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司馬遼太郎 『坂の上の雲』──民族の存亡のかかっている戦争を、日本人は国民的気概をもって戦った

2017-01-23 17:47:59 | 知恵の情報
司馬遼太郎『坂の上の雲』は、幾多の艱難(坂)をのりこえて近代的な国民国家
を実現するという理想(雲)のために、為政者、国民ともに情熱をもやして生きていた
明治時代の日本人の姿を描いています。

小説は、松山藩の徒士(かち)、秋山好古、真之兄弟と正岡子規という三人の青年
が新しい時代に夢をいだいて生きようとしたその姿を描くことからはじまります。

ところが、たちまちその舞台は広がり、世界の片田舎にある小国日本が弱肉強食
の時代を生きのびるために知恵をしぼり、汗をながした日露戦争という一大ドラマが
展開されます。それは小説というよりは、司馬史観をベースにした歴史ノンフィクション
といったほうが適切です。

幕末維新当時の世界は、帝国主義国家として生きていくか、帝国主義国家に身を
屈して植民地として生きていくか、二つに一つの選択しかない世界でした。明治の
日本は、前者の道を歩むlことを決意しました。それは今日の善悪観念で裁くことの
できない、歴史的必然の道でした。

幕末から明治期の日本にとっての大きな脅威は、北方からの侵略者であるロシア
帝国でした。二十世紀初めのロシア帝国は、すでにシベリアと沿海州を飲み込み、
満州を制圧下に置き、朝鮮半島に進出しつつありました。しかも朝鮮半島の支配者、
李王朝には、自国を守る能力はありませんでした。朝鮮半島を他の強国にとられると、
日本の安全は確保できないというのが、当時の日本人の常識でした。日本は、祖国
防衛のために日露戦争をはじめました。

司馬は、民族の存亡のかかっているこの戦争を、日本人が国民的気概をもって戦った
さまを、史実にもとづき描写しています。その一つの例を旅順港の閉塞作戦に参加
する志願者七十七人を募ったときの様子から紹介します。

「たちまち二千人が応募し、有馬や広瀬をおどろかした。なかには血書をして応募
する者もいた。『このいくさは勝つ』と広瀬は真之にいった。広瀬のいうには、自分
たち士官は年少のころから志願し、礼遇をうけ、戦いで死ぬことを目的としてきたが、
兵は外国でいうシヴィリアンの出身である。それらがすすんで志願したということは、
この戦争が国民戦争であることの証拠である」

列強は、この戦争は国力の上で圧倒的な劣勢にある日本が敗れるだろうと予測
しました。」その予想を覆して日本が勝利したのには、いろいろ要因がありました。
幕末維新期から日清戦争期まで、いくたびも修羅場をくぐってきた伊藤博文、児玉
源太郎、東郷平八郎ら、したたかな人物たちが、政府や軍の首脳にいたことも、
そのひとつでした。為政者は冷静な外交をして、強国イギリスやアメリカを味方に
つけ、日本がロシアと対等の条件で戦うことができるようにしました。軍人たちは、
兵力の上ではロシア軍に劣っていましたが、それを戦略と戦術と勇敢さで巧みに
補い、いくさを優勢のうちにすすめました。

司馬は、明治という時代がすlべての日本人が国民国家の誕生を素直に喜び、
その経営に献身的参加した「感動の時代」であったことを、現代の日本人に伝え
ようとしています。

また、同時に、現代の人が、明治人がもってきた国家意識(公意識)を失い、
国家に無関心の生き方を善しとすることによって「無;感動と無秩序の時代」を
招きよせていることを、司馬は憂えているように思います。(上原卓)

─『教科書が教えない歴史④』藤岡信勝 自由主義史観研究会 産経新聞社より

 

■第二次大戦後、GHQによって、日本精神を持たせないような政策がなされた。
3S政策などは、その例だ。戦前の武道の道場も閉鎖された。木刀禁止も命じられた。
GHQが去ったあとは米国の策略で日教組を育て、日本精神を育てる教育をさせない
ようにしてきた。修身の廃止などもそれにのっとっているだろう・・・
修身教科書をよく読んでみれば、軍国主義など関係ない。日本のよき人間教育が
垣間見える。
日本人は米国の策略で日本人としての誇り、気概をなくそうとしていたが、そうは
いかない。司馬遼太郎のような明治から今までの日本人の精神を思い出させる
ような小説群が出てきた。彼の役目は、大変なものだ。現代になると武道の本も
道場もまた、開くようになり、日本武道もよみがえってきている。日本精神も時代
小説や修身などを今一度考えてみたい。


「日本精神」=「勤勉で正直で約束を守る」事を意味する。明かき、直き心と同じだ。

「3S政策」(さんエスせいさく)とは、Screen(スクリーン=映画)、Sport
(スポーツ=プロスポーツ)、Sex(セックス=性産業)を用いて大衆の関心を
政治に向けさせないようにする愚民政策であり、太平洋戦争後、GHQによって
行われた日本人にとっては最悪な政策のことである。大衆を支配するために
効率的に使われているのがこれです。