四行詩集日乗

夜鴉亭好RUBAIYATルバイヤート限定本浮世絵草双紙
艶本読本詩集無節操無分別無目的展開
備忘録粗忽書影日記帖也

書物展望社本 三村竹三郎の『佳氣春天』

2010年01月13日 00時00分00秒 | Weblog
書物展望社の三村竹三郎著『佳氣春天』を紹介しよう。1935年(昭和10年)10月16日に天金、特製限定版百部と総革装3部本で刊行された。著者の肉筆画署名入りで、家蔵本は岡山県吉備津のうさぎが描かれていおり、川上澄生による駒井清次郎の蔵書票が貼られた駒井旧蔵本である。

『佳氣春天』は、京都、奈良、大阪や伊勢神宮など夫人同伴の旅行を各地のエピソードを交えて書いた紀行文が主である。そのため、旅の恥は「かきすて」から『佳氣春天』と洒落てタイトルを付けたという。詳述する視点が私の興味とはかなり異なるため、余り面白い内容とは思わない。

著者の三村竹三郎は、三村竹清の方が知られた名であろう。市井の書誌学者で、家業が竹問屋のため、竹清と号した。



陣羽織を模した『佳氣春天』の装訂 



『佳氣春天』 三村竹三郎著 書物展望社 1935年(昭和10年)10月16日
四六判 天金 陣羽織装訂 特製限定版百部 総革装3部本 著者肉筆画署名 352ページ 函 3円50銭


『佳氣春天』では352ページ中274ページが紀行文に割かれ、それ以外の80ページ弱を書誌学者らしい名所図会等書籍の解説や紹介に充てている。例えば、柳亭種彦の『偽紫田舎源氏』第10篇について、売れ行きの良さに錦絵表紙の摺りが間に合わず簡易表紙をつけて売り出した様が5行程度に簡略に描写されている。が、書誌学的にもう少し詳細な記述がほしかった。すべてこの『偽紫田舎源氏』のように、短い文章で綴られているため、中途半端で腹いっぱいにならぬことおびただしい。それが誠に残念である。

『偽紫田舎源氏』第10篇の三村竹三郎の指摘は、今は常識となっている。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 書物展望社本  呉文炳の『... | トップ | 書物逍遥 『現代獵奇尖端圖... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事