紫微の乱読部屋 at blog

活字中毒患者の乱読っぷりを披露。主にミステリーを中心に紹介します。

「超麺通団2 団長の事件簿「うどんの人」の巻」田尾和俊

2005年02月17日 | その他
“ハムの人”みたいに、“うどんの人”と呼ばれる田尾さん(笑)。
帯には、「笑いネタ満載で展開する、超うどんスペクタクル」と。
…もう、何がなんだか分かりませんが(笑)。
うどんとお笑い、どこがリンクするのか。不思議でしょう?
でも、田尾さんという人を知っている香川県民ならば、
誰も不思議には思わないことなのです(笑)。
その辺を順序だてて解説してくれているのが、本書(たぶん(笑))。

今のこの讃岐うどんブームを語るにあたって、
まず押さえておくべきところは、このブームの火付け役と
なった、田尾さんの人となりでしょう。どういう人が、
どういう風に、いち地方の名物でしかないものを全国的に
広がるブームにまでもっていったのか。気になりますね。
その基本となったのが「笑いの文化人講座」です。
“タウン情報”という全国的にネットワークされた情報誌が
あるのをご存知でしょうか。「タウン情報かがわ」は、
とある会社のもくろみがあり、またある種必然的に、
田尾さんを編集長として創刊されました。そして、この
雑誌の中の一つのコーナーとして生まれたのが、読者からの
投稿を掲載する「笑いの文化人講座」。それだけをみると、
どこにでもある普通のコーナーなのですが、そこには大きな
企みがあったのです。…詳しくは本を読んでね(笑)。
内輪うけのようなところも見られますが、きっとこの本を
読む方々はその辺まで分かっている人ばかりだと思われるので、
個人的にはほとんど心配はしてません(笑)。

昔から田尾さんに親しんでいる人なら、今のブームも、
田尾さんが大学の教授になってしまったことにも、
なんの疑問もないと思います。だって、それなりのことを
してきたんだもの。今も、もっと先を見つめて、新しいことを
しかけているはずです。次は何を出してくれるんだろう。
その辺、「超麺通団3」で書いてくれるのではないかと、
期待してたりして。たぶん、出るさ(笑)。


「超麺通団2 団長の事件簿「うどんの人」の巻」田尾和俊(西日本出版社)

「カラー版 古代エジプト人の世界-壁画とヒエログリフを読む」村治笙子

2005年01月25日 | その他
読みながら、さんざん文句を言ったので(笑)、
ここで改めて書く必要もないかと思いつつ。
でも先日、エジプト関連でとても嬉しいニュースがあったことだし、
それも絡めてちょっと書いてみようかと思います。

先日、エジプトで発掘調査をしている早稲田隊が、
未盗掘のミイラ(この表現おかしくない?)を発見しました。
ミイラは中王国時代のもの。王ではないけれども、
なかなか位の高い人ではないか、という報告でした。
確か、早稲田隊はカエムワセトの神殿及び墓を見つけるべく、
調査をしていたと記憶してます。カエムワセトは
ラムセス2世の第4王子なので、新王国時代のはず。
時代も違うし、どういういきさつで発見されたのかなど、
詳しい話を聞きたいと思っているのですが、あまりニュースなどでも
取り上げられていないのがとても不思議。

とまあ、一口に「古代エジプト」といっても、
ナイル川を統制しはじめた古王国時代からはじまって、
クレオパトラの末期王国時代まで、約3,000年あるんですね。
それをこんな薄い1冊でまとめようなんて、どだい無理な話ですって。
壁画とヒエログリフから読む、ということですが、
現在残っている、そのヒエログリフが刻まれた壁画というのは、
ほとんどがラムセス2世の時代に作られたものです。
そう。新王国時代の第19王朝期のことですね。
それだけを取り上げて、“古代エジプト人の世界”なんていうのは
いかがなものかと。しかも、本書のどこにもそんな注意書きは
ないわけですよ。初めて古代エジプトに触れる人がこれを見ると、
勘違いしますね、きっと。大袈裟にいってしまえば、ここに
描かれていることが古代エジプトのすべてだ、と思われても仕方ない。
…その辺をどう考えているんでしょうね。
だからせめて、メインタイトルとサブタイトルを逆にすればよかったのに。

「壁画とヒエログリフから読む古代エジプト人の世界」

ね。これなら問題ないさ。間違いじゃないもんね。
逆にこの方が、一つの時代に特化して説明できると思いませんか。
新王国時代の死生観、とか、第19王朝期の庶民の生活、とか。
ホントはヒエログリフだって、古いものと新しいものでは
違うと思うんですよね。だって、日本語ですらそうなんだもん。
壁画だって、時代によっては技法なんかが違うわけだし。
そういえば、アマルナ芸術に関しては触れてなかったなあ。
古代エジプト3,000年の歴史にあって、あんなに特徴的な時代なのに。

せっかくカラーなのに、岩波新書なのに。
もったいないなあ。というのが、正直な感想。


「カラー版 古代エジプト人の世界-壁画とヒエログリフを読む」村治笙子

「大極宮3 コゼニ好きの野望編」大沢在昌・京極夏彦・宮部みゆき

2005年01月14日 | その他
毎週「週間大極宮」を読んでいるので、
わざわざ買う必要もないかと思うのですが、
3人の対談(雑談?)とか、書き下ろし短編とか
とてもおいしいおまけがついているのです。
一度読んでいるのですが、3人のコメントと合わせて読むと
より一層楽しめます。しかもコメント偏ってるし(笑)。

今回、私がいちばん期待していたのは、書き下ろし短編。
ショートショートでもいい、とか思っていたのですが、
小気味よく裏切られました(笑)。
なんですか、新聞の連載小説風のリレー小説で、
しかも大沢さんが第110回、宮部が120回、京極が130回、
という(直木賞受賞の回と合わせてあるんですね)飛石状態。
あらすじとかストーリーとか関係なく、
雰囲気で勝手気ままに楽しみました、という風情でございました。
…3人が3人とも楽しんで書いたんだなあ、
というのが伝わったからいいんだけどさ。
ちゃんとした“作品”を期待していた私が間違ってました(笑)。


大極宮 3 コゼニ好きの野望篇(角川文庫)
大沢在昌〔著〕・京極夏彦〔著〕・宮部みゆき〔著〕

出版社 角川書店
発売日 2004.11
価格  ¥ 620(¥ 590)
ISBN  4043611064

bk1で詳しく見る オンライン書店bk1



「おとなを休もう」石川文子編

2004年11月30日 | その他
小学3・4年生の国語の教科書に掲載された作品
すべての中から、掲載回数の多いものを中心に収録。
帯に椎名誠の言葉もあって、なかなかそそるんですけどね。
残念なことに、「ごんぎつね」以外まったく記憶がない(笑)。
「てぶくろをかいに」が、かろうじて記憶にあるくらい。
もちろん「もちもちの木」という作品は知ってますが、
それは図書館で絵本を見たか、NHKで見たか(笑)。
私の記憶にないだけなのか、やっぱり田舎が迫害されていたのか(違)。

「チワンのにしき」「サーカスのライオン」「青銅のライオン」
などは、タイトルは知ってます。なんとなく内容も知ってます。
やっぱりどれも、良い作品ですよ。小さい頃に触れるべき
作品だと思いますが、でも、やっぱり、大きくなってから
再度触れるべき作品だと、強く思いました。
子供心に“何か”を感じても、それって案外長続きしません(笑)。
折に触れ、何度か触れているうちに、しっかりと心に
“何か”が残るのではないかと。…私だけ?(^^;)

一つ残念なのは、添えられた絵がどうにも下手すぎ(笑)。
せっかくいい作品なのに、心得のない人が仕方なく描きました、
という挿し絵なんですよね。もうちょっとましな絵はなかったんかい。


おとなを休もう
石川文子編

出版社 フロネーシス桜蔭社
発売日 2003.08
価格  ¥ 1,470(¥ 1,400)
ISBN  4896107349

bk1で詳しく見る オンライン書店bk1

「堕天使殺人事件」新世紀「謎」倶楽部

2004年11月08日 | その他
実は初めて手にとります、新世紀「謎」倶楽部。
しんせいき「みすてりー」くらぶ、と読むんですね。
二階堂黎人、柴田よしき、北森鴻、篠田真由美、村瀬継弥、
歌野晶午、西澤保彦、小森健太朗、谺健二、愛川晶、芦辺拓。
人気のミステリー作家11人が勢ぞろいしました。前の人が何を
書いたかは、手元にもらうまでまったく分からないのだそうです。
前半の人はネタふりし放題だし、後半の人も、伏線を一つ
くらい拾っておけば、まだ謎を組み込むことだって可能だし、
いちばん大変なのは、最後を受け持つ人なんでしょうね。
なんてことを考えながら読んでました。それがまた面白いこと(笑)。
でも、巻末に、それぞれの方の“予測”が添えられているんですね。
その予測は原稿と一緒に回されたわけではないと思うのですが、
だいたい最初から最後まで一貫して共通している部分があるんですよ。
さすが“人気ミステリー作家”といわれるだけのことはあるなと、
この方々が売れるのが分かった気がしました。

ストーリーは大変です(笑)。
北海道は小樽を舞台に繰り広げられる猟奇殺人。
小樽運河で発見されたのは、6人のパーツを合わせて女性1人分の
死体を作り上げられたもの。しかも死体はウェディングドレスを
着せられていた。一方、地方の新聞社に恐ろしいビデオテープが
送り付けられる。犯人の名前は“堕天使”-。

最初の二階堂さん、これでもか! というくらい
ネタを盛り込んでます(そんな風に見えます/笑)。
こういうのって、性格が表れるんじゃないでしょうか。
自分のシリーズキャラを登場させる方もいるんですが、
ちょっと残念だったのは、そのキャラを次の方も動かさないと
いけなかったりすることですね。違う人が他人のキャラを動かした
ところで、それを知っている読者からすると、ものすごい違和感が
あるんですよねえ。思い入れが強かったりすると余計に(笑)。
までも、そういうところは目をつぶるとして、
全体的にとても面白く読みました。単純にストーリーだけを
楽しむのではなく、この人はどういう風にふられたネタを
消化していくのだろうと、そっちの方が読んでて楽しかったり。
このシリーズ、確かもう1作出てるんですよね。
「前夜祭」かな。…文庫にはなっていないようですねえ。
これは人数を減らして6人のリレー。ストーリー重視にしたのかな(笑)。

堕天使殺人事件(角川文庫)
新世紀「謎」倶楽部〔著〕

出版社 角川書店
発売日 2002.05
価格  ¥ 900(¥ 857)
ISBN  404349503X

bk1で詳しく見る オンライン書店bk1