マリリンの映画日記

エッセイスト瀧澤陽子の映画ブログです!新作映画からオールドムービーまで幅広く綴っております。

『許されざる者』

2013年09月04日 | 映画

『許されざる者』

熟年世代の誰もが、このタイトルで思い出すのが、クリント・イーストウッド監督主演の『許されざる者』(1992)『Unforgiven』だろう。

日本でそれをリメイクする?いったいどんな話になるのだろうか?イーストウッド監督はアメリカ西部劇の極意を描いた。日本では、どの時代を舞台にして、どんな人間を主役にするのだろうか?

あまりにも崇高な作品のリメイクは危険な企みである。例を上げるなら、「華麗なる賭け」「太陽がいっぱい」という名作をリメイクしたが、悲しいかなオリジナルを超えることができなかった。『華麗なる賭け』では、スティーブ・マックイーンに勝る俳優はいない。そして、『太陽がいっぱい』では、誰がアラン・ドロンを抜くことができようか!

そのくらい『許されざる者』では、クリント・イーストウッド、モーガン・フリーマン、ジーン・ハックマンの存在感が強い。

しかし。

さすがに、世界のケン・ワタナベ。見事にクリント・イーストウッドを演じてくれました。悪役保安官になったジーン・ハックマンを佐藤浩市が見事に演じてくれました。イーストウッドの竹馬の友モーガン・フリーマンを柄本明が見事に演じてくれました。

時代設定が明治維新の北海道というのも違和感がなく、維新の影に隠れたアイヌ問題にメスを入れ、女郎たちの運命の悲しさを鮮明に描き、私は、アメリカ版よりも優れているのではないかと思った。

『フラガール』『悪人』という名作を撮った李相日監督。39歳という若さで、イーストウッド監督の哲学を見事に踏襲し、李相日版オリジナルの斬新な『許されざる者』を作り上げてくれた。

9月13日から公開

【監督】李相日

【出演】渡辺 謙  佐藤浩市 柄本明 柳楽優弥 小池栄子