PSW研究室

専門職大学院の教員をしてる精神保健福祉士のブログ

豊かなグループワーク体験の場を

2010年12月24日 11時38分37秒 | PSWのお仕事
PSW(精神保健福祉士)に期待される役割は、ケースワークだけではありません。
グループワークも重要な方法の一つである、と僕は思っています。
むしろPSWにとって、グループワークが無いという職場は、無いのではないでしょうか?

前職の病院では、PSWたちが、それぞれの担当病棟でグループ活動を行っていました。
多かれ少なかれ、精神科の病院では、様々なグループ活動を行っています。
僕が退職する前に、PSWが関与していた精神科病棟のグループ活動を挙げてみると…。



○オープンレクチャー
急性期開放病棟で、主に気分障害や睡眠障害の入院患者・家族を対象として行う。
心理教育プログラムを行うオープングループ。

○集団精神療法
急性期閉鎖病棟で、同時期に入院した統合失調症の入院患者を対象に行うグループ。
4回1クール、クローズドメンバーでの心理教育プログラム。

○PSW活動
アルコール・薬物依存病棟で、PSWが中心になって行うグループ活動。
スポーツ、レクリェーションゲーム、ボディワーク、院外散歩等、いろいろ。

○集団療法
アルコール・薬物依存病棟で週1回、医師・看護・OT・PSWが順番でグループを担当。
依存症に関わる自己内省を促すテーマを設定して、大小グループでのミーティング等。

○家族教室
アルコール・薬物依存病棟で夜間に行っていた、家族のグループ。
依存症をめぐる心理教育的レクチャーと、家族同士のグループミーティング。

○退院準備プログラム
社会復帰病棟(退院促進モデル病棟)で、長期在院患者を対象としたクローズドグループ。
週1回、1クール全17回+実践編7回の退院に向けてのSSTプログラム。

○外出プログラム
社会復帰病棟での長期在院患者を対象とした、社会復帰施設等の見学ツアー。
援護寮・グループホーム・地域生活支援センター等+お楽しみ企画の外出。

○家族懇談会
社会復帰病棟での入院患者の家族を対象とした、2~3ヶ月に1回の懇談会。
退院への心理的抵抗や不安・希望を述べ合う様子を、ニュースにして欠席者にも郵送。

○権利擁護講座
司法精神病棟での全入院患者を対象としたプログラム。
医療観察法対象者のための権利擁護啓発のレクチャーとミーティングを実施。

○社会復帰講座
司法精神病棟での全入院患者を対象としたプログラム。
各種福祉制度や支援サービスの紹介を中心としたレクチャーとミーティングを実施。

○社会復帰ユニットミーティング
司法精神病棟の社会復帰ユニット(8名)の入院患者を対象としたプログラム。
週1回のミーティングで、退院・社会復帰に向けた希望や不安を語り合う。

○むさしの会
病院全体の精神科家族会で、家族の自主運営により毎月第4土曜日午後に開催。
毎回30~60人の参加があり、レクチャーと小グループミーティングを実施。



週1回~月1回、隔月1回のものまで様々ですが、結構ありますよね。
これ以外に、毎日のデイケアやナイトケアの活動プログラムが入ります。
ケア会議や、スタッフのミーティング等も、まぁ広くグループワークでしょうが…。

これでも昔に比べると、随分PSWがかかわるグループ数は減ってしまいました。
以前は、各病棟ごとの家族教室や集団療法、月例レク、外来ミーティングもありましたし。
それでも他病院と比べても、遜色ないグループ活動数ではないでしょうか?

グループワークを維持するのって、結構大変です。
1週間のうち、その時間はグループ運営のために確保しておかねばなりませんし。
年々、外来相談等の業務に時間を割かれ、十分な展開ができなくなっていました。

個別の相談や電話応対が立て込んでくると、PSW側の心の余裕がありません。
浅野弘毅さんが言う「裏プログラム」が充実してないと「表」も形だけになります。
その時間内のプログラムを運営しているだけだと、思わぬ漏れやしっぺ返しも生じます。

それでも、PSWにとってグループワークやミーティングは大事にするべき時間です。
メンバーにとっても、スタッフにとっても、グループは豊かな資源と交流の宝庫です。
時間も限られ、経験や力量により多少の混乱や失敗があっても、行うべきだと思います。

グループの中で、人は他者と出会い、他者と交わります。
グループの中で、人は自分に気づき、自分を変えることができます。
グループの中で、人は言葉を習得し、生きる力を獲得していきます。

そんな想いもあって、「グループワーク技法」という授業を去年から開講しました。
前学長の大橋謙策さんには「今どきグループワークかぁ?」と揶揄されちゃいましたが。
僕なりに試行錯誤しながら、グループワークの面白さを伝えていければと思っています。



※画像は、東急ハーヴェストクラブ軽井沢でのゼミ合同合宿。
 合宿や飲み会も、とても大事なグループワーク場面?(^o^)