ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや訪問カウンセリングなどをやっています。

日下紀子『不在の臨床-心理療法における孤独とかなしみ』2017・創元社-不在・かなしみ・待つこと

2024年05月29日 | 心理療法に学ぶ

 2017年のブログです

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 日下紀子さんの『不在の臨床-心理療法における孤独とかなしみ』(2017・創元社)を読みました。

 日下さんの本は初めて読ませていただきましたが、少し難しかったものの、テーマが興味深く、一所懸命に読ませてもらいました。

 メインテーマは、心理療法における不在について、ということだと思いますが、それに伴うクライエントの孤独とかなしみ、そして、「待てる」ようになることの意味、などではないかと思います。

 日下さんはこれらのテーマを、ケースをもとにていねいに説明されています。

 日下さんは、まず、現代社会は、「待つ」ことができにくい社会になっていることを指摘し、フロイトさんの、いないいないばあー、やウィニコットさんの、ひとりでいる能力、などを挙げて、「待てる」ことの大切さを説明します。

 さらに、心理療法における、喪の作業、に言及し、かなしみを味わうことの大切さを指摘されます。

 そして、葛藤を葛藤として抱え、持ちこたえることで、心理的に成熟することを説明されます。

 その際、セラピストがふらふらになりながらも、なんとか生き延びること、これが重要だ、と指摘されています。

 かなしみを味わうこと、葛藤を抱えて生きること、なんとか生き延びること、などは、じーじもこれまで、いろんな場面で大切なことだと感じてきましたし、ブログの中でも少しは触れてきていると思いましたが、日下さんの本を読んで、これらが一本の線で結ばれてきたような印象を持ちました。

 まだまだ読みが甘いと思いますし、自分のケースとの照合も不十分だと思いますが、これからも実践を深めて、さらにこれらのテーマを考えていきたいと思いました。    (2017 記)

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 2019年冬の追記です

 今ごろになって気づきましたが、よく考えると、「待つこと」も中井久夫さんがシェイクスピアさんに見出した「わからないことに耐えること」につながりそうです。

 臨床の世界は奥が深いです。    (2019.2 記)

 

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北山修ほか編『語り・物語・精神療法』2004・日本評論社-神田橋條治さんの症例検討会ライブがすごいです

2024年05月18日 | 心理療法に学ぶ

 2023年5月のブログです

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 北山修・黒木俊秀さん編著の『語り・物語・精神療法』(2004・日本評論社)を久しぶりに再読する。

 2002年の第9回日本語臨床研究会の記録。

 日本語臨床研究会は、北山修さんや藤山直樹さんなどが参加されていた精神分析を日本語で研究しようという勉強会で、じーじも何回か参加させてもらったことがあるが、型にとらわれない、自由でなかなか刺激的な研究会だった。

 何回目だったかは忘れたが、甲南大学で行われた時に、中井久夫さんが講演をされたが、以前どこかにも書いたが、パワーポイントがお嫌いだという中井さんが、黒板にいっぱい板書をされてお話をされたのが印象的だったのを覚えている。

 今回もいろいろなプログラムがのっているが、圧巻なのが神田橋條治さんの症例検討会でも公開スーパーヴィジョン。

 すごい!のひと言だ。

 若手臨床家の解離の症例を神田橋さんがスーパーヴィジョンをするが、そのていねいな指導ぶりがすばらしい。

 治療者が考えたことや連想をしたことをていねいになぞり、それが患者との関係でどんなふうに展開しているのかを、一緒に検討する。

 神田橋さんの質問や連想や感想で、治療者の記憶や連想がすごく豊かになっていくさまがすばらしい。

 総じて、患者さんの様子をポジティブにとらえていく構えがすごいなあ、と感心させられる。

 やはり神田橋さんはただものではない、と思ってしまう。

 連休中にいいものを読ませていただいて、とても楽しい連休になった。     (2023.5 記)

 

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下坂幸三『摂食障害治療のこつ』2001・金剛出版-摂食障害とその家族に向き合う

2024年05月15日 | 心理療法に学ぶ

 2019年5月のブログです

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 下坂幸三さんの『摂食障害治療のこつ』(2001・金剛出版)を再読しました。

 先日、同じ下坂さんの『拒食と過食の心理-治療者のまなざし』(1999・岩波書店)を再読して、かなり勉強になったので、その続きです。

 この本もかなり久しぶりの再読。

 最近は摂食障害の患者さんにお会いすることがあまりないので、つい足が遠のいてしまいました。

 本書のほうが岩波本より2年後に出た本で、出版社も精神医学関係の会社からであり、少しだけ専門的かもしれませんが、基本はぶれていません。

 今回、印象に残ったことを、一つ、二つ。

 一つめは、繰り返しになりますが、面接論で、患者さんや家族の発言をなぞるように繰り返して、要約することの大切さ。

 このことはよく言われますし、たまたま、今読んでいるサリバンさんも同じことを強調していて、本当に重要な点だと思います。

 下坂さんの場合は家族面接をされますので、それを患者さんと家族の前で実践し、同意は無理でも、それぞれに確認をすることの大切さも述べられます。

 このように、それぞれの考えをていねいに聴いて要約し、みんなで確認することの重要性を下坂さんは、前書でも協調されていますが、本当に重要な点だと思います。

 じーじも家族面接で実行してみたことがありますが、特に、家族がこれまで言えなかったことを言えた、という経験をされることが多かったように思います。

 そして、下手をすると論争の場になってしまうこのような場で、治療者が治療者として生き残ることで、患者さんや家族の不安を受けとめることにもなると述べます。

 二つめは、面接のていねいさについて。

 たとえば、ものの見方が善悪に極端に分裂してしまう患者さんに、少しの反対面を確認し、患者さんの強迫性を崩すこと。

 原因より現象をていねいに語ってもらい、生身の姿を確認することで、やはり強迫性を崩すなど、現実を見据えて、互いに確認することの治療性を説きます。

 いずれも、治療現場で下坂さんが手探りで実践してこられた方法ですが、フロイトさんをご自分なりにていねいに読み解いて、実践されてきた重みが感じられます。

 空理空論でない、現場からの誠実な声に学ぶところがたくさんあります。

 さらに勉強を続けていきたいと思います。     (2019.5 記)

 

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下坂幸三『拒食と過食の心理-治療者のまなざし』1999・岩波書店-摂食障害と向き合う

2024年05月14日 | 心理療法に学ぶ

 2019年5月のブログです

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 下坂幸三さんの『拒食と過食の心理-治療者のまなざし』(1999・岩波書店)を再読しました。

 これもかなり久しぶりの再読。

 昔、家裁調査官の時に、万引きをした女の子が摂食障害の子で、対応に苦労した時に、下坂さんの本で勉強をしたことを思い出します。

 いわゆる不良少女とは違う真面目な女の子の非行で、非行というよりやはり精神的な病いとして理解する必要を感じたことがありました。

 以来、摂食障害はじーじの中で大切なテーマの一つですが、なかなか難しいです。

 この本もアンダーラインや付箋がいっぱいですが、どれくらいきちんと理解できているのかは心許ないですし、ましてやそれを心理療法の中でどれくらい実践できるのかについてはまだまだだな、と思ってしまいます。

 それでも、今回、印象に残ったことを一つ、二つ。

 一つめは、摂食障害と強迫症、境界例の関係。

 内心の不安から自分や周囲をコントロールしようとする心性ということで、これらの病いは似ているところがありそうです。

 完全か無、善か悪、白か黒、といった極端な考え方も共通しています。

 ひょっとすると少しだけ緊張感に満ちた家庭での、自分を守る手段の一つなのかもしれません。

 二つめは、上記と関係しますが、過食や拒食にも理由があるので、その理由、利益をていねいにきくこと、いわゆる、下坂さんのいう現象論が大切ということ。

 そして、患者さんの心的現実には安易にうなずかずに、冷静な確認が必要となるようです。

 三つめが、できれば家族同席面接で、親子、それぞれの言い分をていねいにきいて、それを言語的になぞり返して、相互に確認をすること、これが重要になるようです。

 いずれも、行なうのはなかなか難しいことで、訓練と実践が必要で、今後さらに勉強を重ねていきたいと思いました。    (2019.5 記)

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 2022年5月の追記です

 ここでも、思うことは、こころの成熟は、あいまいさに耐えること、白も黒も灰色もある世界を理解できるようになることなどが大切になりそうな気がします。    (2022.5 記)

 

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北山修ほか編『日本語臨床3「甘え」について考える』1999・星和書店-「甘え」の臨床に学ぶ

2024年05月12日 | 心理療法に学ぶ

 2020年5月のブログです

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 北山修ほか編『日本語臨床3「甘え」について考える』(1999・星和書店)をかなり久しぶりに読みました。

 土居さんの「甘え」理論を1997年の第4回日本語臨床研究会で討議をしたあとの論文集ですが、読むのはなぜか久しぶりになってしまいました(土居さん、北山さん、ごめんなさい)。

 例によって、付箋やアンダーラインがあるものの、記憶がほとんどなく、なんと藤山直樹さんも論文を書いていて、ラッキーでした(一回読んだはずなのに、ラッキーもないのですが…。藤山さん、ごめんなさい)。

 言い訳になりますが、人はやはりその時の実力に応じた読書しかできないのですね。

 さて、今回の実力(?)で、印象に残ったことを一つ、二つ。

 一つは、小此木啓吾さんの論文。

 小此木さんは土居さんより10歳後輩らしいのですが、土居さんの影響で小此木さんも精神分析を勉強をされたとのことで、「甘え」理論についても、土居さんのお人柄をからめて、ご紹介され、わかりやすいです。

 共通の症例の治療経験も述べられ、深い思索が示されています。

 次は、藤山さん。

 藤山さんは、「甘え」と「はにかみ」について、わかりやすく述べられています。

 提示された症例が、藤山さんの他の論文でも取り上げられていることに、途中で気づき、忘れん坊のじーじとしてはめずらしく症例を記憶していることに、感動しました(?)。

 藤山さんは、「はにかみ」が生じる時に、「甘え」が自覚できると述べられており、さらに、それらと「恥」や「秘密」との関係ついても論じていて、とてもいい論文です。

 それにしても、日本語臨床研究会のレベルの高さに驚きます。

 じーじはもうしばらく後の会から何回か参加させてもらったのですが、その頃も刺激的な議論がなされていた記憶があります。

 さらに、経験と思索を深めたいと思います。      (2020.5 記)

 

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川上範夫『ウィニコットがひらく豊かな心理臨床-「ほどよい関係性」に基づく実践体験論』2012・明石書店

2024年05月09日 | 心理療法に学ぶ

 2020年5月のブログです

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  川上範夫さんの『ウィニコットがひらく豊かな心理臨床-「ほどよい関係性」に基づく実践体験論』(2012・明石書店)を初めて読みました。

 川上さんの論文は、これまでにいくつか読ませていただいています。

 そのこまやかでていねいな実践を踏まえた論考にはすごく感心させられることが多かったのですが、今回、単行本を古本屋さんで手に入れることができました(こんないい本が品切れなのはもったいないことです)。

 すごい本です。

 川上さんは、ご自分のケースを紹介しながら、ウィニコットさんをとてもわかりやすく説明してくれていますが、それがすごいです。

 ウィニコットさんをこんなに深く理解して、説明されるかたはそういません。

 ひょっとすると、ウィニコットさんが表現できなかったことも説明されているような気もします。本当にすごいです。

 例によって、特に印象に残ったことを一つ、二つ。

 一つめは、遊ぶこと、二人でいながら一人、抱えること、などなどのウィニコットさんのアイデアが、ほどよい関係性、という川上さんの考え方とご自身のケースで、こまやかにわかりやすく説明されます。

 こんなにわかりやすいウィニコットさんの説明は初めてですし、さらに深い理解に誘われて刺激的です。

 二つめは、関係性、という考え方から、精神病や発達障碍などを説明されて、それがまたとてもわかりやすいこと。

 それだけでなく、母子関係や親子関係の理解にも広がって、さらには、時代の病いである不登校や非行、虐待などの理解にも進みます。

 このあたりは、乳児の関係性からはじまって、それがおとなや時代の関係性にまで広がっていて、視野が広いですし、理解が深いです。

 いい本に出会えたなと思います。

 今後、さらに、読み込んでいきたいと思います。    (2020.5 記)

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 2023年5月の追記です

 ウィニコットさんの言葉の中で印象深いものに、治療者の解釈は治療者の限界を示すため、というのがあります。

 どんな解釈にも限界があるということとともに、治療者が限界を見せることで、クライエントさんの自立をうながす側面があるのではないかと思います。

 治療者の言葉が、もし、いつもあまりに完璧過ぎると、クライエントさんの依存性を助長して、自立を阻害してしまうのだと思います。

 ほどよい関係性、ほどよい母親ということの一面を示しているように、じーじには感じられます。     (2023.5 記)

 

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松木邦裕ほか『摂食障害との出会いと挑戦-アンチマニュアル的鼎談』2014・岩崎学術出版社

2024年04月15日 | 心理療法に学ぶ

 2020年3月のブログです

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 松木邦裕・瀧井正人・鈴木智美『摂食障害との出会いと挑戦-アンチマニュアル的鼎談』(2014・岩崎学術出版社)を久しぶりに読みました。

 じーじにしては早めの再読、と思ったのですが、もう6年ぶりになるのですね。いかん、いかん(松木さん、ごめんなさい)。

 付箋がいっぱいだったので、少し整理をしながら読んだら、だいぶすっきりしました(?)。

 もっとも、本当に理解できているのかな?やや心配です。

 鼎談相手の瀧井さんは心療内科医、鈴木さんは精神分析医と3人それぞれの立場で治療に従事しておられますが、3人とも、摂食障害は食の病いというより、こころの病い、という理解で一致しているようです。

 そうなのです。摂食障害は食の病いとして表現されますが、こころを深く理解していくと、生きていることの不安を見つめられずに、不安を感じまいとして行動でまぎらわしている病い、として理解されておられます。

 たしかに、体重は比較的コントロールしやすいので、不安を見つめないで、万能感を保持しやすいのかもしれません。

 摂食障害の人に、万引きなどの問題行動が伴いやすいこともそれを証明しているようです。

 しかも、世の中、DSMなどのマニュアルが流行していて、こころの中を理解するより、表面の行動や症状のみで治療が行われているので、問題が深刻化しやすい、と述べられています。

 やはり、こころの問題が重要なんですね。

 成長にしたがって出会う抑うつ不安といかに付き合っていくのか、周りがどれくらいサポートできるのか、が大切なようです。

 なかなかいい本ですので、もっともっと経験を積んで、学びを深めていきたいと思いました。      (2020.3 記)

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 2022年9月の追記です

 今、読み返してみると、ここでも、あいまいさに耐えること、わからないことに耐えることの大切さがポイントになっているようです。    (2022.9 記)

 

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藤山直樹・伊藤絵美『認知行動療法と精神分析が出会ったら-こころの臨床達人対談』2016・岩崎学術出版社

2024年04月09日 | 心理療法に学ぶ

 2016年のブログです

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 藤山直樹さんと伊藤絵美さんの『認知行動療法と精神分析が出会ったら-こころの臨床達人対談』(2016・岩崎学術出版社)を読みました。

 とてもおもしろかったです。

 そして、とても勉強になりました。

 この中で藤山さんが精神分析のエッセンスを講義されているのですが、おそらくじーじが今まで読んだ精神分析の説明の中で、一番わかりやすくて、かつ、一番深いものではないかと思います。

 もちろん、それは藤山さんなりの「精神分析」なのですが、だからこそ、藤山さんファンのじーじには宝物のような講義でした。 

 ここで、じーじがうれしかったのは、治療者がたとえ失敗をしても厳然と「そこにいること」の大切さが述べられていて、このところ、このことを考え続けているじーじにはとても勉強になりました。

 そして、失敗は必須のものではないか、とか、必然のものではないか、との指摘は今後の大きなテーマだな、と思いました。

 考えてみれば、ウィ二コットさんもそのようなことを述べていることを思い出しました。

 もっと勉強が必要です。

 藤山さんの精神分析への熱い思いは、まだまだ精神分析の初心者のじーじのこころにもかなり深く響いてきて、今後も何度も読み返して、理解を深めたいと思いました。

 また、伊藤さんとの対談も面白く、認知行動療法との異同を考えながら、心理療法全般のことを考えました。

 二人のこころの臨床家の対談にいろいろと触発をされて、もっともっと勉強をし、実践を積み重ねていきたいなと思いました。     (2016 記)

 

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神田橋條治・滝口俊子『不確かさの中を-わたしの心理療法を求めて』2002・創元社

2024年04月07日 | 心理療法に学ぶ

 2019年のブログです

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 神田橋條治さんと滝口俊子さんの対談『不確かさの中を-わたしの心理療法を求めて』(2002・創元社)を再読しました。

 これもずいぶん久しぶりの本で、アンダーラインがあまりなかったのも、先日の下坂さんの本と同じです。

 しかし、この本も再読をしてみるとすごい本で、当時のわたしは本当に何を読んでいたんだろうと、反省すること大です。

 良く解釈をすれば、この20年ほどの間に、これらの本が少しは理解をできる程度に成長してきた、といえるのかもしれませんが、それにしてもお粗末です。

 例によって、印象に残ったことを一つ、二つ。

 一つめは、これも最近よく目にしますが、部分の中に全体がある、という考え方。

 神田橋さんは、フラクタル理論から思いつかれたとのことですが、精神分析ではいろんな方が同じような趣旨のことを言われます。 

 だからこそ、今、ここで、の重要性が強調されることになります。

 二つめは、これもよく指摘されますが、現在によって過去の記憶が変わるということ。

 ゆえに、現在を充実させられれば、過去の記憶も充実したもの、意味のあるものに変化をする可能性があるということで、心理療法の意味付けにもなりそうです。

 こういう大切なお話が、神田さんと滝口さんの人生を振り返りながら話されますので、すごい読み物になっています。

 お二人とも、ご自分の信ずる道をていねいに生きてこられた方なので、その語りには重みと説得力があります。

 特に、神田橋さんのお話は、やや毒舌気味とところがありますので、痛快です。

 その神田橋さんでも、中井久夫さんの天才ぶりには圧倒されっぱなしのようで、中井さんがいかにすごい人なのかがわかります。

 この本も読んで損をしないいい本だと思います。

 こちらもまた数年内に再読をぜひしたいなと思いました。     (2019.4 記)

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 2022年2月の追記です

 よく考えると、本書の題名である、不確かの中を、という言葉も、わからないことやあいまいさに耐えることの大切さ、と関係しているように思います。     (2022.2 記)

 

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下坂幸三『心理療法のひろがり』2007・金剛出版-ていねいな心理面接に学ぶ

2024年03月16日 | 心理療法に学ぶ

 2011年のブログです

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 このところ、何だか自分の面接がやや雑になっていたような気がして、下坂幸三さんの『精神療法の条件』(1988・金剛出版)や『心理療法の常識』(1998・金剛出版)、『フロイト再読』(2007・金剛出版)、『心理療法のひろがり』(2007・金剛出版)、そして、成田善弘さんの『新訂増補精神療法の第一歩』(2007・金剛出版)などを再読しました。

 少し修正ができたような感じがしています。

 やはり時々、振り返りが必要なようです。

 特に、下坂さんの「家族面接」の技法は参考になります。

 じーじも同席面接をする時には、下坂さんの技法を真似て実践をしているのですが、まだまだ上手にはできません。

 しかし、時々、手ごたえのある面接ができることもあるような気がしています。

 もっともっと面接の質を上げていきたいなと思っています。    (2011記)

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 2019年冬の追記です

 ひさしぶりに下坂さんの『心理療法のひろがり』を再読をしました。 

 この間、1回くらいは読んでいるような気もしますが、例によって(?)記憶がはっきりしません。付箋は3種類くらいが貼られているのですが…。

 なお、上記の本のうち『フロイト再読』も再読をして、その感想は先日、ブログに書きましたので、よかったら読んでみてください(理論、言葉、心的現実などについて書きました)。

 今回、印象に残ったことを二つ、三つ。

 一つめは、どこかにも書きましたが、「なぞる」ことの大切さ。

 クライエントや家族の言うことを繰り返し、あるいは、要約をして返して、確認をすることの重要性です。

 じーじはこれがおろそかになりやすく、面接が上滑りしやすいなあ、と改めて反省をしました。

 二つめは、やはり言葉にこだわること。

 その人が使っている言葉の意味するところを徹底的に明らかにすることが心理療法に繋がると説きます。

 三つめが、少しの改善の積み重ねということ。

 心理療法では、ホームランを狙わずに、ヒットを繋げていくことが大切なようで、じーじはここでイチロー選手を思い浮かべました。

 いずれも、最近、じーじの面接で少し努力が不十分になっていたように思いましたので、さらに研鑽を深めていきたいと思いました。    (2019.2 記)

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 2022年の追記です

 今考えると、クライエントさんが話されることを「なぞる」ことがうまくいく時には、クライエントさんが使っている「言葉」に込められている意味が次第にわかってくることと重なっているような気がします。     (2022.2 記)

 

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