紫微の乱読部屋 at blog

活字中毒患者の乱読っぷりを披露。主にミステリーを中心に紹介します。

「ノンセクシュアル」森奈津子

2004年10月08日 | ま行の作家
以前メルマガで、紹介されていた作家さん。
エロ+おばかな作風、同性愛者やバイセクシャルな
人たちが登場するのに、なぜか笑える、と。
名前だけは聞いたことがあったのですが、未読だったので、
チャレンジしてみました。…といいつつ、選んだのはホラー(笑)。
おばかな作品、というよりは、主人公の小説家・
詠子がおばか(笑/愛情こもってます)。

秀美(♀)と透(♂)という2人の恋人がいながら、
透にプロポーズされたことで2人とも失ってしまう詠子。
そんな傷心の詠子に救いの手を差し伸べたのが、
超美人で気品のあるお嬢さま・絵里花だった。
しかし、それは彼女のほんの一面で…。

詠子は、上手く恋愛をしていけるタチではなく、
自分の気持ちにバカがつくほど正直な、気の優しい人。
ただ、ちょっと不器用で、つい手を差し伸べたくもなります。
バイセクシャルという設定ですが、それがとても自然。
卑屈になるわけでもなく、負い目を感じるわけでもなく、
男性も女性も、同じように愛せてしまうって、
なんだかとても素敵なことのように思いました。
(そんなことはキレイゴトなんだろうけどさ)
で、詠子の友達・夕子というのが、誰も愛せない
ノンセクシュアルな人。この人がとてもいい味を出してます。

そういった人物たちの中で繰り広げられるのが、
“狂気”のホラー。いい感じに狂ってて私は好き。
最初は、違うモノを想像してたんですよね(何)。
でも、読み進むにつれ、なんだか“得体のしれないモノ”を
腹に抱えながら進むストーリーにのめり込みます。

今回はエロ+おばかがちょっと足りない気がするので(笑)、
また、もっと強烈なモノを読んでみたいと思います。

「ノンセクシュアル」森奈津子