紫微の乱読部屋 at blog

活字中毒患者の乱読っぷりを披露。主にミステリーを中心に紹介します。

「よもつひらさか」今邑彩

2004年08月31日 | あ行の作家
あまり悪い評価を聞いたことがないのですが、
どうやら、私には合わないようです(笑)<今邑彩。
さらに私、最近ホラーとの相性がよろしくない。
短編集だったのが、救いかな(^^;)。

坂を見上げて立ちくらみを起こした私に、
登山姿の青年が声をかけてきた。彼の差し出す水を
飲み干した私が見たものは、“よもつひらさか”という名前…。

表題作ほか、短編ホラー全12編を収録。
中には面白いなと思ったものもあったんですけど、
全体的な印象は“中途半端”。
どれも結末が予想できるんですよね。
しかも、ほとんどがその予測通りに進んでしまうので、
面白くない(笑)。別にいいんですよ、結末が予測できても。
でも、なんか工夫が欲しいじゃないですか。
もうちょっと捻るとか、飾るとか、オチをつけるとか。
そういうところがもどかしかったです。

「よもつひらさか」今邑彩

「99%の誘拐」岡嶋二人

2004年08月31日 | あ行の作家
“誘拐”という一つのジャンルを確立した岡嶋二人。
うん。読んで納得(^-^)。

末期ガンに冒された書き遺した手記。そこには、
8年前の息子を誘拐された事件の詳細が書かれていた。
それから12年後、かつての事件に端を発する
新たな誘拐事件が発生。しかしそれは、
前代未聞の完全犯罪だった…。

誘拐を題材にした作品で思い出せるものは、
「大誘拐」天藤真「さらわれたい女」歌野晶午
どっちも、物語に引き込まれて、とても面白かったです。
でも、本作ほど衝動に駆られた誘拐モノはなかったですね。
誘拐モノ、いいっす(^-^)。
本作は全4章からなるのですが、やっぱり“起承転結”
なんでしょうね。第3章に当たる部分がいちばん
長かったのですが、ここが止まらないんです!
ハラハラどきどきしながら、そして見守りつつ、
ときには応援しながら(笑)、一気に読んでしまいました。
いやー、面白かった。

「99%の誘拐」岡嶋二人

「予知夢」東野圭吾

2004年08月27日 | は行の作家
「探偵ガリレオ」の続編です。
前作が“科学の作品”だとしたら、これは“心理の作品”。
物理学と心理学って、なんとなく相容れない気がするんですが、
そこは、それこそ湯川助教授の優しさなんじゃないかと
思うんですけど、自分の本業じゃない事件でも、
自分のフィールドの持ってきて、納得できる説明をしてくれる。
というか、あるべきところに戻してやるって感じ。
しかもその解説&解決が倫理的で分かりやすいって、どうよ(笑)。

しかしながら非常に残念なところは、
既存の助教授とイメージがだぶるところ。
犀川先生と火村先生はかぶらないのに、
湯川先生はどっちにもかぶる。不思議だー。
でも、もっともっとこのシリーズが続いていけば、
いつか私の中にも確固とした湯川助教授のイメージが定着すると
思うのよね。だから書いてね、東野さん。って感じです(^-^)。

「予知夢」東野圭吾

「探偵ガリレオ」東野圭吾

2004年08月27日 | は行の作家
警視庁捜査1課の草薙刑事と、理工学部物理学科の湯川助教授。
いやー、いい組み合わせ。同級生ってのもポイントだと思いません?
読む前にイメージしてた湯川助教授は、“むさいおっさん”(笑)。
でも、よくよく考えると、助教授が探偵役っていう作品、
火村&アリス(有栖川有栖)とか、
犀川&萌絵(森博嗣)とか、案外あるもんです。
この3つにおいて共通してるのは、助教授がかっこいいこと。
…勝手なこと言ってます。自覚はあるので、
そっとしといてやってください(笑)。

化学や物理のムズカシイ話が出てくると
条件反射で読み飛ばそうとする自分がかわいい(笑)。
高校時代、物理&化学で痛い目に遭ってるんです、私(涙)。
でも、それじゃあいけないと思ってちゃんと読むと、
とっても分かりやすく説明してくれてます。
短編集で、どの事件も物理や化学の現象がトリックに
使われているワケですが、ちょっとした知識、
しかも常識の範囲でちゃんと理解できるのがいいですね。
ミステリーとしての楽しさ&科学も面白さが堪能できます(^-^)。

さらに。
ここがとっても東野さんらしいと思ったんですけど、
短編なのに、どの登場人物にも“愛”を感じます。
(たまに感じない犯人もいるけど)
東野さんのもう一つのお気に入り、加賀刑事モノって、
ものすごく加賀さんの優しさを感じるんですね、私。
草薙刑事も湯川助教授も、加賀さんみたいに優しくは
ないんだけれど、なんてうか、作者の愛を随所に感じる。
これって、宮部みゆきの得意な人情モノとは違うんですが、
なんとなく通じる部分はあるな、と。
そうね。人物を丁寧に描いているのかな。
人物、というか、犯人を丁寧に描いている。
科学的なトリックが目を引きがちですが、
犯罪に至るまでの犯人の心情なんかも丁寧ですよ。
そうじゃない作品もあるんですけど、その辺が宮部っぽいかと。

「探偵ガリレオ」東野圭吾