紫微の乱読部屋 at blog

活字中毒患者の乱読っぷりを披露。主にミステリーを中心に紹介します。

「いま、会いにゆきます」市川拓司

2004年10月26日 | あ行の作家
今回読んだ5冊の中で、いちばんのヒットがこれ。
前回読んだ「世界の中心で、愛をさけぶ」よりも、もっと純愛。
以前読んだ「四日間の奇蹟」のように、文章だけが美しいのではなく、
言葉の一つひとつが、そして物語全体が、淡いのだけれど
キラキラ輝き、とても美しい世界を形成しています。

息子に“たっくん”と呼ばれる29歳のシングルファーザーは、
たくさんの不具合を抱えていた。澪が亡くなってから1年。
父子はでも、とても一生懸命に毎日を過ごしているのです。

この父親役を中村獅童が演じるんですね、映画
なんかぴったりな気がします。で、澪は竹内結子。
どの登場人物たちも優しさと愛情に溢れていて、
巧はそれらに囲まれていることを実感しながら、
着実に毎日を、彼女のためだけに生きている。
そういう“愛”を感じずにはいられない作品ですね。
もうたまりません(笑)。
これは、いろんな人に勧めたいなあ。

いま、会いにゆきます
市川拓司著出版社 小学館発売日 2003.03価格  ¥ 1,575(¥ 1,500)ISBN  409386117Xbk1で詳しく見る オンライン書店bk1

「アフターダーク」村上春樹

2004年10月26日 | ま行の作家
さて困ったのは、村上春樹です(笑)。
高校生の頃、「ノルウェイの森」を借りて読んだのですが、
最後まで読み通すのがやっと。物語を追ってはいるのですが、
ずっと“何か”が起きるのを待っていたのに肩透かしをくらった
状態で、「だから何なの?」というのが率直な感想でした。
あの頃はまだ若かったから。でも、今なら読めるかもしれない。
なんて思っていたんですけどね。
それで今回、また村上春樹を手にする機会ができ、
実は期待を込めて、楽しみにして読み始めたんです。
が。結果はやっぱり同じでしたね(笑)。
「だから何なの」「結局、何?」って感じ。
たぶんこれって、私に村上春樹を読み解く力がないんですよねえ。

アフターダーク=日没後。第三者が語る、とある街の夜のできごと。
ひとり街で夜を明かそうとするマリ。一晩中バンドの練習をする高橋。
ラブホのマネージャーと従業員。売春する女と、客の男、元締めの男。
そして…。眠ってしまえば何もないはずの夜の世界。
そこで繰り広げられる、ある物語。

村上春樹は今年、作家生活25周年を迎えるそうです。
ここからまた、新しい小説の世界へ向かおうとしているのだそうです。
でも、今まで彼がどこにいて、どこを通ってどこへ行くのか、
理解できない自分が悲しいなあ(^^;)。

アフターダーク
村上春樹著出版社 講談社発売日 2004.09.07価格  ¥ 1,470(¥ 1,400)ISBN  4062125366bk1で詳しく見る オンライン書店bk1



「アフターマン 人類滅亡後の地球を支配する動物世界」ドゥーガル・ディクソン

2004年10月26日 | た行の作家
前々から気にはなっていたのですよ、ちょっと特異な表紙イラスト。
それは、人類滅亡後、5000万年後の世界で闊歩する
“進化”した動物。要は空想の図鑑なのですが(笑)。
しかしながら、これがまた、ものすごく説得力がある。
というのも、想像は想像でも、ちゃんと進化学や生態学の
基本原理に則ったモノなので、ちゃんとした理由があるです。

はじめの方には、地球の成り立ちから生物の進化論まで、
きっちりと、でも分かりやすく説明されていて、これを踏まえからでないと、
この“空想の図鑑”の面白さが半減してしまいます。
例えば、同じ種が環境などによって少しずつ違った進化を見せる場合が
ありますよね。で、隣り合う亜種同士は交配可能なんだそうです。
が、その両端は交配できない。少しずつの変化が両端では
大きな変化となって、同じ亜種でも遺伝上違う生物となってしまうのです。
ほかにも、イルカやサメは同じような流線型の形をしているけれども、
海棲動物から進化したのはサメだけで、イルカはほ乳類から進化している、と。
こういうのを収斂進化というのだそうです。
学校の勉強はまったく面白くなかったんですけど、こうやって
書かれてあるとどうして面白いんでしょうね(笑)。
学校の教科書も、もっと面白く書けばいいのに、と思ってしまいます。

人類滅亡後5000万年後の地球では、プレートが移動し、大陸の形が
変わっています。人間が破壊しつくした自然もなんとか回復した様子で、
そこにはその時代に合った生態系が作られているのです。
例えば、温帯の森林や草原では、人類時代に繁栄していた有蹄類は
人類とともに絶滅。というのも、家畜化されたヤギやウシなどの
有蹄類は、大きな環境の変化に耐えることができなかったんですね。
そこへ取って代わったのは、人類時代は作物を荒し駆除しても
しきれなかったウサギ類。環境の変化に柔軟に対応し、繁殖力も
強かったので、場所や気候に合わせて都合よく進化できたんですね。
そういった草食動物を捕食する肉食動物には、齧歯類が進化します。
簡単に言えばネズミの類いですね。これも、駆除対象動物。
常日ごろから厳しい環境におかれているモノだけが生き残れる、
と、これも自然の重要な法則なのだと、改めて気付かされます。
ちなみに表紙のイラストは、コウモリが進化した「ナイト・ストーカー」。
ハワイの辺りに誕生した新しいしまに、最初にコウモリが飛来したんですね。
天敵もおらず、安定した生活を送るうちに飛ばなくなり、翼は退化。
しかし昔のなごりで前脚が発達し、モノなどを掴んでいた後ろ足が、
手の変わりをするようになりました。夜行性なので目は退化し、
超音波を受ける耳と鼻葉が大きく発達。爬虫類だろうがほ乳類だろうが、
見境なしに遅う凶暴な動物となりました。

こんな感じで、地球全体の動物を、進化の過程などを含めて
丁寧に解説してます。添えられたイラストが目を引きますね。
子供の頃、飽きずにずっと図鑑を開いていたころを思い出します(^-^)。

アフターマン
ドゥーガル・ディクソン著・今泉吉典監訳出版社 ダイヤモンド社発売日 2004.07価格  ¥ 2,520(¥ 2,400)ISBN  4478860467bk1で詳しく見る オンライン書店bk1

「頭がいい人、悪い人の話し方」樋口裕一

2004年10月26日 | は行の作家
実は、実用書の類いがあまり好きではありません。
興味のあるモノでも、最終的には文句をつけてしまうので(笑)。
なんというか、“当たり前”のことしか書かれてなかったり
するんですよね。でも。そういうモノが実用書なんだと
最近気付きました。“当たり前”のことでもちゃんと本に書いて
もらわないと、学べなくなっている、ということもあるんでしょうか。
(ま、できる・できない、というのは別問題なんですけどね)

で、これです。著者は長く小論文の添削をしてきた方だそうで、
文章と話すことの共通項を見出した、ということだそうです。
確かに、話し方というのはとても大切なことだと思います。
私の場合、極力気を付けてはいるんですが、ついつい、
人の先回りをしてしまうクセがあるんですね。友達なんかだと
平気ですけど、仕事関係の方と話すときはホント気をつけないと、
とても失礼なことになってしまいかねません。
ま、これは、自分で気付いていることで、でもほかに、自分の
気付いていないクセがあるかもしれない、と思うと恐ろしい。

本書は、愚かな話し方の例を挙げ、その傾向と対策を紹介。
しかしながら、愚かな話し方をしている人は、その自覚がないのが
問題なわけで(笑)、自覚しないと治らないもんですよね。
本書を読んで気付く人っていうのは、多分、普段から話し方に
気を使う人で、だから読まなくてもあまり問題がなかったりしますが、
あなたこそ読んでくれ! という人に限って、決して読まない(笑)。
結局さっきの「キッパリ!」と同じだ。
世の中うまくできてるねー(笑)。

頭がいい人、悪い人の話し方(PHP新書 305)
樋口裕一著出版社 PHP研究所発売日 2004.07価格  ¥ 750(¥ 714)ISBN  4569635458bk1で詳しく見る オンライン書店bk1



「キッパリ! たった5分間で自分を変える方法」上大岡トメ

2004年10月26日 | か行の作家
たった5分で自分が変わるわけがない(笑)。
でも、変えようとする気持ちとその努力はとても大切なわけで、
そこへたどり着くちょっとした“きっかけ”を与えてくれます。

全部で60項目あるわけですが、どれもカンタン。
しかーし。それができる人ははなからこういった本は読まないんだなあ(笑)。
こうう本を買う人っていうのは、努力しなきゃと思いつつ、
いつも思うばっかりで結局何もできない、という私みたいな人ばかり。
でも、大切なのは“心がけ”です、きっと。
各項目にチェック欄がついていて、巻末にはチェックリストも
付いているので、テキスト好きな方にはいいんじゃないでしょうか。

キッパリ!
上大岡トメ著出版社 幻冬舎発売日 2004.07価格  ¥ 1,260(¥ 1,200)ISBN  4344006542bk1で詳しく見る オンライン書店bk1