紫微の乱読部屋 at blog

活字中毒患者の乱読っぷりを披露。主にミステリーを中心に紹介します。

『三毛猫ホームズの推理』赤川次郎

2005年09月29日 | あ行の作家
★『三毛猫ホームズの推理』赤川次郎(光文社文庫)

久しぶりの赤川さん。本格の名作といえば、これでしょう。
三毛猫ホームズのシリーズは現在も続いており(多分)、
長編・短編合わせて全40冊が刊行されてます。ちなみに、
誕生25年目に発行された40冊目は『三毛猫ホームズの卒業論文』。
(もちろん、未読ですが)

再読のつもりでしたが、すっかり内容は忘れてしまってました。
しかし、もう、何もかもが懐かしくて懐かしくて(笑)。
ちょっと軽い感じのところとか、かと思うと、思いっ切り
シリアスな場面がどどんと出てきたりとか、そして何より、
この密室トリック! とても赤川さんらしいんです。

先日、アリスの『マレー鉄道の謎』に関して、トリックは
御手洗級かも、とか書きましたが、それを遥かに上回ります。
確かに、最初からヒントはいろんなところにちりばめられて
いるのですが、それを拾い集めたところで、あの解答に
行き着くはずがない(笑)。しかし、極めて論理的に謎が
解かれていくあたり、本格ファンも充分楽しめると思います。
さらに、密室殺人以外にも女子大生連続殺人事件とか、売春とか、
複雑に絡み合ったさまざまな事件の謎が解かれていき、最後に
辿り付いた結末(真相)は、想像以上です(抽象的ですいません)。

中学生のころに読み漁り、18歳で入院したときに、あまりにも
暇だったので(笑)、家にあった赤川作品(80冊程度)を2度ほど
読み返したりと、すっかり赤川作品に馴染んでしまったせいだと
思うのですが、“赤川さんだったら、こうだろう”という風に
読んでしまって、トリックも、真犯人も分かってしまったのですね。
(基本的に再読だから当たり前なんだけれども(笑))
それでも、また読みたい。もう、何度でも読みたい。
そう思わせてくれる、私にとって大切な作品の一つなのでした(^-^)。