈造影から14日以内に行われた。
・データ解析
1名の放射線科医(7年の潅流MRIの経験)が臨床情報を伏せて読影。
画質評価は、(0 = nondiagnostic, 1 = poor, 2 = moderate, 3 = good, 4 = excellent)で評価。
アーチファクト:k-t reconstructionによるもの、呼吸運動、心電図ゲート、endocardiac dark rim artifact(?)の存在→(0 = none, 1 = minor, 2 = moderate, 3 = severe, 4 = images nondiagnostic)で評価。endocardiac dark rim artifactに関しては、心筋壁に対する幅を計測。
ボランティアデータから、MASSを使って心筋の信号強度曲線を作成。
●ROIの置き方
CER=(P - SIb)/SIb
CER:増強効果の比
P:ピーク SIb:ベースの信号強度
信号強度の測定は、収縮期の心室中部レベルで行った。

患者データでは、2名の放射線科医が読影。
AHAの16セグメントモデルを使用。欠損は(0 = normal, 1 = probably normal, 2 = probably abnormal, 3 = abnormal)で評価。異常の判定は、離れた部位から遅延して増強されること、壁内での信号強度勾配があること。潅流スコアは、全セグメントの合計で表す(0-48点)。
・冠動脈造影
MRIから14日以内にスタンダードな冠動脈造影を施行。
・統計解析
連続データは平均±SDで表示。2群間の比較は、two-tailed paired t testを使用。
不連続データはパーセンテージで表示。
カテゴリーデータはカイ2乗検定で比較し、P<.05を使用。
SNRは統計学的に解析をしていない(4例のみのため)
正診率:2mm以上の径の血管で50%以上の狭窄というクライテリアを用いてROC解析を行った(Analyze-it)。
0-48で示される潅流スコアを解析の基準として用いた。
○結果
・ボランティアでの1.5Tと3Tの比較
3Tのk-t SENSEでは、画質が良いが(表2、図1)、画質及びアーチファクトスコアは1.5Tと有意差はなかった(表2、図2)。
Endocardiac dark rim artifactは小さかった(高分解能データの差に一致)。
SNR:3T:1.5T k-t SENSE 11.6±1.5:5.6±0.6(ピーク値での比較)
CER:3Tで有意に低かった
・3Tでの5倍k-tと2倍SENSEの比較
 5倍ではより高画質でより薄いendocardial rim artifact(表2、図2)。CERはほぼ同程度であった。
・患者群での検討
 各装置で撮像時に心拍数、血圧などの差はなかった。
・画質評価
画質スコア:3:1.5T=3.7:3.3 (P=0.4)図4
アーチファクトスコア:3:1.5T=0.7:0.8 (P=0.56)
 最も多いアーチファクトは呼吸運動によるもの
 Endocardiac dark rim artifactは双方で半数にあり、拡張期のデータのみで見られた。
・正診率
ROC解析:3:1.5T=0.89:0.80 (P=0.21)図5-7
○考察
3Tによるk-t SENSEは十分使用可能な検査法である。1.5Tと比較してSNRは向上している(少数なので統計学的に検討できていない)。3TではCERが低かった。2倍SENSEよりは空間分解能、画質ともに優れていた。
 1.5Tでのk-t SENSEによる潅流MRIの有用性は示されている[14]。今回の検討では、3Tでも高速で平面内の高空間分解能を取得できることが示された。Gebkerら[15]は、派生技術であるk-t BLASTを採用しているが、空間分解能は2.6×2.6mmである。k-t accelerationの自由度は本法の特徴である。
 3TにおけるSNRの向上(通常のGREシーケンス)は過去の2つの文献で示されている[1,5]。過去の報告と異なり、今回はノイズをゼロフリップ角によるノイズマップを用いている。理由としてはパラレルイメージングでは、場所に応じたノイズの増幅によりコンベンショナルなノイズの推定ができないためである。Difference methodでは心拍あるいは呼吸運動により一連のフレームでSNRが信頼できないことが示された。
 3TでCERが低かった理由としては、磁場強度が上がりrelaxation rateが下がるためである[16]。また、静磁場の不均一性による影響もある[17]。Adiadaptic or multipulse saturationが3Tでは必要と思われる。過去の報告では、3TでCERが増加したという、対立する結果もある[1,5]が、造影剤の差が関係しているかもしれない。
 ROC解析による、正診率は1.5と3Tで差がなかった。Chengら[1]は、3Tで優れていたと報告している。
 1.5Tでの報告と同様に、2倍SENSEと比較してk-t SENSEは空間時間分解に優れ、dark rim artifactを軽減することができた。厚みは1.6mmで、診断の妨げにはならなかった。良好な画質が得られ、過去の視覚的あるいは定量的な潅流MRIの報告[6-9]より有望であった。
 近年、定状状態パルスシーケンスを用いた潅流MRIによりGRE法よりもSNRを得られるという報告もされている。3Tではbalancedシーケンスはアーチファクトが起こりがちであり、現在は非balancedシーケンスが用いられている。K-t SENSEとBalanced SSFPの組み合わせが出てきており、将来評価されるべきである。
Limitation
 傾斜勾配磁場の差により、それぞれの静磁場強度で空間分解能が異なっている。ただし、SNRの計算では補正されており、ほとんどその他の計測でも問題はないと思われる。

2010.03月抄読会

2010年03月24日 20時39分25秒 | 抄読会
急いで読んだ文献です。
CTを読んでいると、ちょくちょく心筋内に脂肪と思われる低吸収が見られますが、一つの原因として陳旧性梗塞があります。陳旧性心筋梗塞と脂肪化(accumulationをどう訳すのか困ってますが…)についてまとめた初の論文だそうです。
いつも通り長いです。

AJR2009;192:532-537
CT Detection of Subendocardial Fat in Myocardial Infarction
Sung Soo Ahn et al.

○目的
心筋梗塞(MI)患者での心筋内への脂肪沈着(?)の特徴について、さまざまな臨床情報から全体的に解析する。
○背景
MDCTによりCTは心臓の新たな診断手法となった。左室壁の心内膜下に脂肪が見られるということが過去の報告[1,2]でも見られる。MI部位に、単純および造影CTで低吸収として脂肪が見られるのは一般的であるが、その本体は明らかではない。
 虚血性心疾患を有する患者の摘出心では68%に左室心筋の瘢痕に脂肪沈着があり、MIの既往がある患者では84%であった[3,4]。脂肪抑制パルスを利用したMRIでも脂肪が検出されると報告されている[5-8]。
○方法
・症例:161例(男性129名、女性32名、平均年齢60.7歳)、過去にMIと診断され、冠動脈CTが施行された症例。期間は2003年2月~2005年4月。
・MDCT:
シーメンス社製16列MDCT。単純+冠動脈CTAを撮像。
・脂肪の解析方法:
断面は、軸位、短軸、vertical long-axisを作成。脂肪は、2名の放射線科医(7,4年の経験)が、単純CTで局所的な低吸収があると同意した場合に確定。病理学的な確診はない。脂肪を同定した後に、CT値、分布、壁の進展度を分析。
 ROIの置き方は図1。単純CTでとったのと同様のROIを造影CTでもとる。脂肪の分布は、血管造影所見から左前下行枝LAD、右冠動脈RCA、左回旋枝LCXに対応する領域として決定。
 壁内の進展度は、(心尖部は長軸を使用)短軸で最も低吸収の大きかった部位で、壁厚に対する厚みを計算。進展度はGrade1,2,3,4(0-25, 26-50, 51-75, 76-100%)で評価。
 検討した臨床情報としては、CKMBやトロポニンTの最大値、ST上昇あるいはQ波の存在、責任病変の狭窄度とCAGでの狭窄病変の数。MI後の経過時間、心エコー所見(局所の壁運動異常5段階評価、EF)、Tc-99m SPECT所見も比較。
・統計解析
2群間での連続データの解析:independent two-sample Student’s t test。
カテゴリ変数は、chi-square test or Fisher’s exact testを使用。
MI後の脂肪沈着の独立した予測因子:Logistic regressionを使用。
P Valueは0.05未満を有意とする。
○結果
・心筋内の脂肪の特徴(図2,3)
MIの既往がある患者のうち40/161例、43の独立した冠動脈支配域で脂肪が同定された。
3名で2領域に脂肪があり、36名で脂肪沈着はMI後の部位に一致していた。4/7領域において、過去のMI部位と一致していなかったが、同部は50%以上の狭窄を呈する動脈に栄養されていた。残りの3領域(2領域はLCX、1領域はLAD)は、MIあるいは虚血の証拠がなかった。
 心筋内脂肪の平均CT値は単純CTで-29.6HU、造影後で-11.2HU。正常な心筋では単純で41.6HU、造影後で10.7.5HUであった。増強効果は、脂肪で18.5HU、正常心筋で65.9HUであり、有意差があった。
 領域での比較。27例でLAD領域(全LAD領域梗塞の30.3%)、9例でRCA領域(同様に10.5%)、LCX領域には脂肪が見られなかった。→統計学的に部位による有意差あり。
 壁内進展度の比較。0-25%:13.9%, 26-50%:69.4%, 51-75%:16.7%, 76-100%:なし
・心筋内に脂肪を有する患者と、有さない患者の比較 表1
36例の脂肪沈着(+)群と、125例の正常群で比較。
 MIからCTまでの期間に有意差あり(5.6±2.1 vs 2.4±3.6年)。梗塞後の時間が経つほど、脂肪を有する率が増加していた。
 責任動脈の狭窄率は、脂肪含有患者でより軽度であった。また、罹患冠動脈数も少なかった。以前の治療については、ステント後よりCABGを行った患者で多かった。ただし、脂肪含有患者よりステント治療をされている患者の割合は多かった。
 性別、年齢、リスクファクター(高血圧、糖尿病、高脂血症)、梗塞時の年齢といった人口統計学的要因に差はなく、ST変化やQ波の有無、心筋逸脱酵素の有無も関連がなかった。
 CTから30日以内に超音波が行われた症例は脂肪(+)群17例、脂肪(-)群64例であった。脂肪(+)患者においてakinesisが有意に多かった。EFや、左室拡張末期径には有意差なし。不整脈については、有意差は明らかにされなかった。
SPECTが行われたのは、34例。脂肪(+)は8例で4例が集積欠損であった。脂肪沈着(-)は26例で、30.8%に同様の所見あり。統計学的有意差はなし。
141例のLogistic regression analysisでは、唯一、責任動脈の狭窄度のみが独立した因子であった。
○考察
心筋内の脂肪がどのように沈着(蓄積?)するのかは明らかではないが、動物実験では心筋細胞の脂肪酸代謝障害によるものであるという報告がある[10]。実際、遊離脂肪酸の代謝障害による蓄積は梗塞心筋の周囲で起こっており、過去の報告でも相対的な虚血による脂肪蓄積が指摘されている[11,12]。今回の検討では、責任動脈の狭窄度のみが独立した因子であったが、軽度の冠動脈狭窄からの血流供給は、側副路と同様に梗塞心筋への脂肪沈着に対して働いているかもしれない。
心筋の局所的な壁運動異常は、脂肪(+)患者でより多くみられた。ST上昇も同様に多かったが(78.3% vs 56.2%)、有意差はなかった(p=0.0502で、統計学的な問題?)。
Jacobiら[13]、Zaferら[14]による脂肪沈着(+)の頻度の差は、診断基準の差と、CTプロトコールの差(大部分が心電図非同期CTで、単純あるいは造影のみ施行されているものも含まれる)があるかもしれない。
・Limitation
組織学的な検討がされていない
レトロスペクティブ研究であり、カルテ記載をもとに臨床情報を収集している
治療法がさまざまな患者群である
多くがCABGを受けており、脂肪沈着と治療との関係がわかりにくい
○結論
MIの既往がある症例のうち、22.4%に脂肪沈着がみられた。これらでは心筋梗塞後の経過時間が長く、軽度の冠動脈狭窄、罹患血管数は少数であるという関連があり、重度の壁運動異常を伴っていた。
MI後の予後および、リモデリングの予測因子として、更にMI患者における心筋内の脂肪の臨床的な重要性を検討していくことが必要である。

2010.03.18

2010年03月18日 23時38分40秒 | オフタイム
 日中は暖かく、桜もぽつぽつと咲いています。
 ただ、朝晩はまだまだ寒く、スプリングコートが必要です。もう、「花冷え」と言っても良いのでしょうか…

 明後日から連休ですが、僕は私用で少し佐賀を離れるので、更新は少しお休みです。
 誰か書いてくれるかな?

 それでは。

2010.03.14

2010年03月14日 21時57分20秒 | オフタイム
 寒暖の佐賀、じゃなくて差が大きいですが確実に春がやってきています。

 3月10日の朝


 3月11日の朝 雪が降りました。


 3月12日の朝


 3月13日の朝


 残念ながら、今日は観察ポイント(というか保育園の駐車場)に行っていないので、開花を見逃してしまったかも。
 そのかわり、某所河原で満開の菜の花を撮影。



 撮影はGF-1の20mmパンケーキレンズ。まだマクロは試していません。今年は夜桜撮影の計画を立ててみようかな。