紫微の乱読部屋 at blog

活字中毒患者の乱読っぷりを披露。主にミステリーを中心に紹介します。

「秘密」東野圭吾

2004年10月28日 | は行の作家
「片想い」を読むにあたり、先にこちらを
読んでおいた方がいいとアドバイスをいただきました。

東野さん、そんな「秘密」だったんですか。

それが読み終ってすぐの感想です(笑)。
この物語の中には、結構たくさん「秘密」が出てきます。
その中でも極め付けの「秘密」ですよ。
やだなあ、こういうの苦手なんだけどなあ(苦笑)。
お互いの気持ちがすれ違う、というストーリーが苦手です。
それがラブストーリーの醍醐味なんでしょうが、
お決まりな設定なだけに、展開も決まっていて、
絶対どっちも辛い思いをするじゃないですか。
それが分かっているからそこから進めなくなるんです。
本作には、そんな“どきどきはらはら”も満載。
ごめんなさい。お腹いっぱいです、と(^^;)。

妻・直子と娘・藻奈美を乗せたバスが崖から転落。
そこから杉田の生活は一変する。最愛の妻を亡くし、
事故の唯一の生存者である娘は意識不明。しかし、
妻の葬儀の夜、意識を取り戻した娘の体には、
妻の意識が宿っていた…。

映画は見てないのですが、CMか何かで、広末涼子が
とても寂しそうな悲しそうな切ないような笑顔を
見せる場面があったと思うんす。読んでいる間中、
ずっとその笑顔が頭から離れませんでした。
当時はそれをなんとなく眺めていただけでしたが、
読んでいるうちに、その切ない顔の意味が分かってくるんですね。
ああ、切ない。

気持ちのすれ違いのような“どきどきはらはら”を終えて、
結末に近づくにつれ、先が予想されて涙が出るのですよ。
でも、しょうがないよね、とか思っていたのですが、
最後の最後でヤられました。そうか、「秘密」だもんね、と。
ここでは、先ほどとは比べ物にならないくらい涙が出る。
1人で読んでいたので、心置きなく号泣しました(笑)。
やーねえ、もう、東野さんってば…。

秘密(文春文庫)
東野圭吾著出版社 文芸春秋発売日 2001.05価格  ¥ 660(¥ 629)ISBN  4167110067bk1で詳しく見る オンライン書店bk1