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佐賀大学病院放射線科アンオフィシャルブログ ~さがの読影室から~

放射線科医の日常や、診療紹介、推薦図書などをご紹介します。問い合わせ先等、詳しくはカテゴリー「はじめに」をご覧下さい。

第5中足骨骨折

2011年01月28日 22時35分37秒 | オリジナル解剖アトラス
サッカー日本代表の香川選手が骨折…
第5中足骨骨折とのことでしたので、teaching fileから選んでみました。

症例1. 30代男性 つまずいて足をひねった 左足部痛



足関節の撮像でも、側面像で第5中足骨基部に気をつけることが必要です

症例2. 20代男性 つまずいて足をひねって受傷 左足部痛と腫脹あり



外脛骨があります。有痛性外脛骨についてはかなり前に書きました。本人にとっては「骨折か!?」というほど痛い場合があります。

症例3. 70代女性 側溝に転落 左足関節痛



骨折線が中足骨に対して横ではない点がやや非典型的と思われます。

症例4. 12歳男性 グラウンドの整備中にトンボに引っかかった 右足部外側の疼痛



こちらは骨端核です。このくらいの年齢で見られます。ラインが中足骨に対して横ではありません。

こらから紹介するサイトは、一般の方向けとのことですが、整形外科を専門としないDr.を含む医療関係者にも勉強になります。
上の3症例はいわゆる下駄骨折ですが、欧米の教科書では当然「Geta fracture」などはなくJones骨折と記載されています。詳しく読んでいなかったのですが、両者は異なる病態および予後のようです。詳しくは、以下のサイトを御覧ください。

運動器 Online第5中足骨基部骨折

頭蓋底解剖 眼窩-翼口蓋窩2

2008年10月26日 09時34分53秒 | オリジナル解剖アトラス
 前回頭蓋底解剖 眼窩-翼口蓋窩1で告知したとおり、横断像および冠状断像を組み合わせた画像を作ってみました。



 VR法で作成した頭部3D画像を傍正中線でカットし、背側へ60°傾けたものを頭側から眺めています。正円孔レベルの横断像、翼口蓋窩-上眼窩裂レベルの冠状断像を挿入しています。赤点線より下方が横断像、上方が冠状断像となっています。イメージは伝わりますでしょうか?

 以前の画像で、下眼窩裂に不正確な→がついたのは、このように頭蓋底と下眼窩裂が直接交通していないためです。

 次回は、通常の画像診断で用いる、横断像および冠状断像をもう少し載せようかと思います。
 

頭蓋底解剖 眼窩-翼口蓋窩1

2008年10月25日 15時16分00秒 | オリジナル解剖アトラス
 久しぶりの解剖です。
 カテゴリー「オリジナル解剖アトラス」を作ったので、そちらをクリックしていただくとこれまでの記事が出てきます。

 今回は、眼窩~翼口蓋窩の解剖です。
 

 3D再構成した顔面を正面から見ています。左半分は、翼口蓋窩のレベルまで顔面をカットしています。今回は翼口蓋窩に開口する、下眼窩裂、正円孔に矢印をつけてみました。

 各経路の連絡と、通過する内容物は以前の記事頭蓋底解剖 頭蓋底の主な経路をご覧下さい。

 次回は、水平断、冠状断を組み合わせて、より立体的に理解できる絵作りを試みてみます。

頭蓋底解剖 眼窩からのVIEW

2008年09月21日 07時49分35秒 | オリジナル解剖アトラス
 前回頭蓋底解剖 頭蓋底の主な経路に引き続き、3Dで確認できる構造を眼窩から見てみました。

 左眼窩です。前回上手く描出できなかった、視神経管を正面視できるように少し角度をつけてあります。上眼窩裂と視神経管は、optic structにより分けられています。



 更に右方に角度を付けて、眼窩外側をカットし、下眼窩裂から翼口蓋窩の連続を示しています。



 各経路の内容物と、交通は前回記事を参照してください。
 ここでは、眼窩を構成する骨を書きます。

<眼窩の構成骨>

・上壁前方:前頭骨
  後方:蝶形骨小翼

・外側壁前方:頬骨
   後方:蝶形骨大翼

・下壁大部分:上顎骨眼窩面
   後方の一部:口蓋骨眼窩突起

・内側壁:篩骨眼窩板、涙骨、蝶形骨 


 上眼窩裂および、翼口蓋窩については多数の重要な内容物が含まれているので、もう少し書き込んで行ければいいなと思っています。それぞれの構造事態も複雑で面白いので、その辺りが伝わるような絵が出来るように頑張ってみます。

 参考図書も前回同様、高橋昭喜編 脳MRI1.正常解剖 です。

頭蓋底解剖 頭蓋底の主な経路

2008年09月14日 10時13分59秒 | オリジナル解剖アトラス
 まずは、3D-CTで確認できた、主な頭蓋底の経路と内容を書いてみます。

 真上から見た、頭蓋底部の3D-CTです。



 前方に30°傾けてみました。下眼窩裂は、矢印の先端がやや不正確です。下記の説明をご覧下さい。



・篩板:第1脳神経、篩骨動脈が通過。
    前頭蓋底と鼻腔天蓋部を連絡。

・上眼窩裂:第3,4,6脳神経、第5脳神経第1枝、上眼静脈が通過。
    眼窩と中頭蓋窩を連絡。

・下眼窩裂:眼窩下神経、頬骨神経が通過。
    眼窩と翼口蓋窩を連絡する。頭蓋底とは、直接関係しない。

・正円孔:第5脳神経第2枝、正円孔動脈、導出静脈が通過。
    Meckle腔と翼口蓋窩を連絡。

・卵円孔:第5脳神経第3枝、海綿静脈洞から翼突筋静脈叢への導出静脈、副硬膜動脈が通過
    Meckle腔と咀嚼筋間隙を連絡。

・棘孔:中硬膜動脈、下顎神経の硬膜枝が通過。
    中頭蓋窩と咀嚼筋間隙を連絡。

・破裂孔:上行咽頭動脈の硬膜枝が通過。
    *真の穴ではなく、線維軟骨構造で満たされている。

・頚静脈孔:後頭蓋窩と上咽頭部の頸動脈間隙を連絡する。
 神経部;下錐体静脈洞、第9脳神経、Jacobson's nerve
 血管部;内頚靜脈、第10,11脳神経、Arnold's nerve、上行咽頭動脈と後頭動脈の硬膜枝

・舌下神経管:第12脳神経が通過。
     大孔と、上咽頭部の頸動脈間隙を連絡する。

・大孔:延髄、第11脳神経のspinal segment、椎骨動静脈、前・後脊髄動脈が通過。
    後頭蓋窩と頸部脊柱管を連絡する。


 他にも、視神経管、翼突管(vidian canal)、頚動脈管、茎乳突孔など重要な構造がありますが、今回の図ではっきりと示せた、経路はこのくらいでしょうか?
 各経路と、それぞれの断面画像や臨床的な重要性はまた後日作成します。

カタチから

2008年09月13日 00時08分06秒 | オリジナル解剖アトラス
 大学に帰ってきて、早くも2週間が過ぎ、ようやく慣れてきました。
 大学へは、神経・頭頚部のヘルプ要員としてだったのですが、もともとキチンと勉強をしていた領域ではなかったので、本を片手に必死に読影しているところです。

 もともとが、何事にもカタチから入るほうですが、読影においても最も大事なのはカタチ=解剖ということで、そちらからやり直すことにしました。せっかく勉強するのであれば、立体的に理解できるように、ワークステーションをフルに使ってしてみようと思いました。また、WEB上においておけば、いろいろと便利かな?と思うので、出来たところから少しずつアップしていこうかな、と考えています。

 参考図書はひとまず、こちらを見ながら書いていきます。
 なにぶん、初学者なので記述に誤りなどがあれば、ご指摘いただければ幸いです。

脳MRI〈1〉正常解剖
高橋 昭喜
秀潤社

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