四行詩集日乗

夜鴉亭好RUBAIYATルバイヤート限定本浮世絵草双紙
艶本読本詩集無節操無分別無目的展開
備忘録粗忽書影日記帖也

第一書房巡礼行記  『わが青春期』 その3

2010年06月10日 00時00分11秒 | Weblog
2010年6月7日。
月曜だ。
週の始まり。
すがすがしい一日がスタートする。
いつもと同じ朝。
でも、何処となく違う。
6月7日は特別な日なのだ。
1099年6月7日、第一回十字軍がエルサレムの戦いを始めた日だ。
1981年6月7日には、イスラエルがイラクのオシラク原子力発電所を急襲し破壊した日なのは、周知の事実だろう。
一条兼良が生まれ、南原宏治が生まれ、トム・ジョーンズが生まれ、岸部四郎が生まれた日だ、なんていわなくても解るよね。
でも、でも、そんなことじゃ、全然なーい。

古書目録が配達された日なのだ。
そんなの毎日だって。
そうじゃないのだ。
かいつまんでいうと。
えーと。

じれったいね。

お昼過ぎ。
34階から所要で下界へ降り、1階の郵便受を見るとF書房の古書目録「小説 詩歌・俳句 雑誌」が入っていた。
いつもならば、愛用の黒のグレゴリーのリュックに投げ入れ、そのまま忘れるところを6月7日、この日ばかりは違った。
マンションの扉を開け、清澄通りを数歩進みながら、何故か封筒を破り中の目録に目を通した。
こんなことは、初めて。
そして、目に飛び込んできた文字に驚愕したわけさ。

「わが青春期 コクトオ 限定51 函」

もう一度見る。

「わが青春期 コクトオ 限定51 函」

何度見ても

「わが青春期 コクトオ 限定51 函」

マンションの繁みに身をひそめ、震える手で携帯を取り出す。
耳鳴りのする方に受話器を置いて。
F書房の電話、短縮登録しているのも忘れ、03から律儀に数字を押す。
その手ももどかしく。
プールルルル。
ファックスにかけてしもうた。

もう一度、03から。
2回ほど鳴って、今度は店主の声。
「ハイ。御座います」。
「ハイ。お送りします」。
いつもどおりの丁寧なお声。
エンジェルボイスとはこのことか。
うんうん。
後は、余り記憶にない。
そして、……。

次の日。
ジャーン!!



『わが青春記』 ジヤン・コクトオ著 堀口大學譯 1936年(昭和11年)1月20日 
特装版局紙刷51部 背コーネル革装 天金 200×140ミリ 函 345ページ 7円


悲願の特装版局紙刷51部、背コーネル革装の『わが青春記』。
この手にしたのである。
ジヤン・コクトオ著、堀口大學譯、1936年(昭和11年)1月20日発行。
天金、200×140ミリ、函、345ページ、7円。
って、キャプション読んでいるだけジャン。
 
長谷川巳之吉は「金さえ出していただければ西洋にも負けない本を造って見せる」と語ったが、その答えがここにある。



特装版の堅牢な造本は第一書房の豪華版について
庄司浅水との論争に終止符を打つ内容であろう


「入手価格はいくらか」だって。
それは、言わぬが花でしょう。
「それは、あんまり」か。
仕方ないねェ。



最高値の数パーセントとだけ行っておきやしょう。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 街を歩こう29 西神田、日本... | トップ | 代車のヴィッツが来た »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事