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佐賀大学病院放射線科アンオフィシャルブログ ~さがの読影室から~

放射線科医の日常や、診療紹介、推薦図書などをご紹介します。問い合わせ先等、詳しくはカテゴリー「はじめに」をご覧下さい。

2011.08.27

2011年08月28日 22時02分58秒 | オンタイム
昨日は当教室の工藤教授 退任記念パーティーでした。

あと数年の任期があり、変わらずカンファレンスでもお会いしていたので、先月の急な発表には非常に驚きました。

工藤教授は多くの先生方のご祝辞にあったように、人柄の良い先生で、医局員から慕われていました。
また臨床、研究ともに医局員の自発的な意思を応援する姿勢が、この医局の雰囲気を作っていったのだと思います。

僕自身もこの研修制度が始まって最初の後期研修医として、温かく迎えていただき、ここまで育てていただいたことに大変感謝しています。

ありがとうございました。


と、いうことでこのブログの今後について迷っているところです。

このところ勝手なことばかり書いているのですが、それもこの医局の雰囲気の一つ…と思ってのこと(言い訳?)。
しかしある程度、自分の裁量内で仕事を行える派遣先病院に勤務している身分で、大きく変わるであろう大学の状況を把握しないままにのんきに好きなことばかり書いているわけにもいかないかな…とも考えるのです。

数年間書いてきて、ある種の役目は終わったのかな…という思う一方、記事を書くのが日課のようになっていて急に辞めるのは寂しい気もします。

ひとまず、しばらくの間は僕が更新するのは休んだ方がよいかもしれませんね。


2011.07月 関連病院勉強会

2011年07月13日 22時18分20秒 | オンタイム
珍しく仕事が長引き、ちょっぴり遅れてしまいました。

症例は3例、2例は教育的な典型症例で、1例は腹部放でも出された珍しい(というより画像の報告がないようです)症例。

自分で判断して仕事を捌くのが日課になり、教育的な症例であっても「ま、いいか」と自分で満足して流してしまいがちなこの頃。
改めてきちんと臨床家とディスカッションして症例をコツコツと蓄積することが大事なんだな~と思いました。

参考文献

Cardiol Res Pract. 2009;2009:598940. Epub 2009 Sep 13

AJNR Am J Neuroradiol. 1999 Jan;20(1):91-100.


2011.06.30

2011年06月30日 22時10分33秒 | オンタイム
早くも6月最終日となりました。
T病院にも研修医が来てくれていたのですが、数学・物理の好きな消化器内科のタマゴで、MRIの話で大いに盛り上がることができました。
なかなかハードな研修病院ですが、頑張ってください!

さて、明日は佐賀CT・MRI研究会です。
本物のHPでも告知されていますが、

ショートレクチャーは中園貴彦先生の凱旋公演です。
「HIV感染に関連した心血管病変のCT,MRI所見」

まだ日本ではあまり見ることのできない画像が出てきそうです。

特別講演はあの、東京大学准教授 赤羽正章先生
「失敗に学ぼう」
です。
え~!?赤羽先生が失敗するの!?という気もしますが…
どのように学ぶのか、を学べればと思います。
名実ともに最高峰の放射線科医の話を間近で聞ける機会など、そうそうあるものではないので大いに楽しみです。

18:30から佐賀市新栄東3丁目7-8
マリトピア 4階 翠玉の間
です。

2011.06.関連病院勉強会

2011年06月08日 22時39分02秒 | オンタイム
久しぶりの関連病院勉強会報告。担当のH先生、F先生お疲れ様でした。

インパクトのある4症例が提示されたのですが、特に1例、気になった症例があったので調べてみました。

検索語句は
"ethmoid bone defect" "ethmoid bone defect" "cerebrospinal fluid rhinorrhea" "pneumoencephalus"
などを組み合わせて行いました。

下のリンクは横浜市立大学形成外科からの症例報告です。

http://www.jstage.jst.go.jp/article/nmc/45/6/322/_pdf

おそらく、この範疇の疾患ではないかな?と思うのですが…考察では気脳症を合併したの報告は書いていないです。

ちなみに、"pneumocephalus" AND "ethmoid bone defect"
だと7件ヒットしています。残念ながら、この中にフリーのPDFが無かったのですが、少なくとも1例は似たような感じのタイトルでした。

M. Lefranc et al.
Tension pneumocephalus and rhinorrhea revealing spontaneous cerebrospinal fluid fistula of the anterior cranial base
Neurochirurgie Vol.55 No.3 340-344, 2009

どんなでしょうか?
また何かわかったら教えてくださいね。

2011.05.30

2011年05月30日 21時58分56秒 | オンタイム
1年2カ月お世話になった病院も、残すところあと半日。

大学以外では一番長く勤めたので、寂しい気持ちのほうが大きいかな。

この期間で得たこと、成長したこと…

T. O院長の下で働けたこと
A. 年代の近い九大の先生と知り合いになれたこと
N. 英語のリスニングがましになったこと
U. ウェイトトレーニングを覚えたこと
S. 専門医の資格を取ったこと
I. iPadや写真に詳しくなったこと
M. MRIの基礎~応用の勉強ができたこと
A. PCへの苦手意識が少なくなったこと
R. RSNA2010へ参加
U. それから今日、間欠性外斜視用の眼鏡が届いたこと(Yさんありがとうございます)!

途中、放射線科と関係なくなってきたけど、まぁいいや。

失ったものと言えば…

若さ??

それはともかく、正直に言って余裕のなさから、結構(控え目に言っても)感じの悪いときが多く、技師さんや事務の方には大分迷惑をかけてしまいました…これから改善できるかは不安ですが、根気強く付き合っていただきありがとうございました!来月からは優しいDr.が行きますよ!


2011.05.30


この写真はO院長がご存じの隠れ家的名店シリーズから、最後に連れて行っていただいたお店。看板の電灯がついているように見えるは気のせいか…?
ともかく、予約して出てきたのは、2cm近くある東京Xのトンカツ。断面からにじむ脂と、ほんのりピンク色が残った柔らかく旨みのある赤身。相当な食べ応えです。東京で食べたら、どのくらいするだろう!?
興味のある方は、この店名で検索してみてください!

2011.03.18

2011年03月18日 17時29分25秒 | オンタイム
日本核医学会 放射性医学総合研究所より、2011.03.17時点における「安定ヨウ素剤による甲状腺の保護処置 の必要性」についての文書が公開されます。
転載の許可をいただいたので、以下に掲載します。

*いただいたメールをほぼそのまま使用していますので、若干見づらいかもしれません。申し訳ありませんが、フォントや下線を勝手にしようすると文意が誤って伝わることも考えられましたので…


 被災者の皆様、とくにお子さんをお持ちの被災者の皆様へ

 現状では安定ヨウ素剤による甲状腺の保護処置は不要です 

 東北関東大震災で被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の方々に心からお悔やみ申し上げます。また、被災地域の一日も早い復興をお祈りいたします。
 被ばくが懸念される地域にお住まいの皆様には、東北関東地方地震に伴う福島 原子力発電所事故による放射能漏れに由来する健康への影響をご心配のことと存じます。特にお子様をお持ちの親御さんは、子供達の被ばくを心配され、安定ヨウ素剤による甲状腺の保護処置が必要ではなかろうかとご不安に駆られることと思います。
 しかし、現時点での大気・土壌汚染状況から判断し、今の段階では小児の安定ヨウ素剤による甲状腺保護処置は不要です。むしろ危険なことがありますので、避けてください。
ただし、今後の状況変化によっては必要となることもありますので、政府発表・関連自治体発表・東京電力発表・報道情報などを十分に注視されますようお願い申し上げます。

1.甲状腺はヨウ素を取り込んで甲状腺ホルモンを作る組織で、人間は食物からヨウ素を消化、吸収し、甲状腺はこれを取り込んで働いています。食物中に十分なヨウ素があれば、甲状腺はある程度ヨウ素で満たされた状態になります。逆に食事中にあまりヨウ素がない生活をしていると、甲状腺はヨウ素欠乏状態になり、ヨウ素の吸収が上がります。通常のヨウ素は放射能を持っていませんが、なかには放射能を含むもの(放射性ヨウ素I-131)があり、これが食物を通じて大量に取り込まれると甲状腺に悪影響を与えることがあります。このため、多くの皆さんはご心配になっておられることと思います。

2.チェルノブイリでの事故後に東欧諸国で小児を中心とした甲状腺癌の増加が見られましたが、その主な原因はミルク等に含まれていた放射性ヨウ素による体内からの被ばく(内部被ばく)であったことが分かっています。たしかにチェルノブイリ事故では、大規模な被ばく発生後4日目に、ポーランドが国を挙げて安定ヨウ素剤を全ポーランドの小児の90%に一回だけ配布いたしました。そうしなかった隣国のウクライナやベラルーシでは小児の甲状腺癌が増加したのに対して、結果的にポーランドでは甲状腺癌増加は認められませんでした。しかし、
 1)内陸国のウクライナやベラルーシは食物や土壌中のヨードが少なく、もともと国民的にヨード欠乏状態であったのに対し、ポーランドは海沿いの国でさほどヨード欠乏状態ではなく、
 2)ポーランドは国内での牛乳を禁止して、すべて輸入粉ミルクに変えたという処置も行っています。
 これらの多くの処置がかみ合い、結果としてポーランドでは甲状腺癌の増加がなかったのであって、必ずしも一回だけの安定ヨウ素剤の投与が効果を現したわけではないと考えられています。

3.食物中、土壌中のヨウ素量の多い日本では、通常の食生活を行うことで十分にヨウ素を摂取できており、自然と甲状腺は安定ヨウ素で満たされています。ごく少量の放射性ヨウ素が簡単に健康に影響するほど吸収されることはありません。
 むやみに安定ヨウ素剤を服用する必要はありません。
 また、ヨウ素の入ったうがい剤や消毒剤を飲むことは危険です。
 乳児の場合には成長障害を引き起こす危険もあります。また、アレルギーなどで命の危険を来す場合もあります。

4.牛乳やその他の食物に含まれる放射性ヨウ素の濃度が上がるには、長期間に多量の放射性ヨウ素が土壌に広まり、これを吸収した植物やそれを食べた牛などが身体の中で濃縮していき、これを人間が食べることで起こりますので、 現在の状況ではすぐに危険性があるものではありません。

5.安定ヨウ素剤の投与は、一度に多量の放射性ヨウ素の被ばくを受けた40才未満の方に対して、一度だけ安定ヨウ素剤を飲んで貰って、その後被ばく地から待避していただくことが前提です。現状で一度だけ安定ヨウ素剤を飲んでいただいても、むしろ甲状腺機能が不安定になり、リバウンドで一定期間後に放射性ヨウ素の吸収を高めてしまうことさえ起こりかねません。もし今後、さらに大規模な被ばくなどが起こったときには、かえって甲状腺を危険にさらすこともありえます。

6.国際放射線防護委員会ICRPから勧告されている安全な甲状腺への放射能の基準は甲状腺線量0.020Gy以下とされており、この線量以下では小児に甲状腺癌 が増加することはないとされています(ICRP Pub94)(なお、チェルノブイリ 事故後に測定されたウクライナ、ベラルーシでの甲状腺線量は桁違いに高く、平均0.15-3.10Gy程度と報告されています)。この安全な線量0.020Gyは、計算すると、体内に約3 μCi程度の放射性ヨウ素が入ることに相当します。これは 通常使われる放射能を検出するサーベイメーターで甲状腺に約700万cpm(一分間に700万回のカウントを計測)となり、非常に高い数字です。

7.しかしながら、現状では地域住民の方々の放射能汚染のサーベイの結果は、ほとんどの方が汚染なし(つまりほとんどカウントなし)の結果と報道されていますので、甲状腺に悪影響を与えるほどの体内汚染が起こっているとは考えられません。

8.被ばくが懸念される地域では確かに雨や雪に放射線が微量検出されてきていますが、この放射能は体外からの微量な被ばくを示すだけで、安全な範囲内です。食物・飲用水としてきわめて大量に取り込まない限り、体内への被ばくは心配ないものと思われます。

9.福島市内の上水道中の放射性ヨウ素などの濃度が若干増加したと報道されていますが、通常の飲用に問題がないとされる規制よりも下の値です。

10.なお、放射性ヨウ素による甲状腺癌発がんの危険性は40才未満、とくに放射線に敏感な小児に高く、それ以上の方では危険性はほとんどありません。

大変な状況が続きますが、ともかく落ち着いて、政府発表・関連自治体発表などに従ってください。よろしくお願いします。


日本核医学会 
放射性医学総合研究所
(2011/3/17)


2011.03.17

2011年03月17日 22時43分23秒 | オンタイム
ご存知の方も多いと思いますが、日本放射線科専門医会(JCR)より東北地方太平洋沖地震へのサポート活動が開始されようとしています。

・被災地の方が必要とされていることの把握、
・被災地以外の方へボランティアの応募、どのようなサポートが可能かの募集

など、連絡先などが明記されています。

詳細は以下のリンクを御覧ください。

日本放射線科専門医会・医会(JCR)

全くの余談になりますが…
現在、放射線測定装置のニーズが高まっているようです。
院内での管理を徹底する必要があるかもしれないですね…という話が出ていました。

2011.03.15

2011年03月15日 22時11分14秒 | オンタイム
東北地方太平洋沖地震に被災された方々に心からお見舞い申し上げます。
また、現地および福島原発において想像もつかない大変な危険を伴った過酷な状況の中、作業に当たられている方々に心から感謝いたします。

遠隔地に居住する、一放射線科医として何ができるのかを考えていました。
そして、せめて当ブログを閲覧された方に現時点で確認できた、科学的知見に基づいていると考えられる情報を提供できれば…と思いました。

なお、このブログは佐賀大学放射線科の名前が入っていますが、公式のHPではありません。組織としてではなく、個人から情報を発信することの危険性は十分に存じ上げているつもりです。しかし、双方向性を有する媒体であるので、ご指導をいただければ適宜訂正を加えることも可能であると考えています。

既にご存じの方も多いと思いますが、学会等から発せられている情報へのリンクを下記に貼ります。

日本放射線医学会から本日、提言された
日本放射線医学会 緊急被ばくの事態への放射線科医としての対応について

 放射線科医としての対応、とありますが特に診断には直接対応することが少ないのが現状かもしれません。臨床現場へこういった専門知識を伝えることこそ、Dr's Drと呼ばれる放射線科医の役割かもしれません。また、放射線技師の方々も放射線の専門家として期待されていることだと思います。
 このことは、被災地よりも広い範囲で貢献できることではないでしょうか。

(*全く、個人的なことですがこのHP内容は、昼から大学へ行って初めて知りました。メールが届いていたそうですが、登録していないとアクセスするのが非常に困難な情報です。マスメディアを通じてでも、様々な医療機関に呼びかけて良い情報だと思うのですが…)

独立行政法人放射線医学総合研究所から、市民の方からの質問に回答する形での「お知らせ」
独立行政法人放射線医学総合研究所「お知らせ」

また、非常に繋がりにくい状態のようですが、
一般社団法人サイエンス・メディア・センター
に原発に関するQ&Aまとめが随時更新されています(東京大学理学系研究科・早野龍五教授のツイッターを元に有志の方が編集されています)。なお現在、多くの質問が寄せられており身分を明かして解答いただける「放射線医学の専門家」の協力が求められていました。

今日は大学へ行ってきたのですが、循環器学会、超音波学会などでは学会を挙げて出来ることを模索しているという話を聞きました。被災地において予想される、診療情報や物資が不足した中での当該領域に関して緊急的な治療指針などの提言なども含まれるかもしれないとのことです。学会が示したものがあれば、専門外のDr.でも判断しやすくなるかもしれません。
何が求められていて、何ができるのかということは現場にいる個人が考えられることだと思います。先生は「学会なんて思ったよりも小さなもの。下からでも提案することが大事なのだ」と言われていました。

放射線科に携わる者として何ができるのか、更に考えていければと思います。