よか余暇ウォーク

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帚木蓬生著「三たびの海峡」をよんで。

2010-10-22 20:07:27 | 余暇あれこれ

こんばんは。

昨日は所属する「読書会」の例会でした。今月の課題の本は「三たびの海峡」

(帚木蓬生著:新潮文庫)でした。あらすじは、主人公の韓国人が日本人によって

強制連行され(一度目の海峡)福岡県にあった炭鉱で強制労働させられる。

その強制労働から「脱走」し日本女性と結婚し韓国に戻ります。(二度目の海峡)

そしてそれから約50年後に、現在の満足する韓国での生活を捨て、再度日本へ

渡ります(三たびの海峡)。何故今の何不自由ない生活を捨ててまでして、苦しい

辛い、悲しい思い出しかない日本へ来るのか?また、何故「三たび」で韓国へ帰る

「四たびの海峡」が無いのか? そんな疑問を抱かせながら、主人公の日本へ来て

からの現在と、過去の回想録で展開されて行きます。

舞台は福岡県の或る炭鉱です。私も高校時代まで炭鉱の、いわゆる「炭住長屋」で

暮らしましたので、情景が鮮やかに(^_^;)イメージでき、感情移住がスムーズでした。

この著書の文章に韓国人が日本を評して「他人の土地に無断で入り込み、いいよ

に荒らし回り、あげくの果てには人間狩りをして自国に連れ去り、奴隷同様に

こき使う。それがこの国のやり口だ」と発言する場面があります。私はこの部分

を読んでかなりショックでした。「嘘だ!日本人はそんなあくどいことをする人間

じゃない!」

嘘であって欲しい、と叫びたい気持ちでした。

もう一か所、今までの私の感情と異なる部分がありました。それは「ボタ山は資本

家どもの排泄物だよ」の台詞です。私は毎日「ボタ山」を目にして育ちました。

ですから現在故郷に足を踏み入れ「ボタ山」を見ると、「選炭場」で働いていた「おふく

ろ」を連想しますし、当時(小学時代)の活気にあふれた「炭鉱」を思い浮かべます。

私にとっては華やかな「復興」のイメージでした。それがこの小説に出てくる、強制労

働者には上記のように「ボタ山は資本家どもの排泄物だよ」と唾棄されるべきものと

して映っていたのですね。これも少なからぬショックでした。同じものでも環境によっ

て違ったものに見えるのですね。考えさせられました。

この小説は今までの私を「変えた」と言うことで、私にとっては面白い作品でした。

長編ですが私の好きな「サスペンス」風に展開され、(^_^;)一気に読みました。(^u^)

お勧めです。(*^^)v (^.^)/~~~