PSW研究室

専門職大学院の教員をしてる精神保健福祉士のブログ

学部PSW課程の実習報告会

2010年12月09日 17時18分33秒 | 大学という場所
一昨日(12月7日)の午後は、学部精神保健福祉士課程の実習報告会でした。
今年度卒業予定の4年生18名が、実習の成果を発表しました。

資格課程の実習は、春にテーマ別実習3週間、夏に個別実習2週間、計23日間。
最低180時間、現場に入って、精神障害者と呼ばれる当事者から様々なことを学びます。

一人ひとり、現場で出会った事例から、自らのかかわりを考えます。
PSWとして何が必要なのか、視点と価値を確認する重要な場です。

後に続く3年生25人が真剣に聞き入り、わからないことを質問します。
関わってきた教員、非常勤講師、TA(ティーチングアシスタント)が見守ります。
今後PSW課程への進級を考える、1・2年生もちらほら来てました。
将来、現場でPSWとして働くかも知れない、まだ10代の学生たちです。

実習を受け入れてくれた現場指導者も、忙しい中、多数来てくれました。
「学生の報告をぜひ聞きたいから」と自らの意思で参加して下さった方々です。
休憩時には、お茶を飲んで、今は昔のお互いの若かりし頃のことを話したり。
かつて僕の病院で実習生だった人が、今は別の病院で実習指導者になっていたり。
お久しぶりと挨拶したら、病院と地域で一緒に支援していた方の訃報に接したり。
いつの間にか病院PSWに舞い戻っていて、肩書きも偉くなっていたり。
僕自身が転職してまだ間もないので、名刺交換をしたり。
学生を介して、大学と現場がつながる場にもなっています。

計70名くらいが、広い階段教室で、壇上の発表者を見守りました。
ひとりの発表・質疑時間は15分ですが、結局13時から丸々6時間かかりました。

卒論提出も抱えたこの時期に、4年生たちは大変だったと思います。
演習で4つのグループに分かれて、討議しながら発表内容をまとめてきました。

学生4~5人ずつにひとりの非常勤講師かTAが付いて、グループテーマを掲げています。
A.自己研鑽
B.一つひとつのつながりが生み出すつながり
C.その人らしさを支えるための視点
D.ワーカーにとって大切な視点(可能性を信じる)

主任教授の意向に沿わない発表に固執した、グループもあるようですが(笑)
自分の実習体験に頑固にこだわり続ける、そんな姿勢もPSWには大切ですよね。

報告のそれぞれに、学生が感じ、悩み、考え、討議してきたキーワードが語られます。
それは、現職PSWがともすれば忙しさの中で忘れがちな、とても大事な言葉たちです。


希望
思い
信頼
環境
感情
安心
距離
喜び
自由
連携
人生
生活
目標
意思
個別性
気持ち
気づき
可能性
決める
考える
信じる
生きる
イメージ
かかわり
自己決定
きっかけ
寄り添い
チャレンジ
自分らしさ
すきやき…(笑)

現場実習指導者の方々から、それぞれコメントを頂きました。
学生指導を通して自らのPSWの在り方を語る、真摯で優しく暖かい言葉でした。

最後に専任教員たちから、総評を、ひとことずつ。
静かな口調でも、一番熱いのは、実はこの人たちであったかと改めて感じました(笑)

「ともすればネガティブになりがちな現場で、諦めずポジティブに切り開く視点を」
「現場で働く際のPSWとして価値、今日の原点を、どうか忘れないで欲しい」
「日本の精神障害者がおかれた状況を変えるために、戦うPSWになって欲しい」

参加者それぞれが力をもらえた、とても、いい会でした。
PSWとして仕事をしてきたことに、僕自身も喜びを感じられました。

4年生の皆さん、お疲れ様でした。
皆さんの国家試験無事突破を、心より祈ります。

各現場の実習指導者の皆さん、ありがとうございました。
今後とも、どうか後進の育成にご協力お願い致します。


※画像は新宿のドコモタワーの夕景。記事内容とは全く関係ありません。