マスミンのピアノの小部屋

ピアニスト兼ピアノ指導者松尾益民が、ピアノや教育、世の中の出来事など日々感じることを、徒然なるままに綴ります。

プーランク:8つの夜想曲

2015-09-08 21:40:28 | ラ・プロムナード・ミュジカル
プーランク(1899~1963)の曲は、全曲弾きたいと思っているので、折に触れて取り上げています。
13日のプロムナード・コンサートでは、「8つの夜想曲」を弾きます。
プーランクの曲は最近よく演奏されますが、ナゼルの夜、15の即興曲、3つのノヴェレッテなどがよく取り上げられています。
私自身もこれらの曲はすでにプロムナードでも弾いたので、今回は夜想曲です。
この曲はあまり演奏される機会は多くないですね。
第1番をCDで聴いた時、なんていい曲だろうと思って、いつか弾きたいと思っていました。
昨年のリサイタルで1番だけ弾きましたが、今回は8曲のうち7曲を弾きます。
時間の関係と、少し冗長な感じになるため…です。

さて、夜想曲(ノクターン)と言えばショパンが有名ですね。
夜を想う曲ということでしっとりした曲が多いですが、プーランクはまるで違います。
何で夜想曲と名付けたのか???
どちらかといえば朝の雰囲気かなぁ。
第1番はハ長調で、ホントにさわやかというかハ長調がこんなに美しいか…と。
心にしみる魅力的な曲です。

第2番は「少女の舞踏会」と名付けられていて、少女たちの活気にあふれた舞踏会の様子が思い浮かぶような曲。
一見易しそうな楽譜なのに、これが意外に弾きにくいのですよね。
意表を突く音型もあったりして、少女たちの心を反映しているのかも。
おもしろい曲です。

第3番は「マリーヌの鐘」というタイトルです。
今回はこれを省略します。
中間部で少し変化しますが、全体に静かな鐘が延々と続きます。
不思議な雰囲気ですね。

第4番は、「幻の舞踏会」というタイトルで、開かれることのなかった舞踏会を思い、悲しんでいるかのような曲。
ジュリアン・グリーンの「幻に生きる人々」の一部が楽譜冒頭に記載されています。
パスカル・ロジェのCD解説(高橋昭氏解説)にある訳を掲載しておきます。
「ワルツやスコットランド舞曲の一音さえ家じゅうから消えた。
そこで病人は祭りに加わり、若き日の良き歳月を粗末な寝床で夢見ることができた。」

第5番は「しゃくとり虫」というタイトル。
すごく変な曲ですが、しゃくとり虫の動きを実にうまく表現している…と思いますね。
譜読みをしている時は「何じゃこりゃ!」とか思いましたが、変にはまってしまいました。

第6番は、タイトルなしでト長調。
冒頭テーマは厳かな雰囲気で始まるのですが、途中につぶやくような変なフレーズが出てきて、これもなかなか理解不能…。
何を表現しようとしているのかとか、考えてしまいますね。
でも、こんなフレーズが作れるのは不思議というかプーランクってすごい!…ですね。

第7番は変ホ長調でこれもタイトルなし。
非常に魅力的な曲です。
この曲も中間部に変わった雰囲気が出てきますが…。
そろそろ夜想曲っぽくなってきた…か。

第8番は、ト長調で「曲集のコーダをなすものとして」というタイトル。
抒情性にあふれた心にしみるしっとりとした曲です。
過去を懐かしむかのような雰囲気です。
この曲の終わりのモティーフと第1番の終結部のモティーフは同じもので、この曲がこの曲集を締めくくるものだということを表しています。

1930年ごろから1938年にかけて作曲されていますが、当初は連作という意識はなかったものと思われます。
作曲を進めるうちにまとまりということを意識したのか…。
それぞれ関係なさそうなタイトルがついていますが、連作としてまとめて演奏するとドラマがある…ように思いますね。
特に第8番はホントに終結部だ!という感じですので。
しっとりと味わい深く終わりたいものです。

CDは、この曲に関しては、エリック・ル・サージュの ナゼルの夕べ ~ プーランク : ピアノ・ソロ作品集 がいいですね。







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