ただ生きるのではなく、よく生きる

自然の法則をとらえ、善(よ)く生きるために役に立つ情報を探して考えてみる

衝動と抑制の調和を保つ

2017-01-28 19:05:17 | 知恵の情報
宇宙の現象は、すべてただ、発動力と制止力とが、つねに平衡状態にあるときのみ、
調和が保たれている。天体にも物質にも、引力と斥力とがあって、その構造が
保たれ、心臓や消化器にも、亢奮神経と制止神経とが、相対峙し、筋肉には、
拮抗筋の相対力が作用して、はじめてそこに、適切な行動が行われている。
われわれの精神現象も、けっしてこの法則から離れることはできない。私は、
とくにこれを精神の拮抗作用と名づけている。欲望の衝動に対しては、常ねに
これに対する恐怖・警戒という抑制作用が相対している。

欲望の衝動ばかりが強くて、抑制の力が乏しければ、無恥・悪徳者・ならず者と
なり、欲望が乏しくて、抑制ばかりが強ければ、無為無能・酔生夢死の人間として
終わる。

この衝動と抑制とが、よく調和を保つときに、はじめてその人は、善良な人格者
であり、その衝動が強烈で、したがってその抑制の剛健な人が、ますます大なる
人格者である。

─『現代に生きる森田正馬のことば Ⅱ新しい自分で生きる』生活の発見会編 白洋社
  より

■調和のヒントのようなものがこう書かれている・・・
「これは心が自然のままで白紙の状態になるとできる。すべて外界と肉体との釣り合い・
調和によってできることである。調和ということは、たとえば歩くときに、静かに足を
運ぶときには、両方の腕も、静かに振り、走るときには、急速に振っていくようなもの
である。もし拙なる功利主義で、少しでも労を省くために、腕を少しも動かさないで、
足ばかりで走るときは、かえって能率はあがらないようになるのである。」
いつもどうやったら、バランスがとれるか工夫しつづけながら、その調和を求めて
いくことが大切だろう。中道をとるというのも工夫の一つ。中道の場合は、ただ、
真ん中をとるのではなく、人としての生き方を理解し、それに合わせていくこと
なので、注意してみる。