徒然なるままに~のんびり、ゆったり、こまやかに

猪突猛進型の60代。そして卵巣がんですっ転んで8年。目指すはのんびり、ゆったり、細やかな生活!無理かなー(#^.^#)

それでも人生は続いていく-ワクワクシャボン玉の陰に保育者ありー

2016-06-26 18:14:35 | 保育・子育て
ふと気づいたら6月の末。
本当に怒涛の6月だった。

92歳の父の大往生。
続く敬愛する友人の死。

でも人生は続いていく。

先週のある日。
仕事で名古屋の先にある町の幼稚園を訪ねた。

梅雨そのもののような日。
朝方は激しい雨。
そして10時くらいからは今度は日が差してきた。
蒸し蒸し、蒸し暑い。

ところが、子どもはそんなことへっちゃら。
田んぼの真ん中に立つ、その園の広々とした園庭では
彼らの声が溢れていた。

園庭には大きな盥が3つ。
もう泡ブクブク。

年長組の子どもたちがそこに集まっている。
大きなシャボン玉を作ろうっていうことらしい。

用意されていたのは、
直径60センチ以上はあるかと思われる縄と
それに取りつけられた4本の棒。

つまり、二人の子どもが各々の手に棒を持ち、
丸くした縄を盥の中のシャボン水につける。

丸い縄にはシャボン玉の幕が。
きらきら七色に輝いている。
それを二人で力を合わせて、それっと宙に放つ。

あ、大きなシャボン玉が風に吹かれて流されていく。
それを子どもたちがあーっと言いながら目で追う。
木の枝でパチン。
シャボン玉は壊れた。

また二人は力を合わせてせーの!ってシャボン玉を放つ。
今度はまるで吹き流しのような形の大型シャボン玉。
ゆらゆら揺れながらゆっくり流れていく。

二人は顔を見合わせてニコッ。
動きを合わせて、
黙々と何回も何回もそれを繰り返す。

いつの間にか周りには
年中(4歳児)、年少(3歳児)の子どもたちの人垣が。
小さい子たちは、ぎゅっと手を繋いで、
大きなシャボン玉を目で追う。
パチーンととはじけると、
あーっ・・・・という声があがる。

こうした遊びは小一時間続いただろうか。

担任は男性保育者。
30歳、経験8年目。
彼は訥々とこんなことを話してくれた。

「ここのところ、子どもたちはシャボン玉遊びしてたんです。
シャボン玉は、普通は一人遊びが多いけれど・・・、
なんとか息や力を合わせて
やれるものにならないかって
ずっと考えてたんです。

この子たちに、一人じゃなくて、
友だちと息を合わせる経験してほしかった。

初めはストロー、ペットボトルを半分に切ったもの、
そんなものを使っていろいろやっていたんです。
でももうちょっと大掛かりにした方が、
子どもたち同士で何かできるかも・・・、
そんなことを考えました。

シャボン水の粘度も試行錯誤を重ねたんです。
ガムシロップいいかもしれないって聞いて
子どもたちとやったけれどダメ。
色んな洗剤を入れたりして・・・。

それで主任の先生とも相談して、
ああでもない、こうでもないってやって、
やっといまのシャボン水が完成。
それで今日を迎えたわけです。

そしたら、はじめセーノって声をかけられる
いつもの元気な子たちが食いついてきた。

でも、ふっとみると
いつもは言葉数が少ない子同士が
二人で棒をもって、
声を出さずに息を合わせてたんです。
それって、凄いなって思いました。
この縄と棒を組み合わせたシャボン玉製造機、
思っていたより、すぐれものでした。
子どもたちも何回も何回も力合わせていて。

そして面白かったのが片付け。
いつもはもう少しちんたら時間がかかるのに、
今日は大きな盥を、使った子どもたちが
うんとこ、うんとこ言いながら、
力合わせて、足洗い場にまで運んでいった。
それって凄いなって。
力合わせるのはシャボン玉だけじゃないんだなって。
だからちょっぴり嬉しかったんです」

久し振りに、こんな保育の現場に行きあった。

こんな現場っていうのは・・・、
子どもたちの思いに保育者の願いを重ねて
それに向けて教材研究の試行錯誤を重ねる場だ。

年長の今、子どもたちに少しでも一緒に息を合わせて
一つことを成し遂げるという体験をしてほしい、
そんな思いを持ちながら、
ずーっと教材の試行錯誤を続けていた彼。

子どもたちが食いつくような面白さを持ち、
そこで友だちと息を合わせると、
ワクワクするほど大きなシャボン玉が作れる!

子どものことを外側から見ていると、
ああ、子どもだ、遊んでいるなとしか見えないことも多い。

でも、子どもたちが幼稚園などで楽しく遊べる陰には
保育者の思いと努力があるって改めて思った日。

子どもが楽しいって思えたり、
またやりたいって思えたり、
そんな子どもの生き生きしさを育む保育。

そんな保育の陰には
一緒に生活する保育者のこんな努力がある。

たかが、遊び、されど遊び。
子どもの遊びの世界は深い。
子どもたちの人生の初めは、
それによって育まれていく。

そこに大人の思いを織りなしながら、
子どもと生活していくのが保育の世界。
こんな目に見えない大きな努力をしている保育者たち。
結果はすぐには見えない仕事だけれど、
毎日、子どもたちが楽しいって思えるように
今日も裏方努力を続けていることだろう。

「ああ、楽しかった」の積み重ねが
この子どもたちのこれから先の人生の
エネルギー源になることは間違いないのだから。

と、再確認した保育の旅でした。







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1 コメント

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子どもと遊び (ururu)
2016-07-06 14:07:12
子どもの「好奇心」と「夢中で」遊ぶ経験こそ、人生の宝だと思います。

48歳で早世した私の兄は子ども時代、
ひたすら蝶の収集や川での小動物に目をキラキラさせ夢中になる子どもでした。彼なりの「発見」にワクワクしていたのだと思います。
※母親は「もっと勉強を・・・」だったのに、小狡い妹の方が成績が良かったんです^^

で、余命○年の心臓疾患が発見され、「もう勉強なんていいから!」」と、母が出来るだけのんびり過ごさせる為、自由な校風の学園に進学させたのに、
兄は深夜、親が寝静まるのを待ってこっそり勉強に励み、
(親泣かせに)学園一の秀才になり、学園初めて教壇に戻る人間になりました。

兄を思い出すたび感じる事・・・。
子ども時代の興味や遊びが、いかに人を創るかということ。。。

(親としては失敗しちゃった私が言うのも憚れますが^^)

保育者の方々が、子どもたちの「好奇心」を大切にして下さることを、心から願っています☆
(偉そうにスイマセン^^)
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