今日の女王サマ

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アヒルと鴨のコインロッカー

2008年11月05日 | 映画&本&音楽&TV
伊坂幸太郎の作品は何本目かな。

伊坂作品はタイトルだけ見ると、ちーっとも面白くなさそう。
◆オーデュポンの祈り
◆重力ピエロ
◆ゴールデンスランバー
◆グラスホッパー
◆死神の精度(これはちょっと興味をひくタイトルではあります)

そして、今回読了した
◆アヒルと鴨のコインロッカー

タイトルで損してると思うのは私だけかな。内容はすごく面白いんですけどね。

『重力ピエロ』と『ゴールデンスランバー』はちょっと切ない物語に、伊坂作品の特徴である軽いユーモアが挟み込んであり新鮮な印象があります。

『アヒルと鴨のコインロッカー』の主人公・椎名は本当の主人公ではないかもしれない。
私も本の筋を追いながら、椎名に寄り添い、椎名の困惑に付き合い、真実を知り少し悲しむ。
それで終わりかと思いましたが、物語の全体を反芻してみると、椎名の悲しみより私自身の悲しみの方が大きいことに気づいてしまいました。

4人の主要登場人物のうち2人は既に亡く、1人はこれから(恐らく)死んでしまうことがわかっているからなのでしょう。椎名の未来もけして明るくないし。

まだそれほどたくさんの伊坂作品を読んだわけではありませんが『アヒルと鴨のコインロッカー』は今までで一番切ない物語でした。そして、私の好きな伊坂流ユーモアは物語の全体に満遍なくまぶしてあり、それがいつまでも胸に残るのです。