紫微の乱読部屋 at blog

活字中毒患者の乱読っぷりを披露。主にミステリーを中心に紹介します。

「四日間の奇蹟」浅倉卓弥

2004年10月01日 | あ行の作家
泣きたくなって(笑)読んでみました。
はい、泣けました(^-^)。
ものすごい勢いで涙が出ます。枕を濡らしながら
読みましたもん(笑)。「セカチュウ」の比じゃない。
泣かせ方はとても上手いと思います。
でも。なんか違うんだよねー(笑)。

老人ホームのホール。舞台では、少女がピアノに向かって、
美しい旋律を紡いでいる。曲が終るごとに起こる拍手は
まばらだけれど、とても心のこもったものだった。
脳に障害を持つ少女・千織と、ピアニストの夢を断たれた
青年・如月。聴いた曲をそのまま再現することができる
千織を連れて、如月は全国各地の小さな舞台を回っていた。
そして、次の会場、山奥の診療所へと向かうが…。

“奇蹟”が起こるまでを読んで、ものすごく
文章がキレイな人だと思いました。だから泣けるんだよね。
苦悩とか苦しみとか、よく伝わってくるんだけど、
心はそれほど痛くない。そういうものまでもが、キレイ。
だからこそ、余計に、自分で思い描いていた“奇蹟”と
違ってしまったことが、残念で仕方ない。
結局、誰のための“奇蹟”だったのか…。
そう考えると、“あの奇蹟”が私には奇蹟には思えなくなる。
“あの奇蹟”は誰が起こしたの?
そういうところをもうちょっと考えるとですね、
自然ともう一人の人物の描き方も変わってくるんじゃないかと。

最終的には望んだような形になっているし、いっぱい泣いたし、
とてもキレイなお話だと思ったし、総合すると
とてもいい作品だった、ということになります(^-^)。
ただ、肝心の“奇蹟”に関して、少し物言いをつけたいだけ(笑)。

電車で読まなくて良かったと思ってます。
あの泣き方は尋常じゃないから(笑)。
私はよく泣くほうではあるけれども、きっと読むと泣きますよ。
泣きたい人は、ぜひに(^-^)。

「四日間の奇蹟」浅倉卓弥