マスミンのピアノの小部屋

ピアニスト兼ピアノ指導者松尾益民が、ピアノや教育、世の中の出来事など日々感じることを、徒然なるままに綴ります。

ショパンのピアノ・ソナタ第3番について

2017-03-17 23:43:25 | ラ・プロムナード・ミュジカル
19日のプロムナードで弾く、ショパンの第3番のソナタ、弾くのも難しいけど、曲ついて書くのも難しい…。
1844年に作曲されたこの曲、1810年生まれで1849年に亡くなったショパンにとっては、晩年の作品です。
30歳代で晩年…う~ん、何か複雑な気分です。
ショパンのピアノ・ソナタは全部で3曲、そのうち第1番は、18歳の時に作曲練習用に書いたものであり、現在ほとんど弾かれることのない曲であり、事実上ソナタは2曲と言ってもいいように見られています。
その2曲のソナタはいずれも円熟期に書かれたものであり、性格的小品が多くなっているロマン派の時代にあって、形式を重視するソナタ形式で作ったというのは、どういうことなのか…。
ショパンはソナタ形式を完全には習得していないと批判する人もいたようです。
いずれにしろ、全作品の中で傑作の傑作と言っていい曲です。

第1楽章は、ソナタ形式で書かれていますが、再現部に第1主題は再現されず、第2主題も主調であるロ短調ではなく、同主調のロ長調です。
これを革新的なアプローチと言うのか…??
ベートーヴェンは、ソナタ形式ではモティーフをいかに発展させるかということに神経を使いましたが、ショパンは次々に新しいモティーフが出てきて、この曲がなぜ難しいかということを考えた時、それも一つの要素だと気が付いた次第です。
第2主題は、夜想曲のような美しいメロディで甘美なことこの上ない!
展開部は、提示部のモティーフが有機的に展開されていますが、一段と難しくなっている…ような気がしますね。
そして、第1主題が再現されない再現部に入り、ロ短調で始まった曲をロ長調で終止します。
この1楽章だけで、数曲は作れるのではないかと言うくらい盛りだくさんな内容です。

第2楽章は、スケルツォ。
ショパンの4曲あるスケルツォのような感じですが、短いですね。
これをさらにモティーフを発展させると、1曲の独立したスケルツォになるだろうなぁ…と。

第3楽章はラルゴで、夜想曲のような甘美さを持つ、やや長い曲です。
冗長と言う感はありますが、甘い恋の幸福に浸っているかのような曲想です。

第4楽章は、フィナーレでロ短調。
ロンド形式で作られています。
華麗であるとともに熱情的、まさに駆け抜けるという感じです。
ロ短調に始まりロ長調で終わるのは、第1楽章に共通するところです。

CDはたくさん出ていますが、マレイ・ペライアのショパン:ピアノ・ソナタ第3番 他 が割と落ち着いた演奏で好きですね。



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